年末意識のそば、クリスマス意識のケーキ、おせち意識のつくだ煮を提案|「これは押さえたい」日配編・2022年11月

2022.11.23

2022.12.02

城取フードサービス研究所代表 城取博幸

日配部門は、秋から冬の味覚の訴求。ホットメニューの訴求。ウィンーギフト、クリスマスケーキ、おせち料理の予約の時季。クリスマス、年末年始の前哨戦にもなるためクリスマス、年末商品の早めの売場展開を行う。

昨年の家計消費のデータで、11月に需要が伸び、前年も上回った「ゴールデンカテゴリー」は揚げかまぼこが110.58%、ちくわが101.32%、昆布つくだ煮が105.83%、和生菓子が109.36%、ケーキが103.89%、洋生菓子が109.07%、シューマイが109.09%、他の主食的食品が106.98%。需要が減ったが、前年を上回ったカテゴリーは卵が104.04%、梅干しが105.1%、白菜漬けが104.26%、ゼリーが111.24%、アイスクリームが101.57%、調理パンが107.42%、冷凍調理品が102.52%、乳酸菌飲料が112.3%、乳飲料が100.0%、他の飲料が106.25%だった。

需要は変わらないが前年を下回ったカテゴリーはパンが97.6%、食パンが97.18%、他のパンが97.79%、バターが97.3%、需要は高いが、前年を下回ったカテゴリーは生うどん、そばが89.54%、かまぼこが98.56%、魚介つくだ煮が91.43%、揚げ、がんもが96.34%、こんにゃくが92.06%、マーガリンが94.55%。需要が減り、前年も下回ったカテゴリーは中華麺が93.31%、牛乳が94.20%、ヨーグルトが96.12%、チーズが95.3%、豆腐が95.31%、納豆が96.94%、大根漬けが98.9%、他の漬物が91.33%、プリンが95.89%、コーヒー飲料が98.3%、野菜、果実飲料が95.4%、ギョーザが95.88%だった。

生うどん、そば

生(ゆで)うどん、そばは気温が下がるに連れて上昇トレンドに入るが、昨年は気温が高めだったため前年比89.54%と大幅減であった。そばは年末の「年越しそば」、うどんは年始の「年明けうどん」を意識して生そば、生うどんを中心に「お試し販売」を行いたい。

売場づくり

天気予報を見ながら、チルドのうどん、そばは「全国生麺祭り」を実施したい。全国からロングライフのうどん、そばを集めて冷蔵平ケース、常温で販売する。売れ行きの好調な商品は定番化する。冷凍うどん、そばは具材がセットになった「冷凍調理麺」を、アイテム、フェースを広げて販売する。

揚げかまぼこ

揚げかまぼこは、12月まで需要が伸び、前年比(110.58%)もクリアした「ゴールデンカテゴリー」だ。

おでん、煮物の需要が主であるが、さらに需要を伸ばすためフィッシュボールなど麺類のトッピングやちゃんこ鍋などの提案を強化したい。

売場づくり

練り製品も値上げが予想されるため数量が減ったり、容量が小さくなることが予想される。それでも鮮魚に比べて安価である。魚肉練り製品もよいだしが出るため魚の代用として積極的に販売したい。ロス対策でトレーパックと真空パックを併用して品揃えする。

魚介つくだ煮

魚介つくだ煮は冬の味覚として需要が高まるが、昨年の支出は91.43%と不振であった。魚介つくだ煮は川魚を使った、ワカサギ、モロコ、カワエビ、ゴリ、シジミ、海水魚のコウナゴ、クルミコウナゴ、田作り、ちりめん、アミ、アサリ、ハマグリなど意外に多いため、地域の需要に合わせて品揃えしたい。

売場づくり

魚介つくだ煮の需要は減っているが、売り方次第では大きく伸ばせるカテゴリーだ。地域の食文化に合わせて、アイテムを広げて大陳すれば必ず売上げが伸びる。食育、食文化を継承する意味でも積極的に販売したい。

おせち材料を意識しておせちの田作りや串物などの品揃えも早めに行う。

昆布つくだ煮

昆布つくだ煮は12月に向けて需要が伸び、昨年は支出も前年をクリアした「ゴールデンカテゴリー」だ。つくだ煮類は日本の伝統食品であり冬の味覚でもある。また、東北地方で売られている薄味のしょうゆ昆布、惣菜昆布煮も品揃えしたい。

売場づくり

品揃えは太巻き、中巻き、細巻き、一口、刻み、しょうゆ昆布を品揃えする。12月のおせち需要に向けて3尺以上の縦割り陳列を行う。日持ちもするため大陳して販売する。魚介つくだ煮との詰め合わせギフトの販売にも力を入れたい。

マーガリン

マーガリンに需要はパンが売れる2月、3月、5月、12月に動く。昨年の支出でも11月は10月より需要は高まったものの前年比94.55%と不振であった。プラントベースブームでマーガリン、スプレッドが見直されている。今月は12月の需要高に備えてパンと共に積極的に販売したい。

売場づくり

マーガリン類は油脂含有量80%以上のマーガリンと80%未満のファットスプレッドに分かれる。マーガリンの種類はコーン、菜種油、紅花油、大豆油、綿実油などがある。

豆乳、オリーブ、ココナッツオイルなどを使ったスプレッドも販売したい。「マーガリン、スプレッド食べ比べセール」を実施するとよい。

チーズ

チーズもマーガリン同様、昨年の支出は前年比95.3%と昨年は不振であった。8月から11月まで需要が落ち込むという意外な結果であった。パンの需要も低かった。

11月は「ボジョレー・ヌーヴォー解禁日」など季節イベントもあるので「ワインとチーズ」を提案したい。

家計調査の月別消費支出をグラフ化したもの。平均単価×購入数量=支出金額購入数量は1g~1kgと幅があるため小数点を変更して計算する必要もある。前年に比「支出金額」「平均単価」「購入数量」が伸びた場合は「赤字」の「○」。前年に比べて数字が下がったものは「黒字」の「×」で表記した。

売場づくり

ピザ、グラタン、チーズフォンデュなどのホットメニューの需要も高まるため、売り逃しがないようにしたい。加熱用チーズはピザ売場でも関連販売し、おつまみチーズ、チルド珍味類はまとめて陳列する。また、プラントベースのチーズも忘れずに訴求する。

ケーキ

ケーキは12月に向けて需要が伸び、昨年は支出も前年を上回った「ゴールデンカテゴリー」だ。

クリスマスケーキの当日売りは減っているため、予約販売を強化したい。スポンジケーキ、ホイップなどのケーキ材料のコーナー化も早めから展開する。

売場づくり

今年は海外のクリスマスケーキを提案する。ヨーロッパのクリスマスケーキは、イギリスの「クリスマスプディング」、フランスは「ブッシュ・ド・ノエル」、ドイツは「シュトーレン」、イタリアは「パネトーネ」などが有名。どれも日持ちがするため「世界のケーキ特集」を早めに実施するとよい。

乳酸菌飲料

11月は乳酸菌飲料の需要は落ちるが、昨年の支出は前年比112.3%と2桁成長であった。「ヤクルト1000」人気もあり今年も需要が望める。風邪やインフルエンザ対策にヨーグルト、乳酸菌飲料をもう少し訴求したい。

売場づくり

形態が同じポリ飲料はまとめてコーナー化する。チルドのポリ飲料は、発酵乳、乳飲料、乳酸菌飲料、清涼飲料と種類もさまざまだが、3~6尺の売場でまとめて陳列した方が選びやすい。ケース最下段は売れ筋の箱売りを行うこと。

トレンド商品

日本そば、天ぷら

新そばが出回る時期。この時期に生そば」を冬の味覚として訴求する。12月の「年越しそば」の前哨戦として香りが高く甘味のある新そばも提供する。

チルド売場は新生そば+野菜かき揚げ、えびかき揚げ。冷凍食品売場は冷凍そば+冷凍エビ天、野菜かき揚げを訴求する。日本そばは冷し(ざる)でもホット(かけ)でも、あるいはつけ麺と幅広く食べられるため、つゆ、トッピング具材、薬味も幅広く品揃えしたい。

穀物コーヒー、アーモンドミルク

健康カフェなどでは豆コーヒーの他に、大麦、ライ麦、チコリ、タンポポの根を焙煎したコーヒーを、コーヒーが苦手な客に「穀物コーヒー」として提供している。

ミルクも動物性のものでなく豆乳、アーモンドミルク、オーツミルクが添えられている。チルド売場でもコーヒーの代替の「穀物コーヒー飲料」を品揃えしたい。ポーションタイプ(8.5㎖)のアーモンドミルクも販売されているため一緒に販売したい。