気温上昇と梅雨時季に求められるもの|グロサリー編・2022年6月 「これは押さえたい」重点商品と売場展開

2022.04.26

2022.11.10

フロントオフィス企画 近藤 智

まず、重点商品、売場展開の前に「これは押さえたい」6月の暮らしのたたずまい、販促の流れを週単位で確認しておきたい。

第1週

5月30日(月)から6月5日(日)の週は、6月4日の「歯と口の健康週間」でキシリトールのチューインガムやオーラルケアグッズ、デンタルヘルス系を関連訴求。さらに食の伝統行事として梅干しやラッキョウを漬ける時季で、男性シニア層にも作り方をPOPなどで提案して、伝統の食文化を伝えて拡販する。

第2週

6月6日(月)から6月12日(日)の週。北海道以外ではこのころ梅雨入りとなる。部屋干し対策の衣料洗剤など関連グッズの重要がさらに高まる。米の産地ではこのころ、田植えとなり、農作業の合間のおやつ、間食として菓子パン、団子などの和菓子類の需要が上昇する。

第3週

6月13日(月)から6月19日(日)の第3週は、中元ギフトの売場づくりと先行予約がスタートするころで早期予約割引制度の利用促進、販促促進を強化する。夏の賞与での買物プランをめぐらし、家族全体でワクワクするころ。新規の商品提案で新規需要を確保したい。

第4週

6月20日(月)から6月30日(木)を変則的に第4週とする。6月21日は夏至で、1年で最も日が長くなる。このころは買物時間も長く、遅くまで来店客があるので、夕方以降の品切れ防止がポイントになる。例えば牛乳、ヨーグルト、食パン、弁当類などの目的買い商品の発注精度をさらに上げたい。

次にグロサリーの6月の販促アプローチ、テーマを4つずつに分けて売場展開と重点商品、トレンド商品を確認する。

加工食品

シニア料理教室盛況! 趣味の漬物づくり

最近、ショッピングセンターの中の一角に入店している料理教室が増えてきた。ガラス張りの教室で中の講義風景や調理の実習を行っている。曜日によってはシニア男性専用のクラスがある。

定年退職したシニア男性に、食べるだけでなく、料理を作る喜びや家族はじめ友人らに食べてもらう喜びを味わってもらおうということで盛況である。そんなシニア男性をターゲットに6月の第1弾として、漬物づくりを提案しよう。

6月はラッキョウを漬ける時季で、酢の月別の家計消費支出額は6月が最大値になる。ラッキョウ、梅などの本格的な漬物から、一夜漬け、ぬか漬けなど、比較的簡単な漬物まで幅広く提案訴求したい。さらに、酢や氷砂糖をはじめ関連販売として、他部門とのコラボレーションで焼酎、漬物用広口瓶など品揃えした売場を展開。

ラッキョウ酢、酢、梅酢、氷砂糖はじめ、漬物のもととして、たくあん漬け、高菜漬け、ビール漬け、ユズ漬け、キムチのもと、たたきキュウリのもと、一夜漬けのもとなどがある。

さらに、液状の浅漬けのもと、ぬか漬けのもとなども幅広く品揃えする。

気温上昇で食欲ダウン!? レトルトカレー!

このころは気温が上昇し、かつ湿度も上昇して、食欲がダウンし始める時季である。スパイシーカレーは食欲ダウンのときでも食欲を増してくれる便利なメニューである。しかも、簡単便利なレトルトカレーを中心に品揃えで訴求力のある売場を展開したい。訴求するアプローチは材料の肉のないベジタブルメインのカレーや肉の種類ごと牛のビーフカレー、豚のポークカレー、鶏のチキンカレーはじめ、イノシシや鹿、熊などのジビエカレーなど、おいしさと話題性がポイントとなる。価格訴求ではなく、品揃えで買上点数が上がる売場づくりを心がけたい。

レトルトビーフカレーの展開アプローチとして、有名店の名前を冠にした商品群を訴求。例えば、「炭火焼肉たむらのお肉が入ったカレー」「三田屋総本家」などがある。また、地名を冠にしたものでは、横須賀海軍カレー、函館カレーなどがある。

すっかり定着! テレワークのご飯!

コロナ禍、働き方がすっかり変わり、仕事場に出向いて通勤するという形になった。オフィスに代わり生活の場でのテレワークがすっかり定着した。そこで、外出の自粛という生活様式の中、買い置きした食材を飽きがこないように「テレワーク」というコンセプト、くくりで提案する。

ベースは「ご飯」で、和風、洋風、中華風、韓国風、エスニック風のいわゆる「五風」のレトルト調味料はじめ、ふりかけ類、即席スープ類、即席みそ汁などの簡単便利な食材を、飲料含めて品揃えする。

重点商品…まず、米、レトルトパックご飯が必須で、和風では牛丼のもと、洋風では豚のバルサミコソースのもと、中華風では八宝菜のもと、韓国風ではプルコギのもと、エスニック風ではトムヤンクンのもとなど。パスタ類、カップ麺、缶詰も重宝で、同時展開したい。

しっかり水分補給! 健康飲料フェア!

長期予報での気温予想は高いといわれている。そこで、本格的な夏に入る前に熱中症対策を兼ねて、スタミナと健康に良いといわれている飲料を提案する。販促のポイントは価格訴求ではなく、「健康情報」という付加価値をつけた品揃え訴求である。脂肪を燃やすなどの機能のあるトクホ飲料関連、エンド上段には栄養ドリンク類を展開して幅広い品揃え展開で訴求力を高めたい。

訴求力を高めるキーワードとして、「脂肪」「免疫力」「肝機能」などがあるが、商品の裏面表示を丁寧に読み込み、トクホ商品や機能性表示食品の特徴を正確に、丁寧に案内して訴求しよう。

妊産婦にもやさしいカフェインゼロの十六茶、脂肪がつきにくいトクホ黒烏龍茶、内臓脂肪を減らすのを助けるトクホヘルシア緑茶α、糖の吸収をおだやかにするトクホからだすこやか茶はじめ、機能性表示食品で血糖値対策として伊右衛門プラスなど。

菓子

歯と口の健康週間!菓子で健康習慣を!

6月4日から「歯と口の健康週間」がスタートする。菓子は虫歯の心配から、親が子どもに与えることをためらいがちになりやすい。そこで、子どもの歯だけでなく、心身ともに健康習慣になるようにこの機会に正しい情報を提供しながら提案する。適切に与えることで、おやつは心と体の両面から成長の糧になることなどを訴求する。

おなじみのロッテのキシリトールガムシリーズやモンデリーズジャパンのリカルデントはじめ、子どもに人気のポケット菓子をメインに品揃え。

子どもから若い女性層まで人気の連菓子!

吊り下げ式の4連から10連まである、いわゆる連菓子が子どもから若い女性層まで人気である。特にダイエットが気になる大人は机の引き出しにしのばせて、コーヒーブレイク用に1袋ちぎって食べられるので罪悪感少なく楽しむことができる。

吊り下げ用の専用什器が必要なので、ゴンドラエンドではなく現在の定番売場で展開して、メイン通路から目立つようにコーナー看板POPやスポッターを活用したい。

子ども用では1才からのかっぱえびせん、キャラクターではアンパンマン、スーパーマリオ、プリキュアなどやラムネ菓子、グミなどが人気。大人用では芋けんぴ、チロルチョコ、おっとっとなど幅広く展開。

親子で楽しもう懐かしい駄菓子!

6月19日は「父の日」だが、5月の「母の日」と比べると存在感が薄い。そこで、この機会に父と子どもの会話の接点を増やすべく、父が小さいころから食べていた駄菓子を一緒に食べながら話題にしようという提案訴求である。

駄菓子の必須アイテムは「かりんとう」だが、このカテゴリーだけでゴンドラ3本で展開している店もある。地方には独特の駄菓子があり、道の駅の人気商品などは即、採用したい。日本地図を掲げたエンドで各地の駄菓子を品揃えするのも良いだろう。

必須のかりんとうはざらめ付き、黒糖味、サツマ芋のけんぴ、しっとり系など約120品目の中から取り替え、入れ替えしながら展開。蜂蜜カステラサンド、鈴カステラ、松露、栗しぐれ、甘納豆などを展開。

暑いときはコレ! ラムネ菓子フェア!

気温上昇と共にさっぽり系、酸っぱい系はじめ、口の中で溶けて泡がでるラムネ菓子の人気も上昇してくる。そこで定番売場で品揃えしている商品群を、定番売場の棚板2段分を臨機応変に変えることで「ラムネ菓子」コーナーでの展開、あるいはエンドでの展開で訴求したい。エンドで展開する場合は、1個ごとの単品売りだけでなく10個、20個などのボール単位で販売できるような売場づくりとする。

また、大人用としては仕事の合間の頭のリフレッシュにブドウ糖入りのラムネ菓子をPOPで勧めたい。 重点商品…コリスのあわソーダラムネシリーズ、オリオンのミニコーラ、カバヤのジューCシリーズ、ロッテのきかんしゃトーマスとなかまたちラムネ、森永製菓のラムネ、アサヒのカルピスラムネなど。

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