西友が新たな中期経営計画を発表、食品スーパー、ネットスーパーナンバーワン目指す

2022.04.22

2021.06.22

3月に新経営体制を発足させた西友が、新たな中期経営計画を策定、発表した。

これまで培ってきた強みであるEDLP(エブリデー・ロー・プライス、毎日低価格)とEDLC(エブリデー・ロー・コスト、毎日低コスト)をさらに強化し、Local(地域に密着)、Value(お客様ニーズに即した価値提供)、Innovative(デジタル・トランスフォーメーション〈DX〉を加速させ、リアルとデジタルを融合)を実現する、国内トップクラスのスーパーマーケット、革新的なOMO(Online Merges with Offline)リテーラーを目指すとしている。

その上で新たな中期経営計画の骨子として次の2つの目標を掲げる。

1.食品スーパーとして業界ナンバーワンになる

西友の売上構成比は、既に一般的な食品スーパーに近いものになっています。店舗での売上は堅調に推移し、ネットスーパーも大きく伸長しています。今後はデジタル・マーケティングとリアル店舗、ネットスーパーの体験を融合させることで一段と売上を拡大させ、業界ナンバーワンの食品スーパーとなることをめざします。

2.ネットスーパーで業界ナンバーワンになる

食品スーパーのネットショッピングである「ネットスーパー」市場において、楽天西友ネットスーパーの売上は既に業界トップレベルの水準にあると推定しています。店舗出荷と倉庫出荷をハイブリッドで行っていますが、楽天との連携強化でネットスーパーの基盤を一段と拡充し、2025 年には売上倍増をめざします。

西友は昨年度、過去10年間で最高水準の売上高と収益率を達成。売上高7850億円(前年比5.6%増)、売上比のEBITDA(Earnings Before Interest, Tax, Depreciation and Amortization、税引前利益に支払利息、減価償却費を加えたもの)が5%となった。新たな中期経営計画で、2025年度に以下の達成を目指すとしている。

●流通総額(西友の店頭売上げと楽天西友ネットスーパーの売上合計)を現状から+1000億円

●営業利益を現状比2倍

●ネットスーパーの流通総額の構成比2桁到達

これらの目標を達成するために、新たな中期経営計画では次の重点施策を行う。

⑴価格競争力と価格以外の価値提供のトレード・オン

西友は、EDLP 戦略のもとで確立してきた業界トップクラスの価格競争力に加えて、今後は、地域のお客様が求める価格以外の価値(簡便性、健康志向、メニュー提案など)を飛躍的に高め、低価格と価格以外の価値提供を両立させる西友独自のトレード・オンを実現してまいります。

⑵商品開発力と販売力の強化

PB「みなさまのお墨付き」やセレクト商品など、独自性のある商品を強化してまいります。また生産段階、原材料段階まで踏み込み、生産効率、物流効率、在庫効率を向上させる調達戦略を強化します。

商品部と販売部門が一体となった週次マネジメントを開始し、商品ごとの売上、粗利益、在庫、生産性のデータ精度をあげ、データに基づいた売場管理とPDCAサイクルを週次で回します。

4月以来この取組みを行っておりますが、既に粗利率の改善など効果が表れています。

⑶ネットスーパーの拡大と、デジタルトランスフォーメーション(DX)強化

「楽天西友ネットスーパー」の店舗出荷において、取扱店舗と取扱量の拡大、生産性向上を行います。倉庫出荷においては、柏と港北の専用センターに加え、大阪・茨木市に新たな専用センターをオープンします。

株主である楽天の協力を得て、楽天経済圏を活用したデジタル・マーケティングを強化します。

また、西友店舗と楽天西友ネットスーパーでの体験を、デジタルを通じて繋ぎます。

なお株主構成の変更に伴い、情報システムをウォルマートのシステムから切り離し、OMO を加速化するより柔軟な西友独自のシステムを構築します。

⑷店舗と教育への投資

コロナ禍によるお客様の購買行動の変化に柔軟に対応し、利便性とお買い物の楽しさをさらに向上させるため、店舗への投資を行います。昨年度、50店舗の改装を実施しましたが、今後も同規模の改装を継続して行ってまいります。

昨年来、デジタルを使った社内コミュニケーションに注力していますが、教育においてもデジタル化をすすめ、店舗で働くアソシエイト(従業員)に対するEラーニングを強化します。

⑸本部機能と組織の改革

新経営体制のもと、新たな中期経営計画を実現するためには新たな組織体制への移行が急務であると判断しました。そのため、現在の本部組織を見直し、より商販一体型でお客様ニーズに即応できる、生産性の高い強力な本部組織を構築してまいります。

①商販一体の営業部門

商品本部、販売本部、EC事業本部、物流本部、営業企画本部、マーケティング本部を営業部門と位置付け、商販一体での戦略実行、課題対応力の強化と迅速化を推進します。

②本部人員の適正化

新たな経営体制における最適な組織構造を策定した結果、本部における希望退職制度の実施を決定しました。2021年8月下旬までに、本部社員の約200名の希望退職を募ります。なお、通常の退職金に加え、割増加算金を支給するとともに、希望者には再就職支援を実施いたします。

西友は、この中期経営計画を成し遂げることによって、小売におけるOMO/DXのリーダー、高い収益性を実現するトップクラスのスーパーマーケットをめざしてまいります。

お役立ち資料データ

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    2023年上半期注目のスーパーマーケット5店舗を独自の視点でピックアップし、企業戦略を踏まえた上で、出店の狙い、経緯、個別の商品政策(マーチャンダイジング)まで注目点を網羅。豊富な写真と共に詳しく解説しています。 注目企業における最新のマーチャンダイジングの取り組みや、厳しい経営環境と向き合うスーパーマーケットのトレンドを知ることができ、企業研究、店舗研究、商品研究などにご活用いただけるほか、店舗を訪問するときの参考資料としてもお勧めです。 <掲載店舗一覧> ・ ヤオコー/トナリエ宇都宮店 ・ サミットストア/川口青木店 ・ 原信/紫竹山店 ・ ライフセントラルスクエア/ららぽーと門真店 ・ …

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