和菓子の催事押さえつつ、七五三などを生かした洋菓子の売り込みを|「これは押さえたい」菓子・スイーツ編・2022年11月

2022.10.26

トルティーノ 中村 徹

2021年の11月は1日に東京都などで大規模イベントを開催する際、「最大1万人」としていた人数制限が解除されるなど徐々に行動制限が緩和されていった。

祝日は3日(水)が文化の日、23日(火)が勤労感謝の日と通常通りの休みであった。本年11月も3日(木)が「文化の日」と、23日(水)が「勤労感謝の日」と特別な連休などなく通常の休みとなる。

月全体では昨年と比べ月曜減の水曜増で曜日周りによる増減影響はほとんどない。11月は七五三があるがピークは13日(日)くらいになるだろうが、11月通してお参りは分散するであろう。

菓子関係の催事カレンダーを見てみると、毎月の催事日である6日(日)手巻きロールの日、15日(火)菓子の日、19日(土)シュークリームの日、22日(火)ショートケーキの日など菓子関係の日が多く存在する。

11月は10月に引き続き収穫のシーズンになる。今年の3カ月予報では東西太平洋側では晴れが多めで気温が平年並みの予想がされている。ただしラニーニャ現象が続き、急に気温が下がり、冬のさきがけのような天気になる日もあるともいわれている。昨年と同様、旅行など外出機会は増加するであろう。

一方で新型コロナウイルスの第7波の影響もどこまで残るか不明で、相変わらず客数の予測が難しい11月になりそうである。

総務省家計調査の「<品目分類>1世帯当たり年間の品目別支出金額,購入数量及び平均価格」を見てみると、品目別令和2年(20年)の年間の月別支出金額が掲載されている。菓子類の11月を見てみると、年間平均金額に対し、まんじゅが114.7%、プリンが106.8%、他の洋生菓子が107.1%、ケーキが103.5% と洋生菓子系が比較的好調な月となる。これらの商品群のトレンドを見るために「令和2年年間消費金額/平成12年(00年)年間消費金額」を計算してみると、他の洋生菓子が166.0%と大幅に伸び、プリンは101.0%と、わずかであるが伸長している。一方でまんじゅう43.6%、ケーキ91.6%と減少している。洋生菓子系は12月のクリスマスに向けて指数的に徐々に上昇してくる月となる。

これらを総合的に考えると和菓子の催事のポイントをしっかり押さえて七五三などの企画にのって洋菓子系を伸ばしていくと良いと思う。

亥の子

11月6日(日)は亥の子にあたる。昔は年だけでなく月や日も十二支を使って表していた。亥の月は旧暦の10月で現在の11月にあたる。亥の子の起源は、古代中国において行われていた「亥子祝(いのこいわい)」という行事が、日本に伝わって定着したものという説がある。

亥子祝とは大豆、アズキ、ササゲ、ゴマ、クリ、カキ、糖の7種を混ぜた七色の餅を食べると無病息災で過ごせるとされていた。これが5色(白、赤、黄、ゴマ、クリ)の餅に簡略化され、さらに赤の餅が小豆の入った餅に簡略化され、さらには牡丹餅に変化していった。

いまでは餅で小豆をくるみ、うり坊のようにした菓子が販売されている。11月はまんじゅうの指数も高く、曜日周りも日曜日で最高なので、11月6日は「亥子祝」と題していわれと共に訴求してはどうだろうか。

プリン

11月は6月と並んでプリンの指数が年間で最も高い月となる。00年対比でもプリンは伸びているためしっかり売り込みたい。冒頭に述べたように11月は気温も低下してくる。こういう時期になるとプリンの味と食感が好まれる。従って春先までは毎月「プリン祭り」、「プリンフェア」などと仕掛けていきたい。11月のカレンダーからすると25日(金)~27日(日)までの期間が適当であろう。

一言にプリンといってもプッチンプリンのような定番商品から洋生菓子に近いプリンアラモードまでさまざまである。秋口はカボチャプリンなども各社から発売される。これらを一堂に会して平台などで展開するのだ。もちろん販促物をしっかり準備して分かりやすい売場づくりをする必要がある。

プリンイメージ

11月は年間最大ピークとなるクリスマスに向けて他の洋生菓子の指数が上がってくる。11月の旬のフルーツはかんきつ系、柿や梨、巨砲、リンゴ、洋ナシなどがありイチゴもそろそろ店頭に並び出す。こういった食材とうまく合わせたカップケーキは好まれる商品となる。また芋、クリ、カボチャを素材とした洋菓子は定番となる。

和菓子でもこういった旬の素材をイメージした上生菓子などが提案できると菓子類も華やかになるであろう。いずれにしても11月は「晩秋」をイメージした展開をして、この季節ならではの豊富な素材の訴求をしていき、クリスマスのピークに結び付けたい。

イメージ

七五三

11月15日は七五三であるが、最近では分散して七五三のお参りなどを行う人が多いため、月間を通じて七五三の売り場づくりが必要になる。少しハレの日にも耐え得る商品を月間で提供していく必要がある。七五三は子供の成長を祝う節目の年で神社への参拝や写真館での写真撮影などが一般的に行われる。

これといった決まった食事やスイーツはないがお祝いの日であることは間違いないので、食卓を飾るスイーツを提供したい。現実的な品揃えとしてはコンビニスイーツ的なカップデザートやロールケーキ各種が主力になるであろう。いずれにしてもお祝いのごちそうプラスデザートで売上げに結び付ける必要がある。

七五三菓子イメージ

売場展開

11月の売場展開のテーマは「秋も終盤」「食欲の秋」「初冬」といった切り口になる。東京の11月初旬は最高気温20℃を超える日が多く過ごしやすいが、終盤になると最低気温が10℃を下回り、最高気温も15℃に届かず、寒さを感じる気候になる。

こういった時季は「今夜は鍋」という売場に変わってきて、食材も鍋材料が増えてくる。フルーツはリンゴや柿、梨、イチゴなどが旬になってくる。こういったことを踏まえ「フルーツ祭り」は毎月行いたい企画である。毎月8日が果物の日であり11月は5日が「いいりんごの日」であることから、他の企画との兼ね合いを考えると4日くらいから仕掛けると気温も過ごしやすい時季なので良いのではないだろうか。

この時季はカットフルーツもブドウや柿を中心に秋のフルーツに真っ盛りである。これに合わせてプレーンヨーグルトやフルーツヨーグルト、フルーツゼリーを一緒に訴求すると統一感が出る。

トレンド商品

執筆時にはドーナツがトレンド商品として活況を示しているが、イタリアの伝統的なスイーツ「ボンボローニ」がマリトッツォの後、流行している。またこの他にも伝統的なスイーツも各種流行の兆しがある。カヌレやカッサータ、マリトッツォなどの古典的なスイーツが一部流行し、コンビニからは、フランス伝統菓子の「タルトタタン」「フロランタン」などが発売されている。

1990年代後半にブームとなった「クイニーアマン」が専門店で再び店頭に並ぶようになってきている。クイニーは「菓子」、アマンは「バター」を指し、バターと砂糖を丁寧に折り込んだパン生地を焼き上げると外はサクサク、中は弾力のある食感で、バターの風味と塩味、砂糖の甘味の絶妙なバランスを楽しむことができる焼き菓子といわれる。コンビニスイーツ系としてもまた再来するかもしれない。

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