イオン九州が米国産品を打ち出した「おうちで楽しむアメリカンスタイル!」を実施、旅行困難な中で大きな反響

2021.06.22

2021.07.08

イオン九州が5月28日(金曜日)から5月30日(日曜日)までの週末の3日間、九州内の「イオン」「イオンスタイル」62店で「おうちで楽しむアメリカンスタイル!」の企画を実施した。

期間中はアメリカンビーフやアメリカンポーク、オレンジやアメリカンチェリー、冷凍ポテト、「プランターズ」のナッツを中心に、アメリカを代表する食材、最大30品目を大々的に展開した。

部門や常温、冷蔵、冷凍など温度帯の違いから各売場での展開となったが、アメリカの国旗の3色をあしらったキービジュアルを活用することで統一感を持たせた。店内全体がアメリカの雰囲気で包まれることで、買い回りの意味でも効果があったと考えられる。

マックスバリュなどスーパーマーケットでは大きな企画としては実施しなかったが、この期間、生鮮食品を中心にアメリカの商品を展開するなど、一大企画となった。

コロナ禍での制約の中、旅行が困難なお客に「アメリカの気分」を提案

イオン九州がこの時期にアメリカの企画を実施したのは今回で3回目となる。同社では「九州のお客さまの生活文化の発展に貢献する取り組みの1つとして、世界の良いものをイオンからご紹介する」という考えの下、独自にアメリカの企画を2019年から実施してきた。

今回もその一環となるが、特に昨今は、新型コロナウイルスの影響で海外旅行がしづらい状況にある。今年はその意味でも「アメリカに旅行に行った気分を味わってもらいたい」との思いも込めた企画となった。

昨年も新型コロナウイルスの影響を受ける中での開催だったが、今年は福岡県については緊急事態宣言下での実施という難しい状況もあった。「プロモーションについては過度の集客にならないようにというバランスも考えながらの実施だった。昨年以上に、よりご家庭での食卓を楽しんでいただけるようにという部分で、調理提案についてもアメリカ農産物貿易事務所さまのご協力で、動画のレシピ配信などの強化を図ったのが今年の特徴」(池野賢一・イオン九州 営業企画部 プロモーショングループプロモーション担当)

また、コロナ禍で19年の1回目に対して、昨年同様に今回も「試食」ができないことから実際にその場で味わって購買を決めるというプロセスが取れないため、「いろんな情報をお客さまにお伝えすることで、試していただくという方向にシフト」(池野氏)。アプリを活用したキャンペーンなどを追加するなど、情報提供やプレゼントへの応募などイベント的な要素を強化した。

「今年は、アメリカ農産物貿易事務所のご協力の下、さらに幅広いお客さまに、アメリカの商品を知っていただくという部分のプロモーションの強化を実施した」(池野氏)

今回からイオン九州アプリ会員限定の企画として、対象商品を含む3000円以上の買物で応募できるキャンペーンも同時開催。コロナ禍で旅行などができない中、身近な行楽として需要が高まっているバーベキューのコンロなどを景品にした。期間中は約1400人の応募があった。

「特に福岡県は、緊急事態宣言で外食への制限もあって、よりおうちでの食事を楽しむという傾向が強くなっていた。『アメリカ』に絞って大々的にPRする機会として、ステーキハウスやバーベキューの雰囲気などをコロナ禍の中でも楽しんでいただけたのではないかと思う。チラシや店頭販促だけではなく、お客さまにダイレクトにお伝えできるという意味でアプリの活用を進めている」(池野氏)

アメリカンチェリーが旬の打ち出しで、売上好調

実施した結果としては、特に食品売場の入口に配置されることの多い青果を彩る旬のアメリカンチェリーが良く売れたという。「にぎやかに『おうちで楽しむアメリカンスタイル!』という演出物を付けてチェリーを大量陳列したので、最初のインパクトとして楽しんでいただけたのではないかと思っている」(池野氏)

青果の平台で大きく打ち出す。左手のアメリカンチェリーだけでなく、アボカドも打ち出し(香椎浜店)
しっかりとした果肉と濃厚な甘みのアメリカンチェリーは旬ということもあって、良く売れた(福岡店)

精肉では、牛肉については厚切りステーキなどでバーベキュー需要に合わせた提案を行い、反響も大きかった。一方で今年は節約志向もあって特に豚肉の売上げの伸びも大きかったという。

牛肉は厚切りステーキ提案でバーベキューのイメージを醸成

また、大型店では食卓を華やかにする商材として大型のソーセージのジョンソンヴィルをコーナー化。イオンのプライベートブランドトップバリュのチーズがアメリカ産であることから組み合わせた提案を実施した。

ジョンソンヴィルとトップバリュを組み合わせることで、PBの売り込みにもつながった(香椎浜店)

また、冷凍食品売場で展開する冷凍ポテトについては、冷凍野菜の中でも売上げの高い商品であったが、今回の企画で前年同期比の約2倍の売上げを達成。冷凍食品の売場のエンドでの展開で、ハインツの「オレアイダシューストリング」と「オレアイダスーパークリスピー」を主な商品として大々的に展開した。

販促物をうまく活用し、静的になりがちな冷凍食品売場での訴求力を高めている(筑紫野店)

また、商材としてはハインツのハンバーグとポテトを並べて展開することでアメリカの商品を「塊」として訴求した店舗もあった。実際のメニューとしての親和性も考え、今後はハンバーグの付け合わせに適した皮付きのカットタイプのポテトの訴求など、食卓への提案にバラエティを持たせるといったことも今後、検討していきたいという。

ハインツのハンバーグなども併せて展開することで、メニュー提案的な展開も実施(福岡店)

コロナ禍の巣ごもり需要の中にあって、冷凍食品では「外食でよく食べるもの」の商品の売上げが上がっているという。フライドポテトはそれに合致するため、今回、メインで販売したが、その狙いが当たった形だ。

「今後はポテトだけでなく、アメリカ産のコーンやミックスベジタブルなども併売していきたい。次回はさらに売場の面を取ってボリュームを上げて取り組みを実施していきたい」(川邉一朝・イオン九州 デイリー商品部 冷凍食品担当)

また、メニュー提案としては、画像POPなどももちろん有効なのだが、「やはり、一番有効なのは体験という意味での試食」(池野氏)になる。今後、新型コロナウイルスが落ち着いて試食が可能になった際には試食もしていきたい意向だ。特に試食はリアル店舗ならではの魅力として有効な手段となる。

各地の商品が紹介できる小売業ならではの企画として今後も継続

他、グロサリーではスパムの缶詰、リカーではジムビームのハイボールなどアメリカの商品を幅広く提案し、店全体がアメリカの雰囲気で一色になるような華やかな企画となった。池野氏は企画を実施する意義として、商品をまとめて提案することによる「気づき」の重要性を指摘する。

「アメリカ産の商品は売場にたくさんあるが、特集を年に1回実施することで、『こんな商品もある』ということをお客さまにも知っていただく良い機会になっている。今後も企画を継続・拡大していきたい」(池野氏)

こうした「気づき」も、試食同様、リアル店舗ならではの要素として重要なものといえる。「アプリのキャンペーンの中で、お客さまにアンケートも実施している。これから食べてみたいアメリカの食材など情報を精査して次回につなげていきたい。

やはり、ご意見としては『知らないものを提案して欲しい』というものもあった。今後は、ベーシックなものは当然だが、さらに最新のトレンド、オーガニックであるとか代替素材などにも着目していけたらと思っている」(池野氏)

イオン九州としては今後も、今回のようなアメリカの商品を集積した企画を定期的に実施していく意向だ。季節としても、アメリカンチェリーの旬の時季であることや夏に向けてのバーベキューの提案ができることから5月末が適しているとみている。

さらに、今回のアメリカに限らず、国内、海外問わず各地の商品を紹介していきたいともいう。世界中の商品を集めて提案するという、まさに小売業ならではの機能、企画といえる今回の「おうちで楽しむアメリカンスタイル!」の企画は、小売業の役割、コロナ禍のお客さまの気持ちに寄り添うという二重の意味で意義深いものといえる。

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