サンマ、サケの不漁受け、天然ブリに注目、カキは殻付きに着目を|「これは押さえたい」鮮魚編・2022年10月
2022.10.19
エバーフレッシュ研究所代表 堀内幹夫
店舗客数前年比よりも部門売上前年比が低い企業、店舗が増えてきた。全面的な相場高によるものか、部門支持率(店舗来店客数に対する部門購買客数の比率)が低下している。
トップアイランド(一番注目度の高い売場)にテーマ性を持たせて魅力ある売場にし、お客の立寄率を高める必要がある。何を売っているのか明確な売場、季節性のある売場展開することで部門支持率を高める。
温暖化により鍋物コーナーの立上げ時期が遅くなっている。鍋物コーナーを展開したのは良いが高気温により動きが悪く「ロスの山」にならないよう、当面は気温、商品の動きを見ながら対応する。
秋の味覚の先発組である生サンマ、生秋サケは今年も予測では不漁である。8月下旬時点でも、生サンマは漁獲が少なく、サイズは小型が多く、寄生虫による穴開き原料が多い。場合によっては、ヒネ物冷凍サンマや塩サンマを活用する。
生秋サケも漁獲が少なく、相場は高値推移している。高値により売れ数も限定されるので、1、2割程度も良いので「骨取り」切り身を実現してほしい。
秋の味覚の後発組として天然ブリ、生サバ、生ガキなどの入荷が増える時季。特に天然ブリは、養殖ブリの相場が超高値となっているだけに変色と寄生虫に注意しながら、上手に活用したい。
運動会、行楽対策としては、コロナの影響もあり、どのような流れ(実施状況)になるか注視しながら行楽商品やバーベキュー商材の準備を。
10月20日の秋の土用入り対策としては、このところ、うなぎ頼みの状態が続く。中国産を中心に仕掛ける。10月31日のハロウィーン対策は、企業によって展開についての温度差があるが、年々、盛大になっている。ホームパーティなどをする家庭が増えているため、28日(金)辺りから週末にかけて仕掛ける。狙い目は「サーモン」だ。
トレンド商品
ブリ(養殖ブリ&天然ブリ)
養殖ブリの方は高値相場が続き、拡販するには厳しい状況にあるが、この先さらに一段の相場高となる予測もある。幸いにも天然ブリの方は比較的漁獲も順調で、天然ブリを活用した「ブリたたき」「ブリカツ」などの加工品も増えつつある。
寒くなるにつれて天然ブリの身質がアップし、生食用途、加熱用途のどちらの販売も可能になってくる。養殖ブリと天然ブリを上手に使い分けながら、ブリの売上げの最大化を図りたい。
SKU展開
養殖ぶり | 天然ぶり | ||
格付 | SKU | 格付 | SKU |
売り込み | ブリ刺身用サク | 売り込み | ブリ4分の1切り身(80g)2切れ |
売り込み | ブリ刺身用スライス | 売り込み | ブリ4分の1切り身(80g)3切れ |
品揃え | ブリしゃぶセット | 品揃え | ブリ4分の1切り身(80g、たまり漬け)2切れ |
(週末) | ブリしゃぶセット(大パック) | 品揃え | ブリ分1切り身80g(たまり漬け)3切れ |
品揃え | ブリ切り身分1切れ(60g)2切れ | 品揃え | ブリたたきスライス |
品揃え | ブリ切り身4分の1切れ(60g)3切れ | (選択) | ブリカツ(外部加工) |
売り込み | ブリ切り身4分1切れ、小切れ(40g)3切れ | 売り込み | ブリ大根セット(半身分)1パック480円 |
売り込み | ブリ切り身4分1切れ、小切れ(40g)5切れ |
売場展開(天然VS養殖食べ比べ企画)
商品SKU例
養殖ブリ4分の1切れ、切り身(1切れ40gが目安、通常切り身は70g前後)
養殖ブリ刺身用サク(短サクよりロングサクの方が見栄えと割安感を両立しやすいのでお勧め)
養殖ブリしゃぶしゃぶセット(最近、少しずつ売れて始めている商品。週末は大パックの品揃え)
天然ブリたたき(変色の早い養殖ブリにたたき〈炙り〉は相性が良い)
生ガキ(生ガキむき身、殻付きカキ)
2019年のカキの1人当たり家計消費支出金額は前年比11.1%減の261円。10年前の09年対比で23.4%減となっている。00年以降で最も消費支出が大きかった01年と比べると47.9%の水準にまで落ち込んでいる(水産庁資料より)。
新型コロナウイルス騒ぎ以前には、オイスターバーなどの流行により、殻付きカキの需要が高まっていた。予約用のチラシを見ても「オイスターバーだからできる、カキ料理を堪能する極みの食べ放題!!」として生ガキ、カキの素焼き、カキフライ、カキの酒蒸し、カキのバターソテー、カキの炙りなど20品ものカキ料理を提供する」といったものもあった。提供内容はそれぞれの店舗、企業で違いはあるが、魅力的である。
オイスターバーなど提案が「殻付きカキ」主力に対して、スーパーマーケット(SM)の提案は何十年も「むきカキ」中心で変わらない。
SMも、オイスターバーなどプロモーションに倣って新しいメニュー提案を20品とは言わずとも、せめて2、3品でも強化し、売り込めたら数字は変わる。最近人気のレンジやオーブンを使った加熱メニューも提案を強化し、生カキの売上低迷から脱する起爆剤としたい。
売場展開例
殻付きカキの売場展開例
殻付きカキ8個に加えエビ、貝なども入ったバーベキューセット提案
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