改めて注目される「ライブコマース」とは? 国内の先進事例を交えて徹底解説

2021.03.16

2021.03.30

数年前から盛り上がりを見せるライブコマースが、コロナ禍の小売業ビジネスにおいて欠かせない条件「非対面の接客・非接触の販売」が実現できるとしていま、改めて注目を集めている。

ポストコロナのビジネスモデルとして、世界の複数の国でライブコマース市場は広がりつつある。中でも、中国のライブコマースの浸透は目を見張るものがあり、に、中国国内では一般的な販売手法として認知されている。今回は、拡大している中国のライブコマース市場や国内のライブコマース事例を踏まえ、ライブコマースについて詳しく解説していく。

ライブコマースとは何か?

既に国内でも百貨店やアパレルブランド、化粧品メーカーなどで導入が進んでいるライブコマースとどのようなものなのか?

ライブコマースの概要

外出自粛やリアル店舗における対面式の接客がコロナ禍によって避けられるなか、EC市場は拡大を続けている。ライブコマースとはEC市場の新たな形として数年から登場した販売手法である。

初めて登場したのは、中国のファッションEコマースのプラットフォームであるMOGU INC(モグジエ・蘑菇街)の実験だったとされる。ライブコマースの仕組みはライブ配信の動画と電子商取引(EC)を合わせた通販であり、商品購入は配信されたライブ動画を見ながら行う。リアルタイムで視聴者が、販売者および出品者側に対して質問やコメントを発することができるのが特徴だ。

わかりやすく言うなら、従来のテレビショッピングにおいて、販売者と消費者が一方的ではなく双方向のやり取りが可能になったオンライン版である。リアルタイムでの商品紹介は、メーカーの社員が行う場合もあるが、インフルエンサーやタレント、モデルなどを起用することが多い。

●ライブコマースのメリットとデメリット

ライブコマースの大きなメリットは、従来のテレビショッピングではできなかった配信者と消費者がインタラクティブに繋がることだ。一方通行だったコミュニケーションが双方向のやり取りが可能になったことで、疑問点や商品情報などをリアルタイムに質問できる。

例えば洋服の場合、従来のECサイトではサイズ感や生地の質感、着心地など商品を深く理解するのは、非常に難しかった。だが、ライブコマースならリアル店舗での商品購入時と同じように、多くの商品情報が販売事業者やメーカーから与えられる。また、ライブならではのショッピングの臨場感もメリットのひとつであり通常のECに比べ、商品を購入比率が高いと言われている。

デメリットとして挙げられるのは、生放送であることに起因する問題だ。ライブコマースは限られた短い配信時間内に人を集めなければならないため、事前の宣伝や告知に大きな比重がかかる点。また、ライブ配信中に問題が起こった場合、炎上や企業・商品のイメージダウンにつながる懸念がある。

●国内のライブコマース市場

現在の日本国内のライブコマース市場はまだ軌道には乗っているとは言えず、可能性を模索している状態であり、まだ黎明期である。日本でも、有名人を活用し商品を宣伝するという手法は取られることはあるが、ライブコマースの先進国、中国に比べると規模が違っている。だからといってニーズがないわけではなく、ライブコマースによってインフルエンサー個人の販促が盛り上がり成功している事例も存在する。

日本のライブコマースの基本は、販売促進のためメーカーが商品をYouTuberやインフルエンサーに提供し、本音での感想を発信させる。これは、視聴者があからさまな宣伝や安易な宣伝文句を嫌う傾向が強いためであるが、視聴者の信頼を得られれば、宣伝効果は計り知れない。10〜20代など、若い世代と親和性が高いライブコマースなだけに、SNSなどで情報が拡散されれば、市場規模の拡大が期待できる。まさにこれからの市場と言えるだろう。

拡大する中国のライブコマースの現状

ライブコマースは中国から広がったとされ、中国の市場規模(ネット通販小売総額前年比率など)は2021年にはさらに拡大すると予測されている。

中国のライブコマースの背景

2019年が中国のライブコマース元年とも言われているが、20年上半期には、コロナ禍が拡大の後押しをする形となった。中国のライブコマースはコロナ禍に伴いリアル店舗の営業停止や外出自粛などで、店舗に出向くことが困難になる中、消費者に受け入れられている。

店舗に行かなくても臨場感のあるショッピングが体験できるとして、ライブコマースは中国の消費者に絶賛され定着したのだ。中国のインターネット利用者の半数以上がライブコマースを介した購買体験があると言われている。

その一方、三井物産戦略研究所ののレポートによると、中国におけるテレビショッピングのユーザー数は国の人口の5.9%に過ぎないという報告がある。同じように、テレビショッピングの売上総額は全国の小売総額の0.1%程度にとどまっている(17年)。

この結果には、中国ではテレビショッピング事業は認可制であり、ライセンスが必要であることも関係している。だが消費者にとって、テレビショッピングは一方的に過度な宣伝をするイメージが強く、信頼されていないことも一因だろう。ライブコマースには口コミと同様の機能が備わっており、SNS上の口コミなどを情報源として信頼する中国の消費者にマッチしたとも考えられる。

なぜ中国のライブコマースは成功できたのか?

中国でライブコマースが爆発的に拡大した根底には、中国製の商品の安全性や信用度が低いことが大きく影響している。中国はブランドの偽物が横行し、農作物や食品などの安全性もあまり信用できない状況下にあるとされる。

そのため、人気があり多くの人の支持を持つインフルエンサーが紹介する製品や商品なら安心して購入できると考える人が多いようだ。市長などの各地方トップがライブコマースに出演し、地元特産品の安心感や安全性をアピールするケースもある。

中国のライブコマース市場は、コロナ禍に伴う巣籠もり需要で急拡大したが、エンターテインメント性の高さによるところも大きい。

またライブコマースは、テレビショッピングやリアル店舗での販売に比べると中間流通費用やテナント代などを廉価に抑えることが可能である。その分、商品やサービスへの価格優位性が高まり、コストパフォーマンスに反映され消費者の満足度に繋がったと言えるだろう。

日本のライブコマース事例

2時間で3億円元を売り上げたインフルエンサーも登場している中国とは違い、多くの国にとってライブコマースのビジネスは未知数だ。日本の事例につい見て行こう。

イオンモール

イオンモールは2021年3月より順次、全国約80モールにおいて、「LIVE SHOPPING」(ライブショッピング)を本格始動すると発表。イオンは昨年11月には、イオンモール幕張新都心にて試験的に「LIVE SHOPPING」を実施していた。「LIVE SHOPPING」では、個性豊かなスタッフが、客とコミュニケーションをとりながらおすすめの商品をライブ動画で配信するとしている。

リアル店舗の新たな価値創造を目的に、ショッピングとデジタルを融合させた新たな買い物体験を提供。客と専門店スタッフを繋ぐ新たな取り組みとして推進して行くと共に、「LIVE SHOPPING」をきっかけにリアル店舗への来店促進にも期待している。

ファーストリテイリング(ジーユー・ユニクロ)

ファーストリテイリング傘下のジーユーとユニクロがアプリとECサイト内でライブコマースをスタートさせている。名称は、ジーユーが「GU LIVE STATION(ジーユーライブテイション」ユニクロが「UNIQLO LIVE STATION(ユニクロライブステイション)」。

「GU LIVE STATION」は「ジーユーオンラインストア」「ジーユーアプリ」「Style Hint」「STYLE STUDIOページ」で配信。「UNIQLO LIVE STATION」は「ユニクロアプリ」「ユニクロオンラインストア」(ファストリ運営の着こなしアプリ)「StyleHint」で配信している。

著名人が視聴者の質問などに答えながら、ライブでコーディネートのポイントなどを解説し同時に、ユニクロの商品を紹介している。消費者は、ECサイトやアプリ内でライブ配信動画を見つつ、気になった商品をそのまま直接購入できる。

セブン&アイ・ホールディングス(西武・そごう)

セブン&アイ・ホールディングス傘下の西武とそごうは恒例になっていたバレンタインデーのイベントをライブ配信に踏み切った。例年通りなら有名パティシエのトークイベントは、リアル店舗の催事会場で行う予定だったがコロナ禍を踏まえて変更したものである。

『チョコレートパラダイス2021 LIVE COMMERCE』と銘打ってライブ配信された3日間で、紹介した商品は約300点売れECサイトのPV数は前年比2倍超まで伸びたという。

タレントやパティシエが出演し商品を紹介するライブ配信のバレンタイン向け企画は、初めての試みながらEC売り上げの拡大に貢献。また、視聴者や消費者に世界的なパティシエがリアルタイムで質問を受けるコミュニケーションの場や、これまでにない価値も提供した。

小売業界とこれからのライブコマース

小売業界は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、今大きな変革を迫られている。未来に目を向ければ、リアル店舗のビジネスの進め方は想像もしなかった難しい問題に直面していることに気づく。

ニューノーマル下で解決しなければならない問題の鍵の1つは、BOPISやセルフレジなどのリアル店舗のデジタル化だろう。少なくとも、店頭での消費者へのサービスには有効である。

まだまだ、日本のライブコマースは未知数だが可能性は大きいといえる。将来を見据えライブコマースに新たな可能性を見出す取り組みは、小売業界にとっては有意義な戦いになるだろう。

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