前半は寿司関連の仕掛け、後半はボジョレの洋風から年末お試しへとシフト|「これは押さえたい」鮮魚編・2022年11月
2022.10.31
2022.12.02
エバーフレッシュ研究所代表 堀内幹夫
11月になると12月および年末商戦の準備スタート。年末、クリスマス商戦を見据えた販売政策が必要。価格訴求できなくても値頃販売、骨取り、簡便性など付加価値販売の強化、料理サンプル、コトPOPなどの充実で売上確保を狙う。
11月1日は「寿司の日」、立冬の前日11月6日は秋と冬を分ける「節分」で、「巻寿司の日」、11月15日の「七五三」は手巻き寿司、ちらし寿司の展開といったように、前半は寿司に関連する催事が多く、寿司関連の仕掛け強化。
11月17日はボジョレ・ヌーボーの解禁日。ワインと合うサラダセット、スモークサーモンなどワインなど酒のさかな提案。今年も狙い目は殻付き牡蠣。オイスターバーのように牡蠣のアヒージョなど洋風メニューにチャレンジ。
最終週(11月28日~12月4日)は早くも12月入り。週末は年末商品のお試しセールを実施。昨年12月は、クリスマス商戦までの中旬の売上げが厳しかった。今年は週末ごとに「年末お試し食材特集」を実施し、売上強化を図る。
冬入り! 本格的鍋期到来!! 海鮮鍋特集
最近の鍋物セットは野菜入りよりも野菜なしの「具材セット」が主流だが、個食鍋だけは唯一、野菜、たれ入りが多い。1人世帯では具材だけを求めて野菜やたれを別に購入すると割高になってしまうことが理由のようだ。野菜入り鍋セットが嫌われる理由として、野菜と具材がアンバランスなこと、野菜に具材(魚)の臭いが染み付くなどがある。ただ最近のミールキット商品の定着を考えると、〇人前にこだわった「野菜入り鍋セット」に再チャレンジすべき時期と考える。
11月15日は「七五三」、週末は家族そろって手巻き寿司大会
今年は15日が火曜日。前週末の13日(日)が大安吉日であり、この日にお宮参り、家庭でのお祝いをする家庭が多いと予測する。売場展開としては、のり、手巻き寿司用のり、寿司飯のすしのこ、寿司酢、桜でんぶ、煮しいたけ(缶詰)、煮かんぴょう(缶詰)、キュウリなど関連販売を忘れない。
トレンド商品
養殖(輸入)サーモン
昨年の同時期、養殖(輸入)サーモンは、他の商品と同じように既に相場高となっていたが、主力商品の中では動きが落ちず、養殖(輸入)サーモン人気の底堅さを感じさせた。
しかし、その養殖(輸入)サーモンも、今年に入ってからの一段、二段の相場高でさすがに動きが鈍くなってきた。中でもチリ産解凍トラウトサーモンやチリ産解凍ギンザケは3割~4割もの相場高となっており、前年比を大きく落とす要因となっている。
そこで、養殖(輸入)サーモンの売上対策として2つ提案したい。
①養殖(輸入)サーモンの中で比較的相場の上げ幅の少ない商材の売込みを強化すること。生食用途ではノルウェー産生アトランティックサーモン、加熱用途ではベニザケ。
②相場の上げ幅の大きいチリ産解凍アトランティックサーモンやトラウト、ギンザケについては値頃販売と付加価値販売がお勧め。
生食用途のチリ産解凍アトランティックサーモン、トラウトについては、特にサクの比率が高いのが特徴だが、従来の商品企画では1パック当たりの単価が高すぎて手が出ない。かといって歩留りを考え過ぎてトリミング不足などで商品作りが丁寧でなくなるのはよくない。
塩蔵サケマス品群では、チリ産ギンザケが販売主力となっていた企業、店舗がほとんど。5、6年前の相場高の中での成功事例(厚切り切り身を西京みそや塩麹、粕に漬けて付加価値販売)を思い出し、再強化を図りたい。
エビ(アルゼンチン産アカエビ、バナメイ大型サイズ、大粒むきエビ)
エビ分類は、かつては一番の人気食材であったが、最近では地盤沈下が進む。
中でも厳しいのが殻付きエビ(無頭、有頭)。アルゼンチン産アカエビが唯一、孤軍奮闘していたが相場高となってからは動きが鈍くなった。むきエビはコロナ禍の中、簡便性で動きが少し良くなった。
現在の全面相場高の厳しい状況の中、「エビ」の消費が喚起できれば、その影響は大きい。
何とか年末商戦を前にして活路を見いだしたい。お勧めは、アルゼンチン産アカエビと無頭バナメイエビ(大型サイズ)、それと冷凍、解凍の大粒むきエビ。アルゼンチン産アカエビと無頭バナメイエビ(大型サイズ)は相場的に前年とほぼ変わらず拡販チャンス、冷凍、解凍の大粒むきエビは相場高にもかかわらず動きが良い。