サクランボ、アメチェリ出回りと青梅対策| 青果編・2022年6月 「これは押さえたい」重点商品と売場展開

2022.04.25

2022.11.09

創風土 代田実

6月の青果売場は「この時季だけ」出回る商品が多く、しかもそれら品目の売上高構成が極めて高くなるのが特徴だ。

特にサクランボと青梅はトマトやキュウリ、スイカと並んで市場扱高ベスト5(東京都中央卸売市場2021年6月実績)に入るビッグアイテムなので確実に売上げを作っておきたい品目だ。

それに加えて気温、湿度とも高くなるこの時季からは、ネギ類、ミョウガ、大葉などの薬味野菜コーナーを充実させ、夏場にかけての売上げの下支えとしたい。

サクランボ

例年6月から7月前半にかけて出回るサクランボは同時季に出回るアメリカンチェリーと併せて展開することで、この時季の果実売上高トップとなる外せないアイテムだ。

特に昨年は国内生産量の7割を占める山形県産を中心に、春先の低温、降霜、天候不順の影響で出荷量が対前年比77%(農林水産省農林水産統計)の大不作となり、売上げを落とした店が多かった。

このため、今年が平年作なら大幅な売上増を見込むことができるので産地状況に合わせ、しっかり販売計画を組んでいきたいところだ。

売場展開のポイント

サクランボは4月~5月にかけての開花から収穫までの1カ月あまりの天候によって品種ごと出回り期間が前後し、出回り始めると一気にピークになることが多いので注意が必要だ。

前年の販売実績を基に売場展開を計画すると思わぬチャンスロスを生むことがあるので、産地、市場の情報を密に取り、タイムリーな売場展開を心掛けたい。

まず、出始め翌週には最大パターンで売場づくりを実施。前述のとおり、出始めると一気にピークとなる傾向が強いサクランボは出始め翌週には最大パターンでの売場を確保し、お客に「旬」をアピールしていきたい。その際は量販規格の産地パックに加え、手詰めパック、化粧箱も見せ筋として置きたいところだ。

次にアメリカンチェリーとの併売について。事前に週間売場計画を組んでサクランボの売場を確保したものの、微妙に入荷が増えず売場が埋まらないこともある。

そんなときのことも考えアメリカンチェリーとの併売を行い、国産サクランボとの商品構成を入荷状況に合わせて変えていくのも有効な方法となる。

また、サクランボは産地、商品状況に合わせた商品管理が肝要になる。サクランボは売上げも大きいが、1つ間違えれば大量のロスを発生させて利益面で足を引っ張りかねない商品でもある。

出荷時季と梅雨が重なることもあり、産地が雨の後入荷した商品は傷みやすいので品質チェックをしっかり行い、早めに売り切ることを徹底したい。

青梅

コロナ禍で在宅率が上がり、梅酒や梅干しなどを手作りする消費者が増え、昨年、一昨年と青梅の販売は全般的に好調だった。特に昨年は全国の青梅出荷量は不作だった前年の5割増しとなったこともあって、多くの店が売上げを伸ばしたはずだ。その実績を踏まえ、今年もお客に青梅の「旬」をしっかりアピールできるような売場づくりを行っていき、売上げを確保したい。

売場展開のポイント

この時季の代表的季節商品である青梅だが、青梅を購入するお客の生活シーンを想定した売場展開が重要となる。この時季は青梅を使った梅酒、漬け梅、梅シロップづくりなどを楽しむ人もいる他、ラッキョウやウリ類を使った漬物を作る人も多い。

青梅の売場展開をする際は、こうしたお客の行動を前提に、青梅、ラッキョウ、シロウリなどの他、関連する氷砂糖、ホワイトリカー、醸造酢、アカシソ、〇〇漬けのもと、ぬか床、タカノツメ、梅酒瓶などをそろえた売場展開にすることで店全体の売上げにつなげることが大切だ。

青梅の出回り時期は、その年の天候により微妙に前後する。そのため毎年梅酒を漬ける人が、昨年と同じ時季に漬けようと青梅を買い求めに来店しても、ピークを過ぎていて梅酒づくりに適した青梅がすでにないということもよくあることだ。

そこで勧めしたいのがお客への青梅の「買いどき」告知だ。梅酒、漬け梅を作るお客は、一番良い時季に品質の良い梅を買いたいと思うだろう。その時季を産地、市場の情報をもとに把握し、POPなどで店頭告知すればお客は確実に自店に買いに来てくれるはず。併せて事前に青梅の予約注文を受け付けるのも有効な顧客獲得策になる。

薬味野菜

多くの地域が梅雨に入るこの時季から夏場にかけては蒸し暑い日が続き食欲も落ち気味となる。そこで充実させたいのが料理に沿えるだけで食欲が増してくるネギ類、ミョウガ、大葉などをそろえた薬味野菜コーナーの展開だ。

周年販売している根ショウガや大葉、ミョウガの市場扱高は毎年6月~7月にピークとなっており、この時季にこれら薬味野菜の需要が高まることを表している。

売場展開のポイント

大葉やミョウガなど薬味野菜は軟弱なものが多く、平台での常温販売はロスのもとになることが多い。そこで勧めたいのが写真の例のように要冷ケースでコーナー化し、夏季期間中売場を固定化することだ。

いつも同じ売場で、安定した品揃えを維持すれば「目的買い」の対象としてお客に認知してもらえ、安定した売上げが見込めるはず。

また、他部門売場での関連商品としての販売も考えたい。加工食品や日配食品のそうめん、冷や麦売場や鮮魚、精肉売場で薬味野菜を関連販売商品として販売するのも有効な販促策となる。

麺類を購入するお客に向け、「薬味野菜を入れるだけで、ぐっと味が引き立ちます」とアピールすることが買上率アップにつながる。

押さえておきたい最新動向

シイタケの原産地表示見直し

消費者庁は3月30日、シイタケの原産地表示を従来の「収穫地」から「植菌地(シイタケを栽培する菌床や原木に種菌を植え付けた場所)」に変更すると発表した。例えば、従来は中国で菌床に種菌を植え付けたものを輸入し、国内で収穫したものは収穫した場所のある都道府県名が原産地となったが、今後は菌床製造地が中国であることを表示しなくてはならない。

これによって3月30日以降は、小売店頭でのシイタケの原産地表示も収穫地ではなく、植菌地での表示が基本となる。現状販売されているシイタケの多くは産地パックなので、産地責任でパックに表示がされるようになるが、ばらのシイタケを仕入れて店内加工したものについては、各店が表示義務を負うことになるので注意したい。

表示見直しのポイントは、まず、①表示義務は3月30日から発生するということ。ただし、今年9月30日までの半年間は、表示切り替えのための移行期間として従来の表示も認められる。

次に②菌床栽培の他原木栽培のシイタケも表示対象となること。そして③シイタケ以外のキノコ類は対象外であることだ。

上段の産地パック品にはラベルに「菌床製造地:長野県」の表示があるが、下段の店内加工品には表示がない。このままだと今年の10月以降は法令違反として指導を受けることになる

新しい基準での表示に切り替わった産地の表示例

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