生体認証とは?特徴や仕組み、ビジネスメリット等を導入事例を交えて解説

2021.03.29

更新:2021.03.30

パスワードや暗証番号などによる従来の認証方法に加えて、新たな認証方法として生体認証が誕生した。人体の特徴を活用することで高いセキュリティを担保できるだけでなく、非対面・非接触の認証方法としても注目されている。

生体認証の概要や種類、メリットとデメリット、さらに生体認証を導入した2つの企業の事例について解説する。

生体認証とは?

生体認証の概要と種類について解説する。

●生体認証の概要

生体認証とは、生きている人間の体の一部(生体)を用いた認証方法を指す。バイオメトリクス認証とも呼ばれる。顔や指紋などの物理的な生体を用いるものもあれば、歩き方などの身体的な特徴を用いるものもある。

あらかじめ生体に関する情報を抽出しデータとして登録しておくと、生体と照合し認証できるようになる仕組みだ。

●生体認証の種類

生体認証は、用いる生体によって種類が多岐に分かれる。主な生体認証には以下の10種類がある。

それぞれの認証方法とメリット・デメリットを解説する。

・指紋認証

人間一人ひとりで異なる指紋を利用した認証方法が、指紋認証だ。スマートフォンやノートPCなど身近な物で生体認証として用いられている。読み取る指紋が小さいため、生体認証に用いる装置も小型で済み導入コストが安い。一方、成長や加齢により指紋が摩耗することがある、または指の向きや状態に応じて認証しにくいことがある。

・掌紋認証

手のひらの隆線が作る文様である、掌紋を利用した認証方法が掌紋認証だ。掌紋を検出するセンサーが掌紋の数、関節の特徴を検出して認証する。指紋認証に比べると大型の装置が必要となる。また、指紋と同じく手のひらの状態が認証に影響する。

・静脈認証

手や指の内側にある血管(静脈)のパターンから認証する方法が静脈認証だ。指紋認証よりも10倍以上精度が高いため、偽造しにくい。より高いセキュリティが求められる銀行のATMなどで導入されている。なお、カメラで静脈を撮影して認証するタイプなら非接触での認証が可能だ。

導入には大型の接地装置が必要で、体調や環境が認証に影響するデメリットがある。

・顔認証

個人の顔の特徴から認証する方法が顔認証だ。スマートフォンのロック解除やイベント入場時、空港の入出国ゲートでの本人確認などに用いられている。事前に生体の登録が不要なため手軽に利用できる。

身長135cm以上でないと利用できない、マスクやメガネ、撮影環境、成長や加齢などによって認証に影響があるデメリットがある。

・声紋認証

声の特徴から認証する方法が声紋認証だ。音声認証とも呼ばれている。あらかじめ決めたキーワードで認証するテキスト依存方式と、自然な会話をあらかじめ登録して認証するテキスト独立方式がある。話すだけなので手軽に使えるが、体調や周りの雑音が認証に影響する場合がある。

・虹彩認証

黒目(瞳孔)以外の眼球に色がついている部分で認証する方法が、虹彩認証だ。虹彩パターンは生後2年でほぼ固定されるため認証の精度が高く、成長や加齢、遺伝による影響を受けない。出入国審査、一部のスマートフォンなどの認証方法として既に導入済みだ。さらに金融機関やメーカーなどの認証方法としても広がりを見せている。

唯一のデメリットが、照明が認証に影響することである。

・眼球血管認証

目の白目部分にある血管の特徴を用いた認証方法が、眼球血管認証だ。眼球を写し込むだけなので手軽にできる認証方法だ。また、装置が小型のためいろいろなものに搭載できる、導入コストが安いメリットもある。

・耳形認証

耳の形の特徴を用いた認証方法が、耳形認証だ。耳介認証とも呼ばれている。アメリカの犯罪捜査にも導入されている認証方法で、離れた場所からでも認証しやすい特徴を持つ。ただし、髪型や照明が認証に影響する。

・耳音響認証

耳の中の反響音を用いた認証方法が耳音響認証だ。NECと長岡技術科学大学の共同開発によって誕生した比較的新しい生体認証で、耳型認証がさらに発展したものと言える。精度が高く医療現場での実用化などが進められている。

ただし、周囲の音が認証に影響を与える。また反響音を取得する作業が必要なため、不特定多数の認証には向かない。

・DNA認証

遺伝子配列の特徴を用いた認証方法がDNA認証だ。理論上は100%の精度があるが、認証には手間と時間がかかる。

生体認証を導入する4つのメリット

生体認証を導入すると導入側、ユーザー側両方にメリットがある。おもな4つのメリットを解説する。

●高いセキュリティの保持と運用

生体認証は、セキュリティをより強固なものにできる認証方法である。認証に必要なのは偽装が難しい生体のため、パスワードやカードなどの紛失、盗難、偽装、情報漏洩、不正アクセスなどを防げる。

●認証管理負担の軽減

生体認証は、認証する本人がいれば認証できる。ユーザーにとって認証と必要となるパスワードやカードなどのツールが不要となる。パスワード変更、カードの保管などの管理に対する負担も軽減される。

●認証の効率化

生体認証を導入する側にとっては、本人認証や商号がスピーディにできるメリットがある。認証手続きを行う担当者の負担も減らせる。

●衛生的

顔、声、色彩など非接触で認証できる生体認証もある。感染症対策、医療機関での利用などにも生体認証は有効だ。

生体認証導入で覚えておくべき3つの課題と対策方法

精度の高い生体認証だが、デメリットもある。覚えておくべき課題と対策方法を解説する。

●認証に影響する要素がある

生体で認証するため体調、怪我、成長や加齢など認証する側の状態や、証明、雑音などの外的環境などが認証に影響する。スムーズな照合には生体認証の速度や制度のほかにも、導入する環境に応じた認証方法を選んだり、環境に適応できるものを導入したりするのが重要だ。

●情報漏洩すると変更できない

登録した生体情報が漏洩しても、生体は変更ができない。生体情報の管理は厳重に行う必要がある。生体認証を導入する側は暗号化する、元の生体情報への復元不可にするなどの対策が必要となる。

●生体に対する間違った認識がある

生体情報は、データを検出する指紋や顔などの画像や音声そのものを登録のではなく、特徴量というデータに変換のうえで登録される。生体情報そのものが保管されているという誤解から、生体認証に対してプライバシーの観点で抵抗感を持つ人もいる。ユーザー側の誤解を解くための説明も、導入側には求められている。

生体認証の企業導入事例を2つ紹介

生体認証をサービスの一環として導入している企業もある。ローソンとAmazonの生体認証導入事例を紹介する。

●富士通の生体認証によるローソンのレジレス店舗

コンビニエンスストアチェーンの「ローソン」では、富士通の生体認証を導入したレジレス店舗の実証実験を行っている。事前にスマートフォンアプリとクレジットカード情報を登録することで、利用できる。従来のローソンのレジレス店舗はアプリのQRコードをかざして入店する方式だったが、富士通の生体認証によって手のひらをかざすだけ、スマホれすで入店できるようになった。

レジレス店舗はレジの待ち時間緩和による顧客満足度向上、業務の効率化を目的として導入された。

●Amazonの生体認証による手のひらでの決済

多国籍IT企業「Amazon」では生体認証デバイス「Amazon One(アマゾン・ワン)」を導入。

アメリカのウォークスルー店舗であるAmazon Goを始めとしたアマゾンの店舗で手のひらによる決済が可能になった。Amazon Oneは、顧客のアカウントとクレジットカード情報と、掌紋情報を紐づけている。

生体認証は今後拡大が期待される

人体の特徴で認証をする生体認証は、SFの世界だけではなくすでに幅広いシーンでの認証方法として活用されている。情報セキュリティ力を強固にできるだけでなく、ニューノーマル時代の非接触の認証方法としても注目されている。生体認証を事例として導入する企業も少しずつ増えてきた。今後新しいスタンダードな認証方法として取り入れられていくかは、ユーザー側はもちろん、導入する企業側の対策方法などにもかかっている。

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