2回の3連休を商機に秋の商品、バーべキュー、鉄板焼き提案を|「これは押さえたい」鮮魚編・2022年9月

2022.08.31

2022.11.09

エバーフレッシュ研究所 堀内幹夫

この10年、秋の商売が大きくさま変わりしつつある。生サンマが9月に獲れなくなって久しいが、年々、厳しさが増している。さらには生秋サケ(生スジコ)、生秋イカ、生カツオ(戻りカツオ)など秋の旬商材も不漁、不順が続き、「秋の味覚、秋の産直フェア」の展開が難しくなっている。

もはや新たな組み立てを考えなければ9月の商売が成り立たなくなってきた。それでは、どの商品で、どう組み立てるかといえば、やはりマグロ、サーモン、うなぎ、タコなど養殖魚を中心とした主力魚種に頼らざるを得ない。しかし、その中身(品揃え、売場展開)は大きく変わってくる。

相場高により値頃感を大きく逸脱してしまう素材型商品を縮小し、代わりに値頃訴求しやすいSKUの拡大や付加価値商品の販売を強化する必要がある。

幸いにも鮮魚部門は商品の形や容量を変えることで値頃販売や付加価値販売が可能だ。全く別の商品として訴求することもできる。「相場高で売れない」と嘆くより、やるべきことをやろう。

9月19日(月)の「敬老の日」を含む3連休(9月17日~19日)と9月23日(金)の「秋分の日」を含む3連休(9月23日~25日)と、3連休が2回ある。

暑さも和らぎ、台風さえなければ絶好のバーベキュー日和が続く。この2度の3連休は敬老の日から彼岸へと続く時季でもあり刺身盛り合わせ単品刺身、本マグロ切り落としなど、「刺身商材」と「鮮魚の生寿司」を徹底強化する。

また、この数年の動向からすれば、生秋サケ以外は、あまりあてにはでないが入荷があれば積極的に拡販する。いつ来てもよいように商品規格の決定、作業態勢と販促資材などの準備だけはしておく。

海産物を使った「炊き込みご飯」提案

新米の出回る時季。炊き込みご飯のもとシリーズと、食材の展開で秋の味覚を強調する。売場展開のポイントは2つ。既存の炊き込みご飯のもとシリーズの提案。こちらはすでに魚具材と野菜などがたれと一緒にパッケージされており、このまま使える便利性がメリットとなる。

2つ目は、本格的な「炊き込みご飯」を楽しみたい人向けの提案。魚具材と関連の野菜、たれの提案。

料理レシピは必須。一度食べておいしければリピートにつながる。秋の旬魚の漁獲不漁、出回り不純が続く鮮魚部門にとって、秋の味覚として訴求できる大切な企画だ。新米と海産物のコラボレーションによる秋の味覚を訴求しながら、料理としても簡単でおいしいことを訴求する。

売場展開例

炊き込みご飯用たれの販売

トレンド商品

生秋サケ

相場高の中、「骨取り」「小切れ」がトレンド。順調な入荷が不安視される秋商材の中で唯一、ある程度は期待できそうであるのが生秋サケだ。ただ、輸入サーモンが相場高の中、よほどの大漁でもない限り、相場的には高値推移が予測される。

生秋サケはいまや骨取りが主力。切り身、厚切り切り身、小切れ、ブロックなど「骨取り」で展開。「サケ炊き込みご飯」「はらこ飯セット」用にも骨取り切り身は必須。バーベキュー、鉄板焼きシーズンでもあり、「サケのチャンチャン焼セット」の2人前、3人前の品揃えもしたい。

生秋サケの売場展開例。切り身、厚切り切り身、小切れ、ブロックなどの展開。今年のテーマは「骨取り」「小切れ」の充実。

秋のバーベキュー、鉄板焼きセット&材料

2週続けての3連休。またとないバーベキュー、鉄板焼きシーズンインとなる。9月に2週続けてある3連休、家族そろってバーベキュー、鉄板焼きでのホームパーティーの絶好の機会である。

食材としては、活サザエ、殻付牡蠣、殻付ホタテ貝(片貝)など貝類を中心につぼ抜きイカ(マツイカ)、アカエビなどが販売主力。生サンマや生秋サケ、生秋イカの入荷があれば、積極的に取り込む。

バーベキュー、鉄板焼きセットの他にプルコギなど野菜、魚具材、たれでキット化されたレンジアップ商品もお薦めだ。暑さの峠は越えたものの、まだ日中の気温高い時季だけに、喜ばれそうだ。

バーベキュー、鉄板焼きでの焼き上げサンプルの提示

バーベキュー、鉄板焼きでの焼き上げサンプルの提示

最後の追い込み時期に入った野菜、魚具材、野菜などでキット化されたレンジアップ商品。大売れはしていないが、平日で5、6パック、週末で7、8パックコンスタントに売れている店舗が多い。

刺身盛り合わせ、単品造り

単品造りはバンドル販売の復活。ただし、極端な値入低下を招かないバンドル企画で挑戦する。

9月17日(土)~19日(月、祝日)と23日(金、祝日)~25日(日)と3連休が続く。1回目の連休は、彼岸、敬老の日に加え、3連休もあり、刺身、寿司需要が高い。敬老の日は、普段より少し豪華な商品の提案。刺身では少量多品種盛りや少量高品質刺身の提案を。

23日(金、祝日)~25日(日)の3連休は、彼岸の中日とも重なり墓参り客へのおもてなし、親類縁者の集まりなど何かと食事機会の多い時季。刺身盛り合わせやちらし寿司、握り寿司を提案する。

最近、全面的な相場高の中で刺身のバンドル企画は値入不足を招くとの理由で中止する企業が多い。しかし、多くの企業が、残念ながら中止によって減少した売上げをカバーできないでいる。

素材の相場高のときは刺身、寿司など付加価値商品で売上げを積み重ねるしかない。極端な低値入れとなるバンドル企画は控えるとしても「単品造り1パック398円、どれでも698円(または750円)均一」など、値入れが極端に悪化しないバンドル企画を復活させ、売上回復を目指してはどうか。

本マグロ中とろ入り少量多品種刺身。売価1パック780円。中とろ、カンパチは12g、その他の商材は10g設定。

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