七草、隠れた旬の芽キャベツに注目、新ジャガ芋、新玉ネギとイチゴも売上げの上積みを|「これは押さえたい」青果編・2023年1月

2022.12.27

2023.01.06

創風土パートナー 代田 実

消費が低調となりがちな1月は「売りの仕掛け」が重要。1月は年末商戦後の消費疲れに加え、厳寒期で人の動きも少なく消費が低調となりがちな時季だ。

こんな時季だからこそ、春の訪れを告げる春野菜や新物野菜、売上高構成比の大きなミカン、イチゴなどシーズン商品の売場拡大や売り方の変化など「売りの仕掛け」を準備し、商売していくことが重要となる。

年明けの生活催事として定着した「七草」の売場展開

1月7日の朝、春に先駆けて芽吹く七草を粥に入れて食べ、無病息災を願う行事として定着した「七草」。その展開は三が日明け、または年始の休業明けから行うのが一般的だが、軟弱葉物である「七草」セットのパックは日持ちせず、ロス管理、売り切りが展開する上で最大のポイントとなる。

前年の販売実績と今年の展開スペースを基に、抑え目な発注を行うことはもちろんのこと、できるだけ少ない陳列量で目立つ陳列を行うことも重要だ。七草に含まれる「セリ」「スズナ(カブ)」「スズシロ(大根)」は通常販売している商品であるため、それと併売することで売場スペースを有効活用するのも有効な手段だ。また、最近はフリーズドライの七草セットもあるので、併せて販売することも検討したい。

実際に七草粥を食する7日の直前となる1月5日~6日にかけては、随時販売状況をチェックし売り切りのためのアクションを行うことも重要だ。

加工食品のレトルトパック粥の売場などでの多面展開を行い、できる限りお客の眼に触れる機会を増やすことをまず試したい。それでも売り切りが難しい場合に最後に行うのが値下げだ。

春の訪れを告げる「春野菜」の展開

1月は年間で最も気温が低い厳寒期だが、これを境に日に日に気温が上がり春めいてくる転換点でもある。その春の訪れを心待ちにしているお客様に向け「春野菜」の展開を行い、一足早く「春を味わってもらう」仕掛けを作っていくのも大切だ。

近年消費が順調に伸びているスナップエンドウや菜の花が年明けとともに入荷量が増えるので、売場の目立つ場所で展開を行いたい。これら商品は「ほのかな甘み」と「風味」が持ち味だが、入荷後時間経過とともにこれらは失われていくので、早めの売り切りを心がけたい。

隠れた旬商品「芽キャベツ」を売る

直径2~3cm程度の小さなキャベツが茎の回りに無数になる「芽キャベツ」の旬はちょうど1~2月の厳寒期で、市場入荷もこの時季が最も多い。市場価格もこの時季だけkg単価700円台(東京都中央卸売市場2022年実績)と売りやすくなるので、この2カ月が「芽キャベツ」の売り込みチャンスとなる。

この芽キャベツは、いま1つなじみの薄い野菜のため、旬の時季に売込みをかけない店舗が多いが実にもったいない話だ。芽キャベツはその栄養価の高さもさることながら、その独特の風味を旬のこの時季に味わってもらえるよう、料理提案をしながら販売を行いたい。

国内生産量の90%以上を生産する静岡県から食べ方提案のおもしろい資材も出ているので参考にしながら売り込み、プラスアルファの売上げを作りたい。

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「新」ジャガ芋、玉ネギの展開

ジャガ芋、玉ネギの主産地である北海道産のものが春に作付けされ、秋に収穫後乾燥、貯蔵され出回るのに対し、新ジャガ芋、新玉ネギは秋に作付けされ春先に収穫される。いずれも水分が多くみずみずしい反面、日持ちしにくいので葉物に近い感覚で売場での商品回転、売り切りを心がけることが販売のポインになる。

また、販売に際してはお客にも日持ちしにくいことをお伝えし、2、3日で使い切ることを勧めたい。

それに加え、使い方、食べ方の訴求も忘れずに行いたいところだ。新ジャガ芋は水分が多く柔らかいので皮ごと食べることができ、火のとおりも早いので煮物より、フライパンで焼いたり揚げたりして食べることをお勧めするとよいだろう。

独特の甘みがあり、春の訪れを感じさせる野菜の代表格でもある新玉ネギは生でスライスし、水にさらさずそのままサラダに入れて食べ、その風味を存分に味わってもらうことをお勧めしたい。

イチゴの売上げを積み上げる

12月から本格的に販売がスタートしたイチゴは、この先少しずつ消費金額が増え、3月がピークとなる。1月のイチゴ消費金額は、ピークとなる3月の半分強とまだ少ないものの、果物の中ではミカンに次いで第2位だ。このことからも、1月のイチゴの売上げを積み上げることが果実全体の売上げを左右するのは明らかだ。

そこでイチゴの消費拡大を図るための仕掛けを行うのはどうだろうか。例えば、1月15日はイチゴの消費拡大を目的に制定された「いちごの日」だ。これに合わせてさまざまなイチゴの品種を品揃えし、他部門のイチゴ関連商品(デザート、菓子など)との併売を行う。これだけでもお客のイチゴ関連商品の購買意欲は増すはずだ。