商流とは?流通4機能とビジネスモデル俯瞰図についても解説

2021.08.25

「商流」とは商品が生産者から販売者を経由し、消費者に至るまでの流れである「流通」機能の1つ。「流通」には「商流」と「物流」「金流」「情報流」の4つがある。「ビジネスモデル俯瞰図」とは自社の商流や物流、資金の流れなどを図式化し、業務の全体像を誰もが簡単に把握できるようにしたものである。

「商流」は「流通」4機能の1つ

「流通」とは、商品が生産者から消費者に至るまでの一連の流れをいう。流通には「商流」と「物流」、「金流」、「情報流」の4つの機能が含まれる。流通の本来の目的は立場が違う生産者と販売者、消費者間のギャップを埋め、利便性を高めることにある。

(1)商流

「商流」は商的流通の略語で、商品が生産者から消費者に至るまでの所有権の流れをいう。商品と所有権は一緒に動くこともあれば、別々に動くこともある。

たとえば販売者と生産者との間で買取仕入の売買契約をすると、商品とともにその所有権も販売者に移行する。だが委託仕入では商品は販売者に移動しても所有権は生産者が所持したままである。

その後商品が消費者に購入されたときに、所有権が生産者から販売者に移動する。また、消化仕入は委託仕入と同様、最初は商品のみが販売者に移動する。その後消費者から購入の注文を受けた段階で、所有権が販売者に移行する。

販売者と消費者間の商流の例も見ていこう。消費者が販売者からローンで商品を購入した場合、消費者は商品の使用はできるものの、ほかの人に売却して手放すことはできない。

これは商品だけが消費者に移動しており、所有権は販売者が持っているからである。消費者がローン会社からの信用を得ている、かつ販売者がローン会社を信用しているからこそ、この販売契約は成立している。

(2)物流

「物流」とは物的流通の略語で、生産者から消費者に至るまでの商品の流れをいう。日本で高度経済成長が始まった1950年代に、当時は世界最大の経済大国であったアメリカの流通を日本人が視察。「フィジカルディストリビューション(Phycical Distribution)」の言葉を日本に持ち帰り、物的流通と訳したのが由来とされている。

物流はシーン別に6つの機能を含んでいる。1つ目の「荷役(にやく)」は輸送手段に商品の入った貨物を積み込む、または下ろすことをいう。近年はコストダウンと合理化のため、コンテナやパレットが活用されることが多い。

2つ目の「包装」は輸送の際に商品が破損しないよう、ダンボールやプラスチックコンテナなどに入れること、3つ目の「輸送」は商品を輸送手段に積み込んで物理的に移動させることをいう。輸送手段には鉄道や船舶、飛行機、トラックなどがあり、貨物として扱う商品に適した輸送手段が選ばれる。

4つ目の「保管」とは、商品を製造するための原材料や部品、製造した商品などを備蓄すること。注文にすぐに応じられるよう、あらかじめ一定数の原材料や商品を蓄えておく必要があり、一般的には物流センターや倉庫が使われる。

5つ目の「流通加工」は、商品の流通段階で行われる加工をいう。物流センターでの精肉の解凍と小分けのパック詰め、服のハンガー掛けや値札付けなどが流通加工にあたる。

6つ目の「情報」とは、商品と原材料、部品などをすべてデータで管理することである。以前は発注に電話やFAXが使われていたが、近年は倉庫管理システム(WMS)や量販店などの電子データ交換システム(EDI)などが普及し、人為的なミスと手間を削減している。

(3)金流

金流とは、商品が生産者から消費者の手元に届くまでのお金の流れをいう。たとえば消費者が販売者から商品を宅配便で配送してもらう際、消費者は品物と引き換えに配送業者にお金を支払う。そして配送業者から販売者へは、月1回などと決まったタイミングで商品代金がまとめて支払われる仕組みだ。

生産者と販売者間のBtoB取引の場合、掛売では商品仕入のタイミングごとでなく、毎月決まったタイミングで締め、翌月や翌々月に1か月分の代金をまとめて支払う。このように金流は商流や物流とは逆方向、消費者から生産者へ向かう流れであり、発生するタイミングも異なる場合がある。

(4)情報流

情報流とは、生産者から消費者まで商品が至るまでの情報の流れをいう。商流と物流、金流は一方向への流れだが、情報流は生産者と消費者間の双方向である点が異なる。

近年消費者は商品を購入する際、事前にネットなどで販売者や商品の情報を得ている。また、有機野菜の安全性を担保するためにスーパーの野菜売り場では生産者の農家の情報を掲示、パッケージに印字したQRコードから消費者が生産者の情報にアクセスできるような工夫もされている。

逆に販売者が、確かな消費者かどうかを情報により判断する例もある。たとえばローンやクレジットなどの後払いでは、販売者は消費者の信用情報を決済会社に問い合わせ、審査OKかを確認してから販売する。物流もIT化が進み、生産者から消費者の手元に届くまでをデータで追跡可能にするなど、商流と物流、金流を影から支えているのが情報流であるともいえる。

「商流」と「物流」との違いと関係性

商流が所有権の移動を指すのに対し、物流はモノとしての商品の移動を指す。商流と物流とは違う役割を持っているが、密接に関わっている。

たとえば商品の出荷作業の際、荷主から受注データを受け取るのは「商流」、倉庫が受注データを参照し、梱包するのは「物流」だ。配送業者に梱包した商品を引き渡すときには「商流」と「物流」が発生し、出荷完了のデータを荷主に送ることは「商流」にあたる。

日本では、業種別の流通構造が一般的であった。たとえば食品メーカーが商品を製造して卸売業者に販売、そこから小売業者が商品を仕入れて消費者に販売するまでが一連の流れである。

一方、近年はコンビニエンスストアのような多種多様な商品を扱う「業態型小売店舗」が増え、流通も業態別に転換する事例が増えている。商品を最短経路で運ぶ「物流」と複雑化した「商流」とを分離し、合理化する「商物分離」が進められている。

商流を理解しておくことの重要性

商流を理解していると取引先や関連企業とのやりとりに齟齬が生じにくくなり、コミュニケーションが円滑に。物流だけでなく商流も理解し、流通全体のフローを把握することで、どのセクションに課題や問題点があるのかがはっきり見えるようにもなる。自社内はもちろん、流通業務に関わるすべての企業に改善提案が行えるのは、大きなメリットといえる。

また、物流の現場責任者だけでなく、現場担当者レベルでも商流を把握していれば、日頃の業務で商流にエラーが出たときに素早い対処が可能になるだろう。

自社の商流の流れを示せる「ビジネスモデル俯瞰図」

「ビジネスモデル俯瞰図」とは自社で扱う商品の流れを図にし、外部の人にもわかりやすくしたものである。販売先と仕入先、業務委託先などの取引先すべてについて、商流と物流、金流を含めて図に示す。

ビジネスモデル俯瞰図は早期経営改善計画の策定には必須であるほか、金融機関などへの説明資料にも用いられている。自社の事業全体を俯瞰することにより現状把握と問題点の洗い出しをし、経営計画改善のための助けになるものである。

ビジネスモデル俯瞰図を作成するにあたり、経常利益と損益目標を第一にしてしまうと実際の状況とはかけ離れた、実現性が低い経営計画ができあがる可能性がある。ビジネスモデル俯瞰図は、まず現状把握と課題の抽出を念頭に置いて作成しよう。

ビジネスモデル俯瞰図はどう作成するか

ビジネスモデル俯瞰図を作成する際、まずは自社を中心に置き、仕入先と販売先を周囲に配置する。それぞれには事業内容と業歴、従業員数、資本金などの基本情報を書き込もう。

自社の情報はとくに詳しく記載する。業務フローを整理し、仕入から販売に至るまでを詳しく書くことで、強みと課題等が把握しやすくもなる。複数店舗を運営する小売業の場合、店舗ごとの基本情報も書き込んでいこう。店舗は貸借か自社物件か、従業員数と年間売上額はいかほどか。「客単価が他店より高い」や「リピーターが増えていて固定客が多い」などの強みと、「休日は良いが平日の売上が伸び悩んでいる」や「売上額に対して固定費が高い」などの弱みも書き出しておく。

そして自社が仕入先それぞれからいくら仕入れているのか、販売先にいくら売っているのかの割合を書き出していこう。特定の取引先への依存度を明確にし、支払と回収の条件を把握することで自社の資金がいつ、いくら必要かを把握できるだろう。そして仕入先から自社、販売先までの取引の流れを矢印で繋ぐと、サプライチェーン(取引の流れ)が図に示される。

ビジネスモデル俯瞰図の使い方と作成するメリット

ビジネスモデル俯瞰図を作成する過程で自社の強みと課題がはっきりと見え、改善案が浮かびやすくなるだろう。

たとえば小売店では来店客層の中心はどんな人たちなのか、それは季節や時間帯によって異なるのか。取り扱い商品は適正な価格設定がされているか、原価割れで販売しているものはないか。もし思うように利益が出ていないのであれば、仕入先の変更を検討すべきではないかなどと考えを発展させられる。

ビジネスモデル俯瞰図には、商流の流れが矢印で図式されている。商品の発注を店舗ごとで行っている場合、仕入ロス削減のためには一括仕入にした方がよいのではないか。商品ラインナップと入荷時期を見直し、客単価や来店客数を増やすことはできないかなどの改善案を検討するのにも役立つだろう。

商流を理解して業務改善を

商流がどんなものかを理解し、自社と取引先、関連企業との関係性を把握することは、自社に関わる流通全体を見直し、改善することにつながる。自社の発注担当と物流の現場など違う部署間でのコミュニケーションや、取引先や業務委託先とのコミュニケーションを進めるのにも役立つだろう。

ビジネスモデル俯瞰図は自社に関わる商流の流れを図で示し、誰にでもわかりやすくしたものである。現状把握と課題の抽出に悩む方は、解決のための手法の一つとして取り入れてみてはいかがだろうか。

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