ナショナルブランドとは?プライベートブランドとの違い、メリット・デメリットなどを解説

2023.06.08

2022.04.27

日本国内はもちろん、全世界中に著名なナショナルブランド(NB)がある。一方、ナショナルブランドと対極の存在として位置付けられるのがプライベートブランド(PB)である。2つのブランドからは、メーカーと小売業者、卸売業者の関係性を把握できる。この記事では、ナショナルブランドの概要とプライベートブランドの違い、ナショナルブランドのメリットとデメリットを解説する。

ナショナルブランドとは?

ナショナルブランドとは、一般的に製造者(メーカー)が自社商品やサービスに付けたブランドを指す。商品の企画、開発、製造までを製造者が責任を持って行い、市場へ流通させる。

ナショナルブランドの商品やサービスは日本全国の小売店などで販売され、広告活動についてもメーカーが行う。そのため、ナショナルブランドの商品やサービスは日本全国の店舗やEC(電子商取引)サイト、テレビCMなどで見かける機会が多く、知名度が高いのが特徴だ。

ナショナルブランドとプライベートブランドの違い

ナショナルブランドと対になる存在に、プライベートブランドがある。ナショナルブランドとプライベートブランドの違いについて解説する。

プライベートブランドとは

製造者が開発したブランドがナショナルブランドであるのに対して、プライベートブランドとは小売業者や卸売業者が主体的に開発したブランドのことだ。日本ではダイエーの「セービング」をはじめ、1980年代よりプライベートブランドが徐々に台頭するようになった。なお、現在良品計画の「無印良品」ブランドは、かつては西友のプライベートブランドだった歴史を持つ。

プライベートブランドの代表例は以下の通り。

・イトーヨーカドー、セブン-イレブンなど「セブンプレミアム」

・ローソンストア100「バリューライン」

・ファミリーマート「ファミマル」

・イオン「トップバリュ」

・西友「みなさまのお墨付き」「きほんのき」

ナショナルブランドと異なり、プライベートブランドの場合、製造は委託先の製造者が行い、販売や在庫管理、宣伝などを小売業者、卸売業者が行うケースが多い。製造元と販売元が異なるのが、プライベートブランドの特徴の1つだ。

販売している場所が異なる

ナショナルブランドは、当然のことながら日本全国のさまざまな場所で販売しているのが特徴だ。異なる形態の小売店、卸売店でももちろん販売される。

一方、プライベートブランドに関しては、こちらも当然のことながら基本的にはブランドを手掛ける小売店や卸売店、系列店のみで販売される。例えば、イオンの「トップバリュ」商品を取り扱うのはイオン系の企業のみ。

販売価格が異なる

一般的にプライベートブランドは、ナショナルブランドよりも流通過程にかかるコストをカットできることから価格を抑えて同種類の商品の製造や販売を実現している。

ナショナルブランドのメリット・デメリット

プライベートブランドとの違いを踏まえて、ナショナルブランドのメリット・デメリットを解説する。

ナショナルブランドのメリット 

ナショナルブランドの最大のメリットが、ブランドにおける信頼性の高さだ。企業や商品の知名度が高く、消費者からの信頼性が高いことで販売店側との取引でも優位に立ちやすい。ナショナルブランドによる企業や商品のブランディングによって、顧客のロイヤリティを高め顧客をファンに育てやすいメリットもある。

販売できる場所の制限がないため多くの顧客へ販売機会が得られるメリットもある。

ナショナルブランドのデメリット

ナショナルブランドは、日本全国のあらゆる店舗で販売できる分、価格競争になることも少なくない。また、一般的にブランディングのために販促などに多くのリソースやコストをかけているが、これはデメリットになるかもしれない。

プライベートブランドの製造を大手メーカーが手掛けることも少なくないが、そのため、ナショナルブランドとプライベートブランドの製造元が同じメーカーとなり、競合となってしまうこともある。

これにはナショナルブランドのシェア争いが関連していることもあるが、いずれにしてもプライベートブランドの製造を手掛ける場合、どのような品質で、どのような価格で開発するか、ナショナルブランドとのバランスなど、さまざまな要素が絡む複雑な要素があることも確かである。

ナショナルブランドまとめ

ナショナルブランドの概要、ナショナルブランドとプライベートブランドの違い、ナショナルブランドのメリットとデメリットを解説した。ナショナルブランドは知名度が高く、日本全国でも多くの小売店で目にする機会がある。

一方、小売業者や卸売業者の取り組みや努力により、品質面とコスト面を両立させたプライベートブランドも数多く台頭している。今後も多くのナショナルブランドとプライベートブランドが誕生し、互いに競い合うことで市場における商品品質や価格面での相乗効果が期待できるだろう。

編集長竹下より

日本では歴史的にナショナルブランドの存在感が大きかったと見る向きは多い。メーカーは技術への投資を継続しながら、日々、新たな商品を開発し続けていることもあって、販売を担う小売業側の意識としても「餅は餅屋」ということで、小売業が商品を開発(プロデュース)しても中途半端になってしまうという発想があったこともあるだろう。

しかしながら、考え方を変えれば、小売業はお客に近いところにいるため、お客の考えがより分かるといったこともある他、他企業との差別化などのため、小売業のプライベートブランドに対する意識も次第に高まっている。ナショナルブランドとプライベートブランドのバランスがどうなっていくのかは大きな注目点といえる。

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