セブン-イレブンが「街のスイーツ屋さん」を目指し、定番スイーツをリニューアル、有名店監修やフェアなども続々展開
2022.06.16
セブン-イレブン・ジャパンがオリジナルフレッシュフードの主力商品である「チルドスイーツ」の定番商品をリニューアルし、全国のセブン-イレブン2万1337店(2022年5月末現在)で6月14日から順次発売する。
新型コロナウイルスの影響もあって在宅勤務の普及などによりご自宅で過ごす時間が増える中、巣ごもり需要もあって20年3月から21年3月まではセブン-イレブンのスイーツの売上げは前年比で伸長するなど堅調だった。
しかしながら、21年4月からは売上げが下降傾向になった。「在宅時間が増えたことでお客さまはスイーツを食べる頻度が増えたが、お客さまを留められていない」(平田哲也・商品本部デイリー部ベーカリー・スイーツシニアマーチャンダイザー)と判断。

そこで専門店レベルの品質のスイーツを目指し、素材や製法、パッケージなどの細部にまで徹底的にこだわったリニューアルを実施することにした。
「セブン-イレブンとして、改めて目指すべき方向性を目標にリニューアルした。『街のスイーツ屋さんになりたい』。お客さまが何か甘いものが食べたい、ほっと一息を付きたい、そう思ったときにセブン-イレブンのスイーツを食べようと思っていただくよう、徹底的に商品の見直しを図った」(平田マーチャンダイザー)
スイーツはコンビニが特に注力する分野で、オリジナル商品の強みを生かして各社しのぎを削っている。今回の狙いは、専門店レベルにまで品質を高めることで、目的来店を促す核商品としての役割をさらに強化することにあるといえる。
「『スイーツといえばセブン-イレブン』にしたい。今回、ホイップクリーム、カスタード、あるいはスポンジ生地といった基本素材について1つ1つ見直しを図り、基本商品をリニューアルした。改めてお客さまへの告知としてCMやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を使った情報発信をしていく。若年層からシニア層までしっかり、スイーツについても取り込んでいきたいと考えている」(平田マーチャンダイザー)
ホイップクリームは乳脂肪分を従来より高めることで、こくを高め、口どけが良くなめらかに仕上げた他、スポンジ生地についてはセブン-イレブンのスイーツ専用にブレンドした薄力粉を使いふんわり、しっとりした食感に仕上げている。
商品ごと、リニューアルのポイントはさまざまで、例えば洋菓子の定番スイーツとして6月19日以降、順次全国で発売される「シュー・パティシエール」(本体価格160円、税込み172.80円)では4種類の小麦粉を配合し、さらに発酵バターを使用した生地にアーモンド原料のクッキーシートを重ねる2層の生地とした。生地に厚みを持たせることでしっかりとした食感や歯切れ、口どけの良さを実現した。小麦本来の甘い香りや味わいもしっかりと感じられるという。

生地を焼き上げる工程 焼き上がり
中のカスタードクリームは、従来からスイーツ専用の卵である「エグパティシエール」を使用しているが、その比率を増量することで卵のこくをしっかりと感じられるように仕立てた他、発酵バター使用したり、よりバニラの風味も感じられるようにしたりすることで、濃厚な味わいを実現したとしている。
また、6月17日以降、順次沖縄県を除く全国で発売される「ダブルクリームのカスタード&ホイップシュー」(本体価格150円、税込み162円)は「エグパティシエール」を使用したカスタードクリームと、リニューアルして乳脂肪分を高めたホイップクリームを合わせた商品だ。

同様に6月16日以降、順次沖縄県を除く全国で発売される「イタリア栗のモンブラン」(本体価格320円、税込み345.60円)も、渋皮付きのイタリア栗を使用したこだわりのマロンペーストを中心にホイップクリームとマロンホイップで包んだ。

こちらはリニューアルしたスポンジ生地を使用。薄力粉をセブン-イレブン専用の独自の配合にすることで、ホイップクリームとの相性が良く、口どけも良い生地になっているという。
また、和菓子では、6月14日以降、北海道と沖縄県を除く全国で順次発売される「北海道十勝産小豆使用 豆大福」(本体価格140円、税込み151.20円)、同じく6月14日以降、沖縄県を除く全国で順次発売される「ふわっとどら つぶあん&ホイップ」(本体価格210円、税込み226.80円)に使用するあんこに、昼夜の寒暖差が大きいことでアズキ自体の甘みが強くなる北海道十勝産のエリモショウズを使用。

さらに「北海道十勝産小豆使用 豆大福」では国産の餅米である「みやこがね」を使用した餅生地を使用。「ふわっとどら つぶあん&ホイップ」では前述の乳脂肪分を高めたホイップクリームを使用している。
原材料には、国内産地にこだわったものも多いが、今回のリニューアルに際しては昨今、原材料価格が高騰する中、改めて国産の原材料の取り組みを強化する目的もあるという。
セブン-イレブン・ジャパンでは来店を促す「フェア」の取り組みを強化しているが、5月度の「イタリアンフェア」ではパティシエの德永純司シェフ監修の商品を2品展開、結果、女性客が増える結果につながった。
そうした結果も受け、6月28日からは「ピエールエルメシグネチャー」「伊藤久右エ門監修」といった有名店監修の商品を順次発売する他、6月22日~7月5日14日間、「めちゃハピスイーツ」のフェアを実施するなど、連続して施策を打つ。
「品質向上の後に、さらにお客さまの来店優位につながるような商品を投入して、セブン-イレブンのスイーツを盛り上げていきたい」と平田マーチャンダイザーは力を込める。