スポーツの秋本番、好日程、サッカーW杯ワールドカップで盛り上げるビア&ワイン|「これは押さえたい」酒編・2022年月11月

2022.10.26

2022.12.02

酒文化研究所 山田聡昭

新酒ワインの解禁や立ち飲みの日など酒行事の多い11月。今年の目玉はサッカーワールドカップ(W杯)。日本の予選リーグの1、2戦は祝祭日の晩、相手はドイツそしてコスタリカ。テレビ観戦のお供にビール&ワインを売り込む。

サッカーW杯カタール大会出場国のビール

企画名は、「勝利を願ってビールで乾杯」。サッカーW杯カタール大会は11月21日に開幕し、予選リーグの日本の初戦の相手はドイツで、11月23日、勤労感謝の日の22時キックオフ。

続く第2戦は11月27日の日曜日19時からコスタリカと闘う。どちらも地上波での放送予定で、自宅でテレビ観戦する世帯が相当数出ると予想される。スポーツ観戦のお供といえばビールであり、対戦相手国や出場国のビールと日本のビールをアピールし、積極的に売り込む。ちなみに第3戦はスペイン戦で日本時間の12月2日午前4時キックオフ。出場国は以下のとおり。

●欧州:ドイツ、スペイン、デンマーク、ベルギー、フランス、クロアチア、セルビア、スイス、イングランド、オランダ、ポルトガル、ポーランド、ウェールズ

●南米:ブラジル、アルゼンチン、エクアドル、ウルグアイ

●北中米カリブ海:カナダ、アメリカ、メキシコ、コスタリカ

●アフリカ:ガーナ、セネガル、モロッコ、チュニジア、カメルーン

●アジア:カタール、イラン、韓国、日本、サウジアラビア、オーストラリア

売場展開

入手しやすい国のビールをリストアップし、POPには商品名と国旗を記載する。エンドや平台を使って常温で展開し、均一価格でよりどりセールをすると売上げが伸びる。

新酒ワイン

企画名は、「お待たせしましたニッポンの新酒ワイン」。例年、ボジョレヌーボーでにぎやかな11月だが、今年は円安と運賃の上昇で価格が高騰し、盛り上がりは期待しにくい。そこで日本の新酒ワインを豊富に取りそろえて、秋の風物詩として印象付ける。

注目の産地は山梨県で、山梨県産の新酒ワインは「山梨ヌーボー」として11月3日に解禁される。例年、この日に合わせて東京の日比谷公園でイベントが開催され、しましば有力メディアに登場する。使用されるブドウ品種は、白ワインは甲州種、赤ワインはマスカット・ベーリーA種が多く、いずれもフレッシュで飲みやすい。

他の産地の新酒ワインでは、長野県はコンコード種やナイアガラ種が、山形県ではデラウェア種を使用したものが多い。

売場展開

ワインの需要は10月中旬から高まり始め、11月の新酒ワインで大きな山となり、12月に年末パーティやクリスマス関連でさらに大きくなる。11月はワインの秋冬商戦のつなぎの月であり、ここで山を高くしてお客に「ワインの売場」を強く印象付けることで、好結果が得られる。

ワインの需要は一年を通じてワインを常飲する層が基礎票であり、彼らには定期的な特売で購買を刺激することが有効だ。加えて重要なのはイベントユーザーの取り込みである。記念日などハレの時にワインを購入するイベントユーザーをいかにつかむかで、売上げはまったく変わる。

新酒ワインは購入のきっかけとなりやすく、ワインの味わいもフレッシュで飲みやすいため、イベントユーザーの獲得に必須の企画だ。「日本産」の親近感と「新酒」の季節感を前面に出してアピールする。

左からマルキ葡萄酒、マルスワイン、サントリーフロムファーム

新酒搾りたて

企画名は、「日本酒のヌーボー“搾りたて”到着」。日本酒の「搾りたて」は酒を搾ったばかりのフレッシュな酒のこと。米を日本酒は発酵させてつくる日本酒は、発酵中のもろみという段階ではお粥のようにドロドロの状態で、液体と溶けていない米を分離する搾りの工程が入る。

これで澄んだ酒になり、搾ったばかりはピチピチと発酵中にできた炭酸ガスを含んで微炭酸と感じるものも多い。味わいはフレッシュで、時に荒々しさを残すが、昨今はさわやかな風味が好まれる傾向がある。

ちなみに搾った後の個体部分が酒粕で、微生物が消化できない食物繊維の塊ともいえ、腸内環境を整える他、美肌&美白効果が確認されている。

その年に収穫された米でつくった酒は、一部が「搾りたて」として11月下旬ごろから出荷される。これを日本酒のヌーボーとしてとしてアピールし、日本酒の最盛期である12月に向けて、日本酒を売り込む序盤の山をつくる。

出来たてで、この時期だけというシズルをアピールし、フレッシュで飲みやすい味わい、料理との相性の幅が広く秋の味覚に合わせやすことを伝える。

売場展開

要冷蔵の場合には品質管理と高付加価値をアピールするための両面から冷蔵什器で訴求になるが、常温陳列が可能な商品も多く、その場合にはエンドや平台で大量陳列を実施する。定番棚に並べただけでは埋もれてしまい動かない。5点前後を品揃えして「搾りたて」群として「見える化」する。

左から土佐鶴、越の梅里、菊正宗、環日本海、福正宗

トレンド商品

プレミアムウイスキー

企画名は、「あらためて12年ものを飲む」。コロナ禍後も家飲みで好調を続けるウイスキー。外飲みから家飲みへの転換に最もうまく適応した酒でもある。家飲みでは700㎖で1000~1500円のスタンダードクラスが多く消費されているが、秋が深まりウイスキーをゆっくり味わいたくなるこの時季に、ワンランク上の12年ものをアピールする。

昨今では長期熟成した希少なウイスキーに高値が付くが、上級ウイスキーの王道は12年ものであり、各ブランドのメーン商品が並ぶ。「バランタイン」「ジョニー・ウォーカー」「オールド・パー」「シーバス・リーガル」という国際メジャーブランドを核に、アメリカン、アイリッシュ、カナディアンからもチョイスしてラインアップを充実させる。シングルモルトを加えてもよい。

売場展開

初旬の飛び石三連休、下旬の勤労感謝の日(11月23日)前後の週末が仕掛けどころ。スポーツ観戦では、時間をかけてもおいしく楽しめるウイスキーを好む人も多い。エンドで12年ものを群としてアピールする。