顧客体験を向上するビジュアルIVRとは?導入事例や代表的なサービスと併せて解説

2021.12.01

2021.12.10

顧客からの問い合わせ対応やサポートを行う際、有効なプラットフォームとして活用されるビジュアルIVR。スマホが生活必需品の現代において、ビジュアルIVRの実用性は確かなものとなっている。実際、大手企業をはじめ、さまざまな企業がビジュアルIVRを導入しており、顧客体験の向上やオペレーター業務の負担軽減などに繋げている。

本記事では、ビジュアルIVRの基本的な概要から、利用するメリットを解説する。あわせて、活用事例や代表的なサービスも紹介するので、ビジュアルIVRの導入を検討中の企業は、ぜひ参考にしてほしい。

ビジュアルIVRとは?

ビジュアルIVRの解説をする前に、IVRを理解する必要がある。IVRとは「Interactive Voice Response」の略で、日本語では音声自動応答システムを意味する用語だ。

商品やサービスの問い合わせを電話で行う際、プッシュボタン操作で適切なコールセンターへ誘導された経験はないだろうか。このシステムがIVRにあたり、業態問わず多様な企業が導入している。

一方、ビジュアルIVRとは、Webサイトやアプリ上でメニュー表示を行い、適切なチャネルへ誘導するシステムだ。電話による音声ガイダンスで案内を行うIVRに対し、ビジュアルIVRはスマホやパソコン上から視覚的に案内を行う点が、大きな違いと言える。

ビジュアルIVRへアクセスする4つの方式

ビジュアルIVRへのアクセス方式としては、大きく分けて4種類存在する。ここでは、各方式の詳細を解説していく。

SMSでビジュアルIVRのURLを送信する方式

顧客から電話を受けた際、SMSでビジュアルIVRのURLを案内する方式がある。音声ガイダンスでビジュアルIVRの番号を選択すると、SMSでURLが送信される。顧客がURLにアクセスすれば、Webサイト上でサポートメニューが表示される仕組みだ。

希望者に対してURLを送信でき、スムーズにビジュアルIVRへ誘導可能。加えて、既存のIVRにビジュアルIVRを連携させることも可能なので、企業側も円滑なシステム導入を行える。

電話の発信操作でアプリが起動する方式

顧客が特定の電話番号へ発信することで、ビジュアルIVRを利用できるアプリが起動する方式。電話を発信しても、実際にオペレーターへ繋がるわけではなく、アプリのビジュアルIVRで適切なチャネルへ誘導する仕組みだ。

先ほどのSMSを利用する方式と同様、既存のIVRと連携が可能なため、スムーズなシステム導入を行えるだけでなく、開発コストを抑えることも可能。ただし、アプリのインストールが前提条件となる。

アプリ上にビジュアルIVRを埋め込む方式

専用のアプリ上にビジュアルIVRのメニューを埋め込み、適切なチャネルへ促す方式。アプリ開発が必要となるが、ビジュアルIVRはあくまでアプリの1機能として実装するのが基本。

企業がアプリを活用することには、高い集客効果や分析データの蓄積など、メリットが非常に多い。ビジュアルIVRの導入を機に、アプリ開発に着手するのも1つと言える。

Webサイト上にビジュアルIVRを埋め込む方式

自社サイトにビジュアルIVRのメニューを埋め込み、誘導する方式。顧客には電話をかける、アプリをインストールするといった手間がなく、手軽に利用できる方式と言える。

また、企業も既存の自社サイト上に、ビジュアルIVRを実装するだけで良く、比較的導入しやすいと考えられる。

ビジュアルIVRのメリット

ビジュアルIVRの導入には、顧客・企業双方にメリットがある。導入の必要性を知るためにも、次にビジュアルIVRのメリットを解説していく。

顧客体験の向上に繋がる

従来のIVRでは、音声ガイダンスによる入電の振り分けで、オペレーターの生産性向上に繋がっていた。しかし、顧客視点では、下記のような課題も見られた。

  • 音声ガイダンスを聞くため、操作時間が長くなる
  • 誤操作を引き起こす可能性がある
  • 内容の聞き漏れがあると、再びガイダンスを聞かなければならない

一方、視覚的に操作できるビジュアルIVRでは、長い音声ガイダンスを聞く必要がなく、プッシュ番号を忘れて最初から聞き直しということも起きない。また、受付時間を設ける有人のコールセンターと異なり、ビジュアルIVRはテキストでも解決方法を案内できるため、24時間顧客対応が可能。自分のペース・タイミングでサービスを利用できるのは、顧客にとって大きなメリットとなる。

加えて、電話を必要としないのも、ビジュアルIVRのポイント。電話が苦手な人でも、手軽に問い合わせを行えるだけでなく、バス・電車内など通話が難しい場所でも利用可能なため、隙間時間を有効活用できる。ビジュアルIVRの導入により利便性が高まり、顧客体験の向上を見込めるだろう。

オペレーターの業務量を軽減できる

ビジュアルIVRは、顧客の利便性向上だけでなく、自己解決の促進も目的としている。顧客の問い合わせ内容を、ビジュアルIVRのメニューから分岐させていき、最終的に最適な解決策を表示。画面設計や分岐設計が重要となるが、顧客自身がシステム上で課題を解決できるため、オペレーターの負担を軽減可能だ。

昨今、コールセンターでは深刻な人手不足に陥っている。顧客ニーズの多様化による業務の煩雑化や、クレーム対応による心身の疲弊などが、離職率を高める原因となっている。コールセンターの人材不足に悩む企業は、ビジュアルIVRの導入を積極的に検討してみてほしい。

機会損失を防止できる

コールセンターへ電話をかけた際、待ちきれずに切断した経験はないだろうか。これは放棄呼と呼ばれ、企業側としては機会損失に繋がってしまう。

しかし、電話の待ちが発生した場合に、ビジュアルIVRを案内すれば、顧客の自己解決を促せる。営業時間外でも対応可能な点をあわせ、ビジュアルIVRの導入で、顧客とのタッチポイントを増やせると言えるだろ。

ビジュアルIVRの導入事例

ここでは、ビジュアルIVRを導入し、成果を上げている企業の事例を5つ紹介する。

セブン銀行

セブン銀行は海外送金サービスを展開しており、口座数は年々伸長している。一方で、海外送金に関する問い合わせが増加したため、繁忙期でも顧客に待ち時間を与えないようビジュアルIVRを導入した。

ビジュアルIVRでは、多言語の顧客に対応できる、9種の言語メニュー画面を用意。電話の音声自動ガイダンス・チャットボット・SNSアカウントなど複数のサービスを配置し、顧客が利用しやすい導線を整備している。

コールセンターの電話混雑表示機能や折り返し電話予約機能も、ビジュアルIVR内に実装した。これは、自己解決の促進だけでなく、電話による解決を求める顧客のニーズにも対応し、満足度の向上を図るためだ。また、国柄や季節に応じて変動するニーズに合わせ、セブン銀行がメニューのカスタマイズを行える拡張性も備わっている。

ビジュアルIVRを導入した結果、9割のCS調査対象者がシステムに「満足」と評価。入電数の増加率も減少傾向にあり、問い合わせの分散に成功した。

カゴメ

飲料・食品・調味料の大手総合メーカーであるカゴメは、通販サイトの「カゴメ健康直送便」にビジュアルIVRを導入した。電話の音声ガイダンスから「1」を選ぶと、スマホ専用のサポートメニューURLがSMSで送信される仕組み。

メニューからは、商品の注文・よくある質問の確認・有人チャットでの質問・メールでの質問など、多様なサポートサービスを選択可能。また、折り返し電話予約も行え、希望の日にち・時間帯を選べる。自身の予定に合わせて、オペレーターと直接話しながら相談可能だ。

Hamee

Hameeは大人気スマホケース「iFace」を手掛けているが、その反面問い合わせ件数の多さに悩まされていた。8名体制でサポートを行っていたが、週明けの月曜日には、300件を超えるWebフォームへの問い合わせと、20~30件の入電がある。そこで、受電をなくすべくビジュアルIVRを導入した。

仕組みとしては、電話をかけてきた顧客に対し、音声ガイダンスで「Webサイトで対応しています。」とアナウンス。スマホを所有する顧客であれば、SMSでWebフォームへ誘導・折り返し予約フォームのURL送信などを行っている。

ビジュアルIVR導入後は、受電しない目標を達成。あふれ呼もなくなり、機会損失の防止や顧客満足度の向上に繋げた。

少額短期保険ハウスガード

BCP対策としてビジュアルIVRを導入したのが、少額短期保険ハウスガードだ。顧客がコールセンターへ電話した際、回線が埋まっていれば、ビジュアルIVRページのURLをSMSで送信する。

事故受付け・折り返し電話予約・FAQサイトなどを閲覧でき、知りたい情報へ容易にアクセス可能。実際、ビジュアルIVRの導入後、FAQサイトのアクセス数は増加した。顧客の不安を一早く取り除けるよう、仕組み化するだけでなく、コールセンター業務のひっ迫解消にも寄与している。

ネスレ日本

コロナ禍でも、コールセンター業務を在宅で行うべく、ビジュアルIVRを導入したのがネスレ日本だ。音声でチャット誘導ガイダンスを流し、希望した顧客には専用URLをSMSで送信。入電の一定数をチャット対応へ誘導することで、電話対応を行うオペレーターの削減を実現した。

また、SMS送信希望率は51%で、そのうちチャット対話を要求したのは85%と、多くの顧客がビジュアルIVRを利用。電話が苦手な顧客からの評価は高く、画像で確認できる点を支持する声もあった。

ビジュアルIVRの代表的なサービス

ビジュアルIVRは多くの企業により提供されているが、ここでは代表的なサービスを6つ紹介する。

KDDIの「VisualMenu」

先述のセブン銀行やオリコ、BIGLOBEなどの企業で採用されているのが、KDDIの「VisualMenu」だ。音声ガイダンスからSMSで、「VisualMenu」へ誘導する仕組み。Webをベースとしているため、顧客はアプリをインストールする必要がなく、SMSのURLをクリックするだけで手軽に利用可能。

カスタマイズ性が高いのも、本サービスの大きな特徴。メニュー配置パターンやコンテンツは、簡単に設置・変更を行える。仕様を変える度、KDDIへ依頼する必要がないため、自社コンテンツや顧客のニーズに合わせて、いつでも画面を設計できる。

NTTコムオンラインの「モバイルウェブ」

初期費用:51.5万円~

月額費用:2万円~

少額短期保険ハウスガードやANA Xでも導入されているのが、NTTコムオンラインの「モバイルウェブ」だ。SMSで「モバイルウェブ」へ誘導する設計だが、フリーダイヤル・ナビダイヤルからビジュアルIVRの導入まで、NTTコムオンラインが一元的にサポート。問い合わせ窓口が統一化され、システムの導入を進めやすい。

管理機能が充実しているのもポイント。予約更新機能では、リアルタイムでメニューを更新する以外に、時間を指定して更新することも可能。アクセスの少ない夜中に更新を行えば、利用者の混乱を招かずに済む。

また、フォーム作成機能が豊富に揃っており、コールバック予約受付サイトだけでなく、メールフォームやアンケートフォームも作成できる。顧客満足度に関するアンケートも、容易に実施可能だ。

インターコムの「Hasso」

初期費用:2万円

月額費用:2万円~

一般企業に限らず、小売・宿泊・不動産業・医療・官公庁など、さまざまな業界で導入されているのが、インターコムの「Hasso」だ。クラウド電話を利用するため、電話設備や回線工事が不要であり、簡単に導入できるのが特徴。短期間でビジュアルIVRの利用を始めたい場合に、おすすめと言える。

また、ポータルサイトなどを利用し、自社のWebサイトを所有していない場合でも、「Hasso」上でWebサイトを構築可能。ドラッグ&ドロップで容易に操作できるため、専門知識がなくてもWebサイトの構築を行える。

TMJの「みえなび」

TMJの「みえなび」では、CMSを採用している。導入企業の管理者側でUIデザインを変更できるが、メニュー名や表示順だけでなく、カラーやアイコンも設定可能。UIデザイン設計の自由度が高く、コーポレートカラーを前面に押し出せば、ブランディングにも繋がると言える。

また、導線設計サービスもオプションで提供されている。ビジュアルIVRは導線設計が非常に重要で、分かりにくいメニュー構成であれば、顧客がストレスに感じるケースも。最適な導線設計で顧客を誘導したい場合に、おすすめのサービスだ。

MOBILUSの「Visual IVR」

初期費用:15万円

月額費用:10万円

MOBILUSの「Visual IVR」は、GUI画面で直感的な導線設計を行えるのが特徴。シナリオフローは最大100個まで作成可能であり、プレビューで実際の画面を確認しつつ編集も可能。顧客目線でシナリオを作成・修正でき、公開前に入念なテストも行える。

アクセスの分析機能は非常に充実しており、コンテンツごとのページビュー数をランキングで確認可能。また、トップページもしくはランディングページを起点とし、顧客がどのような画面遷移を行ったか、グラフィカルに表示。導線設計の見直しに役立ち、「Visual IVR」を効果的に運用できる。

電話放送局の「SMS送信IVR」

初期費用:20万円~

月額費用:7万円~

サービス名の通り、SMSで顧客をビジュアルIVRへ誘導するのが、電話放送局の「SMS送信IVR」だ。固定電話からの入電であっても、携帯番号を入力することで、スマホへSMS送信を行える。

「SMS送信IVR」は、安定性の高さも特徴。データセンターを複数拠点で運用しており、年間4,000万件以上の処理件数を誇る。加えて、金融機関や保険会社など、高いセキュリティを必要とする業界にも導入されており、実績は500社以上。安心して利用できるシステムと言える。

ビジュアルIVRのまとめ

ビジュアルIVRは従来のIVRに比べ、CX向上や機会損失の防止、オペレーター業務の負担軽減など、多様な導入メリットがある。近年では、さまざまな業界で導入が進んでおり、成果に繋がった企業も多い。

ビジュアルIVRのサービスは、KDDIやNTTコムオンラインといった企業が提供しており、多数の導入実績もある。音声ガイダンスでチャネルの振り分けを行っている企業は、昨今のスマホ社会に適したビジュアルIVRの導入を、検討してみてはいかがだろうか。

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