梅干し、昆布・魚介つくだ煮の売り込み、ギョーザ、デザート系も新たな提案で需要を喚起|「これは押さえたい」日配編・2023年1月

2022.12.28

城取フードサービス研究所代表 城取博幸

1月の行事、イベントは、1日(元旦、初詣で)、2日(書初め)、7日(七草)、11日(鏡開き)、11日(成人の日)、15日(小正月、どんど焼き)、16日(藪入り)と日本の伝統行事が続く。行事食は「おせち料理」「お雑煮」「七草がゆ」「お汁粉」。家族そろって文化や伝統を再認識するときでもある。

日配部門は12月の消費増の反動から需要は落ち込むが、2桁成長しているカテゴリーもあるので見落とさず積極的に販売する。「年明けうどん」「年明けそば」「年明けラーメン」など新しい提案も行う。

2022年の家計調査のデータで、1月に需要が伸びたが、前年を下回ったカテゴリーはギョーザが96.69%、1月に需要が減ったが、前年を上回ったカテゴリーはかまぼこが105.97%、魚介つくだ煮が105.36%、昆布つくだ煮が113.92%、他の和生菓子が113.9%、他の洋生菓子が111.89%。

1月の需要は変わらないが、前年を上回ったカテゴリーは他のパンが101.7%、梅干しが114.13%、ゼリーが114.86%、プリンが108.94%、アイスクリームが113.92%、他の主食的調理食品が106.39%、乳酸菌飲料が104.11%、他の飲料が109.03%、シューマイが103.75%、1月の需要はあまり変わらないが前年を下回ったカテゴリーはパンが99.61%、食パンが95.36%、中華麺が94.84%、牛乳が97.59%、バターが92.17%、マーガリンが90.74%、調理パンが114.18%。

1月に需要が減り、前年も下回ったカテゴリーは生うどん、そばが94.87%、揚げかまぼこが98.1%、ちくわが96.6%、豆腐が92.59%、揚げ、がんもが91.73%、ヨーグルトが93.41%、チーズが94.43%、卵が99.88%、納豆が89.87%、こんにゃくが86.96%、大根漬けが92.05%、白菜漬けが93.88%、他の漬物が92.29%、ケーキが99.83%、冷凍調理品が97.11%、コーヒー飲料が96.6%、野菜、果実飲料が96.92%、乳飲料が92.11%だった。

梅干し

22年の1月の梅干しは平均単価のアップからか前年比114.13%と2桁成長であった。1月の花は「梅」。それにちなんで梅干しの販売に力を入れる。冬の梅干しは高単価なものが売れるためしっかり利益を確保したい。

売場づくり

「春の梅干し祭り」を実施。大粒の南高梅、蜂蜜梅干し、かつお梅、減塩梅干し、甘露梅、梅漬け、刻み梅干し、練り梅、梅ゼリーなどを一堂に集め平ケースで販売する。売場には梅の花を飾り雰囲気を盛り上げる。

昆布つくだ煮

冬は昆布つくだ煮が売れるシーズンだ。21年12月は売上げが不振であったが、22年1月は前年比113.92%と2桁成長であった。平均単価の落ち込みから年末の残品処分の見方もあるがお客は必要でないものは買わない。年始も力を入れて販売したい。

売場づくり

昆布つくだ煮は日持ちする真空パック商品を中心にケース最下段で販売する。太巻き、中巻、一口タイプ、千切り、角切りであるが、太巻きは高額であるためなるべく年末に売り切りたい。千切り昆布は「和え物」や「炒め物」に使うなど新しい提案も行う。

魚介つくだ煮

魚介つくだ煮も前年比105.36%の伸び。昆布つくだ煮も魚介つくだ煮も値上げされているため、容量を減らすなどして値ごろを維持したい。つくだ煮は日本の伝統食品。現代風に合わせた新しい食べ方を提案したい。

売場づくり

冬の魚介つくだ煮は、「わかさぎ甘露煮」「いわしの甘露煮」「味の花」「まぐろの角煮」「ちりめん山椒」「あさりのしぐれ煮」など。「くるみ入り味の華」や「ちりめん山椒」はサラダのトッピングやオリーブオイルをかけるなど新しい食べ方を提案したい。

ギョーザ

22年1月のギョーザの消費は前年を下回ったが11月、12月の消費を超え春に売れる商品だ。チルドギョーザは冷凍ギョーザに押されている感はあるが、メニューの豊富さは負けていない。気温が低い冬であるため「焼き」だけでなく、鍋など「煮る」メニューを訴求したい。

売場づくり

「水ギョーザ」「スープギョーザ」「鍋ギョーザ」に注力して販売したい。「煮るギョーザ」は「焼きギョーザ」に比べて煮崩れしないように皮が厚く、もっちりしている。そううした違いを訴求する。焼きギョーザは冷凍ギョーザに負けないよう「生ギョーザ」も品揃えしたい。

ゼリー

ゼリーは年間で底の消費であるが22年は114.86%と2桁成長であった。少し販促を強化することで大幅な売上げアップが望めるカテゴリーといえる。旬のフルーツであるイチゴやかんきつ類、ヨーグルト入り、コーヒーなどの冬のゼリーを訴求する。

売場づくり

「ユズゼリー」「いよかんゼリー」「レモンゼリー」などのかんきつ系や、春の味覚である「梅ゼリー」の販売に力を入れる。梅ゼリーは「梅干し祭り」のアイテムにも加えておく。どれもロングライフ商品が多いためサイド陳列などで大陳して販売したい。

プリン

プリンもゼリー同様に1月、2月の消費は底であるが、22年は108.94%と伸びた。最近の傾向として「甘味類」の需要が高まっているためチルドデザートも積極的に販売すれば売上げアップにつながる。「プリン+コーヒーゼリー」など新しい食べ方も提案したい。

売場づくり

カスタードプリン、ミルクプリンは個食タイプ、2食タイプ、4食タイプのフェースを十分確保して販売する。フレッシュデザートコーナーでは「プリン・ア・ラ・モード」「クレームブリュレ(フランス)」「カタラーナ(スペイン)」など世界のプリンも品揃えしたい。

アイスクリーム

22年のアイスクリームの需要は12カ月間連続で前年をクリアした好調カテゴリー。1月は113.92%と2桁成長であった。冬でも暖房を入れているため、室内の温度は高く、乾燥していることから冷たいデザートが伸びている。

売場づくり

重点アイテムはもなか、ぎゅうひ、チョコレート、サンデー、プレミアムアイスクリームなど。アイスクリームも値上げされているため、数の多いマルチタイプのミニアイスが売りどきかも知れない。ノベルティは夏物に比べて容量の少ないものを販売する。

乳酸菌飲料

乳酸菌飲料も22年は12カ月連続で前年をクリアした好調カテゴリー。1月は104.11%の伸びであった。風邪やインフルエンザの予防として訴求したい。ポリタイプの他に1ℓ、500㎖タイプの紙パックも積極的に販売する。

売場づくり

1月の需要は底であるが売り方次第で大幅な売上げアップが望めるカテゴリーだ。ポリタイプの乳酸菌飲料はバンドル販売や箱売りも積極的に行う。

トレンド商品

レトルト参鶏湯

丸鶏、もち米、ニンニク、クリ、高麗人参、牛肉、ナツメ、スープの入った「レトルト参鶏湯(サムゲタン)」に、野菜を加えて煮込むだけの簡単鍋。高温高圧加熱であるため鶏の骨まで食べられる。

韓国料理コーナーのキムチ類と一緒に販売したい。丸鶏を使ったものは価格が少し張るが頭数(2、3人)で割ればそれほど高額ではない。和食に飽きたら韓国料理を提案したい。

スコーン、プチパンケーキ

ホテルやレストランのアフタヌーンティーが人気だ。スコーン、パンケーキ、キッシュなどの加熱ものに、サンドイッチやプチケーキを盛り合わせたものだ。日配売場では「スコーン」と「クロテッドクリーム」「プチパンケーキ」を販売する。

スコーンは半分に割ってジャムやクリームを塗るため厚みのある本格的なもの、パンケーキは小さめなものを販売したい。パンコーナーでアフタヌーンティーの提案を行いたい。