後半、三寒四温で温かいメニューから春のメニューの提案対応をうまくこなそう|「これは押さえたい」グロサリー編・2023年2月

2023.01.19

フロントオフィス企画代表 近藤 智

今年は昨年と大きく違う点がある。それは「値上げ」問題である。昨年秋から食料品を中心に生活に直結する商品群が値上げラッシュになり、2022年は記録的な値上げの1年となった。帝国データバンクの調査によると、上場する主要飲食料品メーカー105社における昨年の価格改定品目数は最終的に2万822品目もあり、値上率平均が14%もあったとのこと。

過去には部分的一斉値上げはあったものの、全食品分野、全品目での一斉値上げが短期間に集中したことはなかった。生活者はバブル崩壊以降の過去30年間でも経験したことがない記録的な値上げラッシュの渦中にいる。

1月には580品目、2月には4277品目、3月には1693品目、4月には602品目が値上げ予定されている。特に2月は値上げ品目数が突出しているので、生活防衛意識、節約意識が強い消費環境下での販売促進ということを認識しておきたい。

1月30日(月)から5日(日)までの第1週。バレンタインセールは少し下火になったとはいえ、販促拡販の機会としてはまだまだ大きい。本命、ごほうび、感謝など、多用途化したバレンタインセールを盛り上げる。今年は「自分へのごほうび」を強調して、選ぶ楽しさ、見た目のかわいさ、賑やかさと華やかさを演出したい。

6日(月)から12日(日)までの第2週は、寒さと乾燥が続き新型コロナウイルス対策はじめインフルエンザや風邪予防対策にマスク、消毒スプレーや喉あめを携帯する人がさらに増えると思われる。食品関係部門だけ、日用品、雑貨関係部門だけの売場づくりではなく、コロナを機に関連商品つながりでの相乗効果のある売場づくりがポイントとなる。13日(月)から19日(日)までの第3週は、早いところでは大学への新入学が決まり、お祝いのハレ食材需要が高まるころ。社会人の転勤異動の内示など、新生活への引っ越し準備が増え、慌ただしくなって来るころでもある。まだまだ寒いのでホットな肉まん、焼き芋などの冷凍食品のおやつ類を訴求したい。

20日(月)から28日(火)までの第4週。この時季は気温、天候に配慮した臨機応変の展開がポイント。三寒四温で温かいメニューの鍋物や春のちらし寿司など冬と春のメニューの提案対応がポイント。そのためには商品手配準備、売り場づくり、オペレーション態勢を事前に確認しておきたい。

グロサリー

今年は南南東! 福を呼ぶ恵方巻!

世界を見渡せばウクライナ戦争、円安問題、身近な身の回りではコロナ問題に値上げ問題など、暗くて重い閉塞感が漂っている。そんな中、食を通してささやかでほほ笑ましい明るさを訴求したい。

恵方巻のいわれは季節の変わり目、邪気払いをして健康を願う行事といわれている。4年目に突入した新型コロナウイルス感染症はインフルエンザと同時感染も考えられるので、恵方巻で健康に感謝とさらなる用心の提案をしたい。

売場づくり、訴求のポイントとして、単なるのり巻きだけでなく、地方によっては焼肉を巻いたり、うなぎのかば焼きを入れたりして楽しんでいるところもあるので、バリエーションを提案する。恵方巻は寿司の一種なので、寿司といえば日本茶ということで、緑茶を同時関連販売も提案。また、今年は手巻き寿司とちらし寿司の同時展開にもトライしたい。

重点商品

きざみのりではなく1枚全形の焼きのりが必須。また、今年はこだわり度を深めて1枚全形の干しのりも品揃えして、食べるときに炙って焼きのりにして、香りも楽しむことも提案したい。見た目に楽しくなる錦糸卵、白ゴマ、酢、チラシ寿司のもと、肉巻き用の焼肉のたれなど。

使って重宝・便利! チューブ入り調味料!

時代のニーズと共に商品も大きく変わった例の1つがチューブ入り調味料。従来はチューブ入りワサビ、カラシなどはあったが、和風、洋風、中華風など、商品分類上、チューブ入り調味料のカテゴリーを独立させ、定番ゴンドラの中にまとまった売場をつくる小売業が増え始めた。

調味料は袋入り、パック入りなどが多く、一般的に容量が多い。結果、使い切れず台所の棚の中、引き出しの中、冷蔵庫の中で賞味期限が過ぎた調味料が散見される家庭は多い。そこで、値上げ状況下、節約志向のお客に「賢く使い切り! チューブ入り調味料フェア」などのエンド看板POPを掲げ、幅広く品揃え訴求したい。

重点商品

エスビー食品の和風では名匠シリーズ本わさび、お徳用シリーズ生しょうが、梅肉、柚子こしょう、青じそ、洋風ではつぶ入りマスタード、ホースラデイッシュ、きざみレモン、きざみバジル、中華風では香味野菜ミックス、粗切りトウガラシ、エスニック風ではきざみパクチー、ハラペーニョ。ハウス食品ではレモン、ゆず、かぼす&すだち、きざみ紅しょうが風、きざみガリ風、のっけてラー油などの各ペーストを提案訴求。

身も心も温まろう! ホットドリンク!

2月は大学はじめ入学受験の真っ最中。コロナ、インフルエンザ、一般の風邪などにかからないように体調管理が大切な時季。そこで、おいしく、健康維持にも役立つホットドリンクを訴求したい。カテキン豊富な緑茶、ネスレのミロのような栄養ドリンクのもと、飲む点滴といわれる甘酒、紅茶、コーヒー、ココアなどし好品として選べる楽しさをアピールする。カフェインレス、カロリーハーフ、甘さを抑えた微糖系や栄養機能食品など健康のお役立ちの一面も訴求。 

重点商品

一時期、品薄となったネスレのミロシリーズ、中でも栄養機能食品の「おとなの甘さ」は朝食にも重宝で、受験生の休憩時などさまざまなシーンに相性が良い。マルコメの糀甘酒、味の素AGFのブレンデイスティックカフェオレシリーズのカロリーハーフ、甘さなし、エスプレッソ微糖はじめキャラメルカフェオレ、紅茶オレ、チャイティオレ、ココアオレ。ネスレでは大人のご褒美シリーズで宇治抹茶ラテ、アールグレイミルクテイ、ロイヤルミルクティなど。

三寒四温! レトルト調味料で臨機応変に!

この時季、寒さがまだまだ厳しいころで湯気の出る温かい鍋物が常連メニューだが、鍋物以外に肉や野菜をたっぷり使った中華風のホットメニューを提案。体が温まるスパイシーなレトルト調味料を品揃え。おいしく、温まる調味料として、オイスターソース、コチュジャン、トウチジャン、トウバンジャン、テンメンジャンなども同時展開したい。また、関連として、スープ類、飲料類も同時に陳列する。

重点商品

中華合わせ調味料として、味の素クックドゥシリーズでは、四川式と広東式の各麻婆豆腐、チンジャオロウスー、バンバンジー、酢豚、ホイコーロウ、八宝菜、カンシャオシャーレンなど。丸美屋では麻婆豆腐の素鶏白湯味、麻婆もやしの素、麻婆白菜の素、よだれ鶏の素、豚しゃぶ香味だれはじめ、春雨シリーズ、チャ-ハンの素シリーズ、新発売の贅を味わうシリーズでかに玉の素など。

菓子

鬼は外、福は内! 節分豆菓子フェア

この時季、恵方巻と連動して子どものいる家庭では豆まきが年中行事。そこで、小さな子どもの健やかな成長と健康を願って「年齢の数だけ豆を食べよう」という案内POPを売場に付けたい。親よりも、孫需要としてシニア層に訴求。コロナの状況次第だが、店舗の近くに幼稚園、保育園があれば、業務用大袋入りの予約販売も検討したい。

重点商品

おなじみの殻付き落花生、鬼のお面付きのテトラパック入り豆菓子、関連販売として甘納豆や芋納豆も同時訴求。

本命、ごほうび、感謝! マイバレンタイン

プレゼント用と自分用の2つの用途に分けて陳列をしたい。さらに、プレゼント用は本命用と義理チョコとに分けて売場をつくる。時流としては、自分用、ごほうび用の構成比が上がってきているので、売場構成比を一番広くしたい。義理チョコ用にメッセージカードも売場に準備しておきたい。

重点商品

本命用に地元の洋菓子店とタイアップして併売。ごほうび用は明治のハイカカオ商品群やロッテの乳酸菌ショコラ3種アソートパック、江崎グリコの睡眠の質を高めるGABAなど。義理チョコ用には森永製菓のチョコボールプチパック、不二家ルックファミリーパックやハートチョコレートなど。

熱いお茶と伝統菓子! かりんとう!

菓子売場での不朽の人気商品の1つがかりんとう。小売店舗によっては、駄菓子から独立させて、単独で定番売場としている。エンドや定番棚でも、とにかく選ぶ楽しさを訴求するために品揃えの充実がポイント。

重点商品

野菜かりんとう、煉蜜かりんとう、黒糖かりんとう、ミックスかりんとう、さつま芋をざく切りした芋けんぴなどを訴求展開。

期間限定・冬季限定! 今だけのおいしさ!

エリア限定、期間限定など「限定品」にトライするマニアがいてソーシャルネットワーキングサービスに挙げている。品揃えとPOP案内で話題作り、情報発信がポイント。

重点商品

珍味メーカーのなとりの「カツっ!全力かつやカツ丼合格祈願パッケージ」、ブルボンのルマンドホワイト、エリーゼイチゴ、亀田製菓の柿の種チョコ&アーモンド、ハッピーターンバターしょうゆ味などを展開。

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