イオン、トップバリュ3品目の値上げを発表、6月末まで据え置きの食品・日用品約5000品目の大半は価格を維持
2022.06.22
2022.06.21

イオンはグループのプライベートブランドであるトップバリュについて、2021年9月13日から食料品約3000品目、22年1月1日から日用品など約2000品目を追加した計約5000品目の価格を維持してきたが、そのうち3品目については7月4日から値上げし、価格改定を実施すると発表した。
昨今の原料やエネルギーの高騰に急激な円安が重なったことを受けたもの。3品目はいずれも低価格ラインの「トップバリュベストプライス」の商品で、もともと値入率も抑えられていたとみられ、粗利益率確保の観点から値上げに踏み切ったとみられる。
イオンとしては、PBは全ての原価を分解し、サプライチェーンの中で委託先の協力も得ながらコントロールできるため、さまざまな手を打てる。同時にお客に対して、値上がりする理由もしっかりと説明していきたいという。
その上で、今回のマヨネーズについては原料の7割近くが油である、カップ麺については、ノンフライ麺に使用するバレイショでんぷんが従来のヨーロッパからの輸入だったものを情勢を受けて国産に切り替えるなど対策する中で値上がりした、ティッシュについては為替による影響、とそれぞれの事情を説明する。
■2022年7月4日から値上げ予定の3品目(本体価格はイオングループ標準小売価格、①②の税込みは軽減税率の8%対象、②③はケース販売対象商品も値上げ予定)
①トップバリュベストプライスマヨネーズ
規格/500g
変更前/158円(本体)、170.64円(税込み)
変更後/198円(本体)、213.84円(税込み)
改定理由/植物油脂原料価格の継続的な高騰

②トップバリュベストプライス ノンフライ麺(しょうゆ、しお、みそ、うどん)
規格/各種 1 個
変更前/58円(本体)、62.64円(税込み)
変更後/68円(本体)、73.44円(税込み)
改定理由/小麦の原料価格の継続的な高騰

③トップバリュベストプライス外箱を省いたティシューペーパー
規格/150 組×5個
変更前/188円(本体)、206.80円(税込み)
変更後/195円(本体)、214.50円(税込み)
改定理由/急激な円安および輸入物流費の高騰

一方で、その他の大半の品目については7月以降も引き続き企業努力によって商品の価格維持に努めていくとしている。また、やむを得ず値上げをする場合やリニューアルのため一旦販売を終了する場合は、前もって店頭で告知するという。
値上げ局面にあって多品目にわたって価格維持をしてきたこともあり、現在ではトップバリュの中でも比較的価格に敏感な商品は1.5~2倍近く売上げの増加がみられるという。トップバリュ全体でも2けた近い伸長傾向を示すなど、やはりお客の価格に対する期待は大きなものがある。
トップバリュの開発に当たっては、①計画生産、②全量買い取り、③流通の中間コストの削減、④営業費・広告費の削減という4つを企業努力に取り組んでいるとする。
例えば「トップバリュベストプライス あらびきポークウインナー」は巾着包装をやめ、ピロー包装に変更することで資材重量を約28%削減した他、段ボール入数も10パックから12パックに増えたことで物流効率も向上。そうした施策によって100g×2袋で本体価格258円の価格を維持した。


また、タイから直輸入している「トップバリュベストプライス ライトツナフレーク」の缶詰2品目については、従来は翌月、もしくは翌々月までの発注だったが、販売計画をしっかり組み、需要予測の精度を上げることで発注期間を長期化。それに基づいた為替予約と併せ、4缶パックで本体価格338円に維持した。

また、日配の「トップバリュベストプライスおでん」は常温保存可能品であるが、従来は他の商品と併せてチルド物流を使うことが多かったが、これを常温物流体制に変更。結果、1個当たり10円のコスト削減につながった。

もちろん、価格を維持することで値入率自体は下がるが、「お客さまに数量を販売することで、粗利益額でしっかり判断していく。率の評価というよりは、お客さまに数量の支持を得て、粗利益額を残していくことに注目していく」(和田浩二・イオントップバリュ取締役マーケティング本部本部長)
イオンとしては、これまでは期限を設けて価格を据え置いてきたが、今回の価格維持については特に期限を設けず、今後、やむを得ず価格改定せざるを得ない場合にはしっかり告知していくというスタンスを採る。
今後は、例えば委託先がそれぞれ仕入れている原料をイオンが一括で仕入れ、それを各委託先に分配するなど、原料調達の仕組みを変えるといった取り組みなどにも踏み込むことでコストダウンを図ることなども視野に入れる。
「価格の上昇要因をしっかり理解し、それが1品1品の原価にどれぐらいインパクトを与えているかという原価構造をしっかり見直す。資材、物流、生産、為替などで工夫ができないか。要素を分解して何ができるかを考えていく。いままでの企業努力の範ちゅうを広げていくような取り組みになっていく」(和田本部長)
さらにトップバリュとしては例えばプラントベースの商品、オーガニックの商品、プロによる監修の商品といった新たな切り口による新しいコンセプトの商品を開発していくことが重要と考える。
トップバリュはリブランディングも予定されるが、イオントップバリュの土谷美津子社長は、「この秋から始めて来春がメインとなる。完全に変えていきたいと思っている」と意気込む。