狙い目は骨取りサーモン、うなぎかば焼き、砂抜きアサリ、蒸しタコ|鮮魚編・2022年5月 「これは押さえたい」重点商品と売場展開
2022.03.08
2022.11.11
エバーフレッシュ研究所 堀内幹夫
骨取りサーモン
相場高が続く中でも、他の商材のような大きな販売不振もなく、比較的安定して売上維持できているのがサーモンだ。鮮魚部門の中で、トップの売上げを示す単品はチリ産骨取り(無塩)ギンザケであり、2番目に来るのがチリ産甘塩ギンザケ、という企業、店は多い。
生食サーモンまで加えるとサケ、サーモンの部門売上全体に占める割合は相当に大きなものになる。中でも成長著しいのが骨取りサーモン。いまや「サーモン」「骨取り」は最強の組み合わせだ。人気のあるサーモンが骨取りになることで用途が格段に拡大し、子どもたちの大好きな洋風メニューにも強くなる。まだまだ伸びしろが大きい食材といえる。
写真は刺身用サクを骨取り切り身として加熱用途でも提案した例。刺身、生食用イメージの強かった解凍アトランティックサーモンのトリムEを加熱用途に転用、用途拡大を訴求した展開例。切り身で販売するときは「骨取り」シールを忘れないこと。
刺身用サクを骨取り切り身として加熱用途で提案した売場展開例 骨取り訴求シール
うなぎかば焼き
5月にもなるとうなぎかば焼きの動きが活発になる。相場は上げ基調。中国産の値上幅は国産に比べて大きくはないが、これにサイズアップが加わり1匹当たり原価は相当にアップする。
中心サイズの30尾、35尾、40尾となると1匹当たり売価は1180~1380円になる。1匹売価1000円を超えると「土用の丑」の本番はともかく、普段の日は動きが鈍くなる。
1000円を超えないようにするには、ハーフカットやサイコロカットなどカッティングが必要となる。ただし、ハーフカットの場合、下半身が残る傾向にあるのがネックだ。ひつまぶし用に小さく刻むのは、手間がかかり過ぎて現場では敬遠される傾向がある。そこで一口カットはどうか? うなぎを縦に2分割し、後はサイコロ状に切るだけで、手間も技術も最小限で済む。
中国産うなぎかば焼きの相場高、サイズアップによる1匹1000円超え対策。1000円を超えないためには、ハーフカットか、右写真のようなカット規格がお勧め。写真はいずれも40尾サイズ。2分の1匹分で売価698円
砂抜きアサリ
熊本県産アサリの産地偽装による2カ月間の出荷停止が決まった。出荷停止明けも一度失った信用を
取り戻すには時間を要すると思われる。
3月~5月のアサリの販売実績は相当に減少するものと予測される。アサリのマイナス分をどの商品で補うのか? 地域によっても策は異なる。東日本であれば、北海道産アサリで対処することも考えられるが、熊本県産の産地偽装発覚から値を上げている。他にシジミ、ハマグリ、地域限定となるが、ホタテ稚貝なども考えられる。
全国的な対応となると、ベビーホタテ貝をお勧めしたい。ベビーホタテ貝もこの4、5年、高値相場が続き、さらにはコロナ禍による試食販売の中止が大きく響き、売上げが縮小したままでいる。相場高は続いているが、生食用途だけでなく、みそ汁や炒め物など加熱用途での定着で売上拡大を図る。
地域的に限定されるが、アサリのみそ汁需要の代替であれば、ホタテ稚貝でもカバーできる。貝のエキス十分で、東北では人気がある。値段も安い。ベビーホタテ貝。相場高は続いているが、生食用途から加熱用への転換で売上拡大を狙いたい。
アフリカ産蒸しタコ
アフリカ産蒸しタコも相場高で売りにくい環境が続いている。サイズが少し大きめだと足2本で1パック単価が500円を優に超す場合もあるので値頃には注意。
相場高下の商品規格として一番のお勧めは切り落し。ぶつ切りは、切り落しと比較すると意外と重量がかさみ1パック単価が高くなるので高値相場のときはお勧めできない。スライスよりも生産性高く、ぶつ切りよりも値頃感の訴求がしやすいのが切り落しの利点だ。
「相場高だから」と消極的にならず、切り落し中心にフェーシングを確保し売り込みたい。相場高を嘆くよりも生食用のさまざまなフレーバーなどを紹介し、多様な食べ方提案を強化してはどうか。
定額売りよりもユニット販売が生産性も高くお勧め。ただし1パック当たりの値頃に注意。1パック300~350円前後が中心。小パックは250円前後、大パックは400円前後
売場展開
こどもの日の「手巻き寿司」
さまざまな仕掛けが実施されてきたが、一番ヒット率が高いのは「手巻き寿司」。子どもたちの好きなサーモンを中心に見た目かわいく、カラフルで楽しげな提案ができれば、成功率は高まる。
品揃えは海鮮手巻き寿司セット980~1480円、魚具材としてはサーモンの他に、マグロ切り落とし、マグロたたき、養殖マダイ、寿司エビ、イクラしょうゆ漬け、厚焼き卵などの品揃え。関連商品としてはすし酢、のり、大葉、ブロッコリースプラウトなど。
母の日の「サラダ特集+花造り提案」
今年の母の日はこどもの日と同じ週。ゴールデンウィークの最終日でもあり、どちらかといえば簡便志向になると予測。母の日もさまざまな仕掛け、企画が展開されてきたが、リピート率が高いのは手巻き・ちらし寿司やサラダ提案となる。
①手巻き・ちらし寿司、②サラダ提案、③花提案といったところが柱になる。サラダセットは、サーモンローズなどをあしらい、カラフルに仕上げる。最近、増えているのがカーネーションに見立てたサーモンローズなどによる花造り提案。量的に多くなくても刺身やサラダコーナーにちょっとあれば売場が華やぐ。
サーモンローズをあしらったサラダセット。「母の日」らしく華やかに仕上げる。最近、増えているサーモンローズによる花造り提案
ゴールデンウィークの「バーベキュー、鉄板焼き」
ゴールデンウィークはバーベキュー、鉄板焼きを提案。昨年は、コロナ感染の拡大ともにゴールデンウィークを迎え、職場仲間や町内会での大規模なバーベキュー、鉄板焼きパーティは減ったが、その分、家庭単位でのベランダや車庫、庭先でのバーベキュー、鉄板焼きが増えた。
今年のゴールデンウィーク期間の新型コロナウイルスの感染状況は、いまからは予測が付かないが、天候にさえ恵まれれば、今年も狙える。ただ、バーベキュー、鉄板焼きの売場展開はロングランであり、セット物の展開などは単価も高いことから鮮度劣化、消費期限を心配して腰が引ける展開が多くなる。
今年は、冷凍ケースでの展開をメインにしてはどうか。バーベキューセットや冷凍食材は冷凍ケースで展開、活サザエ、生アユ、解凍バナメイエビ、生スルメイカなどは冷蔵ケース、あるいは下氷付き平台で展開。バーベキュー、鉄板焼き商材は冷凍商品が多く、冷凍ケースでの展開であれば、ロングランの展開でも鮮度劣化によるロスの心配少なく、購入後も冷凍保存できることから、お客も買い求めやすいといえる。
トレンド商品
骨取り商品
「骨取り」商品の勢いがとまらない。サーモンを筆頭にサバや赤魚なども骨取り商品の動きが良い。売価強化よりも「骨取り」訴求の方が販促効果は高い。
最近では冷凍マダラや塩干商品にも「骨取り」商品が増えてきた。それに比べて意外と進んでないのが、インストア加工商品。養殖生ギンザケ、生トキシラズ、生秋サケや養殖ブリ、天然ブリ、生サバ、生マダラなどインストアで加工する商品の骨取り販売が遅れている。
骨を除去するのに手間がかかる、歩留まりが悪くなる、といったことが理由と思われるが、相場高で売上げがつくれないと苦しんでいるいまこそ、売れる商品にシフトする必要がある。インストア加工商品の「骨取り」化を積極的に進めよう。
簡便商品、ロングライフ商品
簡便商品や冷凍、真空包装商品はコロナ禍の中、最も伸びた商品群。買物の頻度が減り、買いだめが強まる中、冷凍商品のメリットを再認識した消費者が多かったのではないか。鮮度劣化や期限切れを心配することがなく、好きなときに好きなだけ使える冷凍商品や真空包装商品の使い勝手の良さに気付いたのではないかと感じる。
冷凍商品の中でも冷凍ミールキット商品やむきエビなど簡便性の高い商品に人気が集まり、殻付きエビや素材系商品の動きは、あまり良くなかった。人気のある冷凍商品の中でも、簡便の度合いによって二極化しつつある。
冷凍ケースが在庫置場化していた以前と比べ、売場は活性化し、さま変わりしつつある。冷凍商品の動きが良くなると、冷凍ケースの絶対スペースが不足する場面も出てくる。より効率が良い展開ができるよう冷凍ケース商品の動きに注意し、商品の改廃などの検討をする必要がある。
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