本格的な夏到来でモモ、枝豆、スイカの量販|「これは押さえたい」青果編・2022年7月

2022.06.06

2022.11.10

創風土 代田 実

梅雨明けで、本格的な夏の到来となる7月には、急激に売上げが伸び、かつ売上高構成も大きな「押さえるべき品目」が幾つかある。本格的旬を迎える「モモ」、気温上昇と共に入荷量、需要共に上昇する「枝豆」「スイカ」だ。

これらの品目は総務省家計調査の支出金額を見ても、モモが前月6月の約5倍に、枝豆、スイカも1.5倍前後に急上昇するので、これに合わせた売場、品揃えの拡大を怠ると即座に大きなチャンスロスを招くことになるので注意が必要だ。

モモ

例年6月から本格的に出回るモモだが、6月に出回る小玉中心の早生種から7月になると白鳳、白桃系の中生種に切り替わり、中~大玉が増えてくる。

7月は年間で最もモモの消費金額が大きいので、価値ある大玉の販売や商品管理を行い、しっかりした売場展開を行うことで確実に売上げを作りたい品目だ。

売場展開のポイント

リンゴやナシなど他の果樹より果肉が柔らかいモモは傷みやすく、重ねず広い面を取った陳列で売場づくりを行い、売場のボリューム感を出すことが基本となる。

7月を中心に前後3カ月間の短期決戦となるモモの販売は、この間にリピート購入してもらえるお客が何人いるかがポイントとなる。そのためにも売場商品は定期的に売り切り、売場での長期滞留商品をなくすことで、販売商品の品質を維持してお客の信用を得ることが重要だ。

7月の果物売場最大の売り込み商品となるモモは、多SKUでの売場展開が基本となるが、「あれも」「これも」という総花的な品揃え、売場づくりをしてしまうと、お客もどれを買ってよいか迷ってしまう。

そこで大切なのが「自店のお薦め商品」、つまり「売りたい商品」は何かを明確にした売場展開を行うことだ。

具体的には品揃えSKUの中での売場スペース配分をめりはりのあるものにし、お薦め商品はぱっと見て分かるように他商品の倍以上のスペースを取り、POPでも「当店の一押し」「本日のお薦め商品」などのキャッチコピーと併せ、「いま味が良い品種」などその理由も伝えるようにしたい。

また、種が大きいモモは、小玉になるほど可食部分(いわゆる身の部分)が少なくなるので、一般的には大玉ほど価値がある半面、単価も高くなる。

そこで強化したいのが高単価でも買いやすい価格を作りやすい1玉販売の強化だ。ロスを防ぐため円筒状のパックに入れての販売がよいだろう。

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POPでお薦め商品を分かりやすくした売場例

モモの1玉販売、商品化例

枝豆

夏の風物詩ともいえる「ビールと枝豆」。最近は手軽に食べることができる冷凍枝豆を食べる機会が増えたが、ゆでたての枝豆は格段の風味なので、その点をアピールして売り込みたい。

売場展開のポイント

一般に出回っている枝豆の商品形態は袋入りと枝付きの2種類だが、これに加えて全国各地にあるブランド枝豆(山形のだだちゃ豆など)という3つの切り口での品揃え、売場展開を行うのが基本となる。

意外に知られていないが、枝豆をはじめとした豆類は収穫後の呼吸活動が活発で、それに伴い風味も低下してしまう「鮮度」が重要である品目だ。

その点で、鮮度が一番分かりやすい枝付きの枝豆は「鮮度」をアピールするのに最適な商品といえるし、風味も良い。ただし、鮮度保持のための処理をされた袋詰めのものより、鮮度低下しやすいので日々の売り切りを前提とした販売を行う必要がある。

また、全国には北から南までそれぞれの地方にブランド枝豆が存在し、独特の風味や食感を持っている。これらワンランク上のブランド枝豆を枝付きと共に品揃えすることで、品揃えの幅や深さを増すことができる。

ブランド枝豆販売時はPOPでの訴求の他、インストアでの商品化

など一般の枝豆との違いをアピールする工夫が必要だ。

ブランド枝豆と枝付き枝豆展開例

鮮度が際立つ枝付き枝豆

スイカ

4月後半から本格的に販売が始まるスイカだが、その売上げが最も高くなるのが7月の梅雨明け前後から8月の旧盆にかけてとなる。

少子高齢化や食生活の変化からスイカの消費は減少傾向が続いていたが、近年は切り売り、カットフルーツでの販売の伸びから反転し始めている。この流れに乗って売上げを伸ばしたい品目だ。

売場展開のポイント

切り売り、カットフルーツでの販売が主流になったとはいえ、スイカ売場らしさを演出し、お客の購買意欲を引き出す上で「玉売り」の売場確保は確実に行いたい。玉売りでお客を引き寄せ、切り売りで実を取る作戦である。

よくバックヤードに入荷したスイカが箱のまま山積みになっていて「これは切り売り用」と説明する売場チーフがいるが、これはもったいない話だ。

多少手間はかかるが、入荷した商品を全量玉売りで売場に陳列することで、それを目にしたお客の購買意欲がぐっと増すからだ。たとえ売れなくても、入荷した商品をお客に見せることで「カットしたスイカを買いたい」と思ってもらうことが重要だ。

見た目では鮮度が分かりにくいスイカだが、気温の高いこの時季に売場に陳列したスイカは、日に日に鮮度が低下し独特の歯ざわりである「シャリ感」が失われていく。玉売り売場のスイカは、ラベルシールに記号を入れたり定期的に売場全品を入れ替えるなど、入荷後4、5日を目安にカットして売り切るようにしたい。

スイカ玉売りの大量陳例

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スイカの切り売りと黒玉、黄玉など珍しいスイカの展開例

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