小売でも導入が進む「RFID」徹底解説|バーコードとの違いとは?

2020.12.25

商品の識別において広く使われてきたバーコード。より高度な管理や業務の効率化につながる電子タグを利用した電波を用いてデータを非接触で読み書きするシステムRFIDの活用が本格化している。ネックだった電子タグの低価格も進み、レジ精算など店頭と物流を中心に、今後、小売業でも導入が加速していこうとしている。

バーコードとは何が違うのか?今さら聞けない、無線通信技術「RFID」とは?

バーコードは、光の反射率の違いによって、情報を機械で自動的に読み取ることができるよう表したもの。黒と白のしましまで表現される一次元シンボルと、黒と白のドットで表現されるもの二次元シンボルがある。

一次元シンボルで日本で使われているのがJAN (Japanese Article Number)コード。商品に貼付され、POSレジによって読み取られる光景は、スーパーやコンビニなどの店頭では見慣れた風景だ。

JANコードは一般的に13桁の数字から成り立ち、使える文字は0から9までの数字のみ。

左から数えて2番目までの数字が国コードで、その次に7桁のGS1コードと呼ばれる事業者識別コード、そのあとに3桁の商品コード、最後に1桁のチェックデジットによって構成されている。

JANコードを読み取ることによって、どの事業者のどの商品かが分かり、JANコードを利用する際には、事前に事業者コードのGS1コードを申請する必要がある。

これに対して二次元シンボルでは、1994年に自動車部品メーカーであるデンソーが開発したQRコードが国内に限らず世界中で広く使われている。Quick Responseの頭文字からとったもので、素早く読み取り反応するということから命名された。

JANコードと比較して、収納できる情報量が多く、数字だけでなく英字や漢字など言語のデータも可能だ。

QRコードをスマホなどの画面から読み込み情報を取得するのは広く普及し、最近ではPAYPAYなどのスマホ決済でも使用されている。

このようにバーコードは生活シーンに浸透し利用されてきたが、無線電波を用いICチップの中にある情報を読み書きする電子タグが登場し、新たな局面を迎えている。

電子タグは、データを格納するICチップと小型のアンテナからなり、電波を使い、内蔵したメモリのデータを非接触で読み書きする情報媒体。

ICチップには、識別番号や用途に応じてさまざまな情報が書き込まれ、ふつうは電子タグは電源を持っておらず、リーダライタが発する無線電波をアンテナで受けることにより、ICチップのデータの読み書きが行われる。

モノの識別に使われ、バーコードでは実現できなかった高度な管理や業務の効率化を実現するツールとして、注目が集まっている。

その電子タグを使って電波を用いてデータを非接触で読み書きするシステムがRFID(Radio Frequency Identification)

バーコードでは、レーザなどでタグを1枚1枚スキャンして読み取るが、RFIDは、電波で複数のタグを一気にスキャンすることができ、電波が届く範囲であれば、タグが遠くにあっても読み取りが可能。

さらに、バーコードだと、少し汚れているだけで読み取りできないことがあるが、電子タグは内部にメモリがあるため、タグの表面が汚れていても読み取れる。

小売では、レジ・検品・棚卸業務の高速化、防犯ゲートを用いた万引防止、消費期限管理の効率化による食品ロス削減など、さまざまな波及効果が期待される。

レジでは、いちいちバーコードを読み取る必要がなく一括して瞬時に清算、バーコードに比べて棚卸業務の時間はおよそ10分の1に短縮される。

さらに、電子タグから得た情報をメーカー、卸を含むサプライチェーン上で共有することができれば、市場に流通している在庫量を踏まえてメーカーが生産量を柔軟に調整したり、トラックの空き情報を共有して共同配送を進めたりするなど、製造・物流・卸・小売の垣根を越えたムダの削減につながる。

しかし普及には超えなくてはならないハードルも存在している。

  • 電子タグの単価、
  • 読み取り精度、
  • 貼付け技術、
  • 標準コードの普及

特に問題なのが価格。いままでは1枚数十円という電子タグの価格の高さがネックとなっていて、なかなか普及が進まなかった。しかし、10円程度に下がり、商品単価の高い商品には装着されるようになってきた。

経済産業省は1円以下を目標にしており、すべてのメーカーが商品に電子タグを付けることが実現し、商品のほぼ全てをRFIDで 管理できる環境が整備されていることを前提に、  

2017年4月、「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を行った。

2025年までに、コンビニ各社と連携し、「セブン-イレブン」、「ファミリーマート」、「ローソン」、「ミニストップ、ニューデイズ」のすべての取扱商品(推計1000億個/年間)に電子タグを貼付け、商品の個品管理を実現させるとしている。

同省では日本チェーンドラッグストア協会とも組んで、電子タグ、電子レシート、カメラ、スマート決済、AIなどのツールを活用した「ドラッグストア スマート化宣言」も行い、まず2025年までに取扱商品に電子タグを実装し、商品の個品管理の実現を目指している。

2019年2月に、電子タグを用いた情報共有システムの運用の実験をコンビニ及びドラッグストアにおいて実施した。

具体的な取り組みは一つはダイナミックプライシング。商品棚に設置されたリーダーが自動的に電子タグを読み取ることで消費・賞味期限が迫っている商品を特定し、当該商品を購入すると現金値引きまたはポイント還元を行う旨を実験参加者へ通知を行うことで、食品ロスの削減を促す。

もう一つは、来店者が手に取った商品の電子タグを読み取り、商品棚に設置されたサイネージから当該商品の情報等を流す広告最適化。

本実験では、電子タグが貼付された商品が入出荷される際に読み取りを行い、何の商品が、いつ、どこ にあったかのログデータをサプライチェーン情報共有システムに蓄積することで、商品の流れを可視化できるかも検証する。

協力したモニター家庭でも電子タグの読み取りをし、家庭内での電子タグを用いたサービスや、プライバシーへの配慮の方法などについても検討を行った。

こうした取り組みで、サプライチェーン情報共有システムを実験的に構築し、生活者を含むサプライチェーンのさまざまなプレーヤーの連携を通じた社会課題の解決や新たなサービスの提供について検討、情報共有システムの仕様などを整理する。

ローソンのRFID活用事例

ローソンでは「ローソンゲートシティ大崎アトリウム店」にて、RFIDを活用した実証実験を実施した。

対象商品に貼付した電子タグを棚に設置したリーダーで読み取ることで、消費期限が近い商品を特定。実験用LINEアカウントにて登録している顧客にお得な情報を通知し、対象商品の購入客に後日LINEポイント10ポイントを還元した。

客が手に取った商品を、商品棚に設置したデジタルサイネージで当該商品の情報や広告も流し、それぞれに合わせたおすすめの商品を紹介した。

さらにカウンターに設置したリーダーで、瞬時に商品に貼付された電子タグの情報を読み取り、スムーズな精算ができ、スマホに表示された電子レシート用バーコードを読み取ることで電子レシートを発行した。

メーカーや物流センターにて対象商品へ電子タグを貼付し、情報共有システムにデータを蓄積することで在庫情報等を可視化、サプライチェーン各層の連携強化を図った。

GU(ジー・ユー)のRFID活用事例

これに先立ち、すでに店舗に導入しているケースもある。アパレルのGU(ジー・ユー)は2017年9月15日、「横浜港北ノースポート・モール店」をリニューアルし、電子タグを使った新たなサービスを展開している。

商品をカゴごとボックスに入れ瞬時に精算できるRFIDのセルフレジを導入、精算にかかる時間はおよそ3分の1まで短縮、レジ待ちの行列を解消することができた。

レジや接客にかかる人員の削減につながり、検品、在庫管理、棚卸しといった作業も大幅な効率化が進んだ。

また、タブレット型の端末が搭載された「オシャレナビ・カート」は、店内を巡ると、ビーコンから情報を受信し、近くにあるおすすめ商品が表示される。気になった商品を端末にかざせば、色やサイズ別の在庫、コーディネート情報などを取得できる。

商品を持って前に立つと、その商品のおすすめコーディネート集や、実際に購入した人のレビューがデジタルサイネージに表示される「オシャレナビ・ミラー」も導入した。

こうしたサービスは電子タグを商品に取り付けることで可能になったもの、衣料品という単価の高い商品だからこそできた取り組みだ。

ユニクロのRFID活用事例

GUでの実験的導入を経て、同じグループのユニクロにもRFIDのセルフレジの導入も新宿、渋谷など都内の店舗でほどなくしては始まり、両社では2018年春夏商品から全商品を対象に電子タグの貼付を開始した。

それを受けて、物流システム・マテハン機器の世界トップメーカーダイフクと組んで、物流倉庫の自動化に取り組み、半年間のテスト期間を経て、同年10月からEC向けの有明倉庫がフル稼働を開始した。

24時間稼働で省人化率90%、自動検品率100%を実現、従来はオーダーから出荷まで8~16時間かかっていたが一気に15~60分に短縮した。入庫生産性は80倍、出庫生産性19倍、保管効率3倍と大幅に効率化された。

ユニクロは、国内10カ所の物流拠点でも自動化し、海外でも転嫁しを進めていこうとしている。

ニトリホールディングスのRFID活用事例

これに先立ちニトリホールディングスも子会社のホームロジスティクスが、ノルウェーのハッテランド社が開発したロボット倉庫「オートストア」を、2016年2月から「東日本通販センター」で稼働させている。

倉庫の広さは従来の半分、作業者数が4分の1ですみ、出庫生産性が5倍になるなどユニクロ同様効果が出ている。

オートストアのほかにも、2017年12月に、「バトラー」という大型商品の搬送が可能なロボットを西日本通販発送センターに導入している。人手に頼った従来の方式と比較して、出荷効率が4.2倍になり、今後は5倍まで引き上げる計画だ。

こうしてRFIDはいまや物流改革に欠かせないものとなっているが、セレクトショップのビームスでも、RFIDを導入することで、作業効率を従来の30倍まで向上させ、棚卸しのコストを低減、人件費の大幅な削減も実現させた。

物流は小売業にとって生産性を向上し収益力をアップさせるポイントとなるもの。RFID

による倉庫の自動化は、今後も取り組みが拡大していくだろう。  そして、店舗における取り組みもさらに進化し顧客満足度が向上、新たなサービスも続々と登場してくることが予想される。

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