ミカン、リンゴ、マツタケなど秋商材導入と秋彼岸対策|「これは押さえたい」青果編・2022年9月

2022.08.15

2022.11.09

創風土パートナー 代田 実

コロナ第7波や気候変動に翻弄された夏も終わり、季節は徐々に秋へと向かっていく9月。青果売場の商品、売場展開も秋へと切り替えていくことが求められる。導入期の秋果実、秋野菜の展開に加え、秋彼岸の売場展開ポイントは次のような形で進めていく。

秋果実は導入期の商売がシーズンの明暗を分ける。9月から本格的に販売がスタートする秋果実は、ミカン、リンゴ、柿など数多い。いずれの品目も年末から年明けまで、最も長いリンゴは来年の夏まで販売を続けるロングラン商品となる。

この時季に自店でこれら商品を購入し、「満足」と感じたお客はシーズンを通して自店での購入を続けてくれるが、満足しなかったお客は他店で購入するようになってしまうことが多い。

また、この時季に出回る導入期の商品は「早生種」と呼ばれる早出しの品種で、旬の時期に出回るものと比べると食味や見た目、さらには棚持ちの点などで取り扱いに注意しなくてはならない。

ミカン

9月に出回る露地ミカンは早生種よりさらに早い時季に出回る「極早生種」と呼ばれる品種だ。「極早生種」は糖度が低い半面、酸味も少ないため「食べやすい食味」だが、旬の時期のミカンに比べ平均的な食味が劣ることを前提に販売する必要がある。

ポイントは2つ。①販売商品の食味チェックを頻繁に行うことと、②在庫を持たないことだ。

出始めの露地ミカンは産地や品種ごと、食味のばらつきが出やすいのも特徴だ。入荷商品の食味は日々チェックし、できるだけ食味の良い商品を販売できるよう心掛けたい。

また、相対的に糖度が低いこの時季に「糖度表示」を行うことは、マイナスに働く場合もあるので、入荷商品の糖度を見ながら慎重に実施した方が良いだろう。

9月のミカンは、産地の気温が高いため、果皮の葉緑素が分解せず青みの残ったものが多い。ところが、秋が深まり朝晩の気温が下がることで一気に着色が進むこともよくある。

安いからといって着色の悪いみかんを大量に仕入れ、競争店が色の良いミカンを売る中、青いミカンを売ることで売り負けしないよう在庫を持たない商売を心掛けたい。

売場展開のポイント

複数のSKUを売場展開するミカンだが、いたずらに品揃えSKUを増やすことは、かえってお客を混乱させてしまう。

売り手の意志(味へのこだわり、価格へのこだわりなど)を入れて品揃えを絞り込みつつ、どの産地、品種が自店のお薦めであるのかが分かるようなフェース取りを行い、分かりやすく、お客が選びやすい売場づくりを行うことがポイントだ。

リンゴ

9月から新シーズンが本格スタートするリンゴ。9月に販売するリンゴの主力となるのは「つがる」だが、早生種のリンゴのつがるは糖度が高く、酸味か少ないため食べやすい半面、日持ちが良いとはいえない品種だ。

そのため「買ったリンゴがぼけていた」など品質に関するクレームが多くなるのもこの時季の特徴だ。それを防ぐ意味でも、売場での品質管理をしっかり行い、早め早めの売り切りをしていくことが大切だ。

売場展開のポイント

つがるの販売がメインとなる9月のリンゴ売場展開だが、気候温暖化の影響もあり、つがるの販売切り上げ時季は早まる傾向がある。

一方で、つがるに続く品種の出回り時季も前倒し傾向にあるので、その年の入荷状況を見つつ、9月下旬以降は「早生ふじ」「トキ」「秋映」「シナノドルチェ」「紅玉」などの品種を積極的に販売していきたい。

左から早生ふじ、トキ、秋映、シナノドルチェ、紅玉

秋野菜とマツタケ

トマト、ナスなどの野菜は周年出回っているため、いま一つ季節感がないが、9月後半以降に出回る「秋ナス」は皮が柔らかく、甘味やうま味が強いので、旬の「秋ナス」をアピールしつつ売りみたい。

これとは別に9月からの秋だけ出回る秋の代表商材といえるのがマツタケだ。最近はアウト加工され、納入されるケースも多くなっているが、鮮度が重要となるだけに、インストアでの商品化にもチャレンジしたい商品だ。

売場展開のポイント

他の野菜と比べ単価の高いマツタケは果物と同じように、上物を品揃えしてお客の眼を引き付けつつ、手ごろな価格の量販品を売る「比較販売」を行うことがポイントとなる。

木箱入りで流通する上物は、乾燥を防ぐためセロハンで包むなどしてなるべく風が当たらない陳列を行う。

また、量販品をインストアで商品化する際は竹かごやヒバを事前に準備し、竹かごやトレーにヒバを敷いた上にボリューム感が出るように均等に盛り分け、元箱から商品化できた数で原価計算を行う。

表面が乾燥するなど、鮮度低下した商品は割いたり、スライスしたりしてトレーパックし、買いやすい価格で早めに売り切ることが大切だ。

大田市場でのマツタケ競売風景

売場に一箱は置きたいマツタケの上物

秋彼岸

今年は9月23日(金、祝日)の秋分の日を中日として、20日(火)~26日(月)までが秋彼岸となる。

8月の旧盆から1カ月あまりしかたっておらず、いま一つ存在感が薄いと感じる秋彼岸だが、売場展開で秋彼岸をアピールすることによってお客の「先祖を敬う」気持ちを呼び起こし、売上げに結び付けていきたい。

売場展開のポイント

盆とは違い、広い売場スペースを取ることが難しい場合、写真のように梨やブドウの売場の横にコンテナなどでコーナーを設営し、お供えセットなど彼岸商材を販売するとよい。

可能であれば、もう一つの彼岸商材である切り花と隣接してコーナー展開できればなおよいだろう。

また、写真の告知POPのように彼岸の入り(今年は9月23日)や中日を売場に掲示することで、彼岸商材の購入に結び付ける工夫も有効だ。

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