相場高だった昨年2月からの商品状況を見つつ昨年売らなかった品目狙う|「これは押さえたい」青果編・2023年2月

2023.01.06

2023.01.07

創風土パートナー 代田 実

昨年2月は年始来の冷え込みで野菜全般入荷が少なく相場高傾向だった。特に果菜類、葉物、レタスなどは平年の1、2割の相場高となり、高値で売上げを伸ばした品目もあれば落とした品目もあった。

一方、果物はほぼ全ての品目で不作入荷減から高値となり、主力商品のイチゴも年末来の冷え込みから入荷がなかなか増えず高値基調であった。

こうした流れから、今年は昨年の品目別相場動向と販売状況を照らし合わせつつ、今年商品状況の良い商品を意識的に売り込むことで「買いやすい価格の打ち出し」を行うことが商売のポイントとなるだろう。

2月3日の「節分」

2月3日(金)は節分だ。節分といえば恵方巻が注目されがちだが、青果部門で扱う商品の中にも節分関連のものが多いので、1週間ほど前から節分コーナーを作り展開していきたい。

ヒイラギ

古くから臭いものや尖ったものは魔よけになり、ヒイラギの小枝に焼いたイワシの頭を付けた「柊鰯(ひいらぎいわし)」を家の前に飾ることで尖ったヒイラギと臭いイワシを嫌い、鬼が家の中に入ってくるのを防ぐといわれている。売場ではヒイラギのいわれをPOPなどで紹介し、鮮魚部門のイワシとの関連販売を行うとよいだろう。

落花生

節分の豆まきは大豆をまくのが一般的だが、北日本を中心に落花生をまく習慣のある地域も多い。まいた福豆を拾って食べる際、殻付きの落花生の方が衛生的という理由や、雪国では大豆より大きい落花生の方か見つけやすいためといわれている。

コロナ禍で口に入れるものに対して清潔さが求められるいま、落花生をまく習慣のない地域でも、こうした点をアピールし、新たな提案として販売するとよいだろう。

アボカド、キュウリ

「節分の恵方巻は買って食べるもの」というのが一般的ではあるが、手作りの恵方巻をイメージしてアボカド、キュウリなど恵方巻に入れる素材を同時にコーナー展開するのも良いだろう。たとえ恵方巻を手作りしないとしても「らしさ」の演出で購買に結び付けることはできるはずだ。

果物の消費金額の3分の1を占めるかんきつ類

入荷は徐々に減るものの、まだまだシーズン中のミカンに加え、イヨカン、デコポン、キンカン、セトカなどの中晩かん類の家計消費金額を合わせると2月の果実全体の3分の1を占め、イチゴと並ぶ主力商品となる。

ただ、この時季のかんきつ類は期間とおして安定的に売れるものは少なく、ミカン、イヨカン、キンカン、ポンカンは徐々に入荷が減り、代わりにデコポン、セトカ、ハッサクは3月に向け入が増えて価格もこなれてくる。

これに合わせて販売する商品構成を変えつつ、売上高構成相応の売場スペースを確保した上で売場展開を行いたい。

主力となる上記品目は多SKUでの展開を実施し、併せて河内晩柑や晩白柚、清見などの展開も行いたい。

また、この時季の中晩かん類の多くは収穫後しばらく産地で貯蔵、熟成の後、出荷されるものが多い。これはミカンに比べ比較的酸味が強い品種が多いためで、貯蔵熟成することで酸味がマイルドになり、甘みと酸味のバランスが取れるタイミングで出荷される。

これに加えて販売時点での気温で食感も変わってくるので、入荷商品を時々検食して食味を確かめた上で、お客にお勧めできるようにしたいものだ。

品目別売上げではトップのトマト

年間を通して家計消費金額が一番多い野菜であるトマトだが、例年1、2月はその金額が一番少なくなる時季だ。そうとはいえ、野菜の全品目中ナンバーワンの品目であることには変わりない。

この時季は主要産地が作型の端境や植え替え時季となり、入荷量が減る他、食味も品種、作型で変わってくるので食味重視の仕入れ、販売を行っていくことで、自店のトマトのファンを作ることが大切な時季となる。

その中で比較的食味の安定するミディトマト、ミニトマトを写真のような丸カップを使うなどして一般的な産地パックとは差別化を行い、ボリュームアップ規格で単価アップを図ることでトマト全体の売上げの底上げを狙いたい。

立春過ぎたら「春野菜」コーナーの拡大

2月3日の節分の翌日が立春。この日以降が暦の上では春になる。「春野菜」の明確な定義はないが、この時季から本格的に出回り始める豆類や菜花、山菜に加え春キャベツや春ナスなど「春野菜」として位置づけられる品目は多い。

長い冬が終わり、春を感じさせる「春野菜」の売場での展開は、お客に季節の変化を感じさせ、購買意欲を増す上で大きなポイントとなる。そうとはいえ2月は気温も低く、また厳寒期なので「春野菜」といわれるものの多くは入荷量もそう多くなく、価格もまだ高いものが多い。

そこで「春野菜」コーナーの展開に当たっては、平台では上げ底かごをうまく利用し、立体的陳列で陳列量を最小限に抑える工夫を行い、早めに売り切る販売管理を実践したい。

それが難しいようであれば、写真のように壁面冷ケースで温度管理を行った販売がロス管理上有効だ。「春野菜」コーナーを示すスポッターやPOPを取り付け、売場を目立たせることも忘れないようにしたい。

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