「冬売場」から「春売場」への大転換、タコ、ギンザケ、エビ|「これは押さえたい」鮮魚編・2023年3月

2023.02.10

エバーフレッシュ研究所 堀内幹夫

3月はコーナー展開、品揃え面で「冬売場」から「春売場」への大転換月。鍋コーナーを解体。海そう、ちりめん、サラダ、湯煮品、鉄板焼き系商材、活貝、むき貝の各コーナーを拡大。

まだ気温の低い北海道、北東北は鍋物コーナーを解体しても主力の鍋物セット、鍋物材料は品揃えとして残す。

敷物(マット)は、春バージョンへ変更する。「冬」「寒」「鍋」「あったか」といった表現を使ったPOP、ポスターなどの販促資材は撤収。刺身用トレーも、できればこのタイミングで秋冬版から春夏版に変更。

卒業式シーズンでもあるため、商圏内の小学校、中学校、高等学校の卒業式を調査。1、2週前からホームパーティ用セット、祝い盛り、タイ姿造りなどの顔見せ。予約販売も実施する。

子どもたちの春休みの「おかず」対策、新学期、新社会人に向けて「朝食」「弁当」商材の提案。昼のおかず対策として、たこ焼き、お好み焼き、海鮮丼、マグロ丼などの提案。朝食、弁当材料として、冷凍商材のむきエビ、衣付き商品などの提案強化。他に塩サケ、塩サバなどの弁当用、朝食用、小切れの提案。骨取りは必須。

季節の旬魚 「養殖マダイ」を拡販する。2月~4月は養殖マダイの需要ピーク。一方で養殖マダイの旬はまさにこの時季となる。刺身、寿司など生食用途だけでなく、切り身、吸い物用、タイ茶漬け用など幅広く提案。

サラダ、炙り系商材は販売強化。海鮮サラダセット、海鮮炙りセットの拡販時季の始まり。オニオンスライスや白髪ネギなどを添えて提案する。

寿司だねセット

海鮮手巻寿司具材セットが販売メインだが、最近、ちらし寿司系も伸びている。特にばらちらし(コロコロ寿司)セットは売場の景色も変わり、お勧め。食材の相場高の中、前年踏襲型では値入れが確保出来ないので、1切(本)当たりのg数、原価を正確に把握して原価計算をする。

具体的商品企画

海鮮ばらちらし寿司(コロコロ寿司)具材セット①

海鮮ばらちらし寿司(コロコロ寿司)具材セット②

海鮮手巻き寿司セット

トレンド商品

全面的相場高が続いている。最近ではノルウェー産生サーモンのさらなる値上げ、春ちりめん不漁による超相場高などが追い打ちをかける。その状況の中、「アフリカ産蒸しタコ」「チリ産ギンザケ」「エビ全般」は、相場的に現状維持、あるいは多少の値下げが予測される。こうした商品を有利商材として活用し、売上回復の原動力としたい。

アフリカ産蒸しタコ

産地(アフリカ、モーリタニアなど)での水揚げ順調、前年比に比べ数量大幅増加。ただ、円安による相殺が危惧されたが、為替も少し落ち着き、売りやすい環境になることが予測される。

大きいサイズはスライス中心、小さいサイズは切り落とし、ぶつ切り中心に拡販する。頭付きなので頭をどう処理するかが値入確保のポイント。

月に2、3回程度、企画コーナーにて「タコ祭り」を展開する。また定番でも、足だけでなく、スライス、ぶつ切りなどのSKU展開とフェーシング拡大すれば、前年の販売金額超えが可能となる。

写真のように足だけでなく切り落とし、ぶつ切りなどのSKUが拡大され、面(フェース)が確保されているだけで前年実績を超えている例もある。

チリ産ギンザケ(塩蔵、無塩)

ノルウェー産生サーモンを筆頭に、もう1段、2段の値上げが予測されるサケマス類の中で、ギンザケは現状維持か、あるいは値下げが予測される。しかも大型サイズの比率が高くなる。大型サイズの比率が上がれば、通常、切り身だけでなく小切れの商品化がしやすくなる。

他の塩サケ類、塩干分類のほとんどの商品が、超相場高の中でチリ産ギンザケだけが相場現状維持か値下げが予測される。いかにしてギンザケを上手に生かして他商品のマイナス分まで売上げを稼ぐかが大きな課題となる。

ギンザケの売上拡大策としては、①骨取り切り身の拡大、②小切れ切り身の強化が有効と考えられるが、他にも③西京みそ漬けや塩こうじ漬けなど「漬魚」の販売強化すること。④腹身の冷風干しの拡販により「干物分類」の売上げの押し上げなど広範囲な活用が期待される。

チリギンザケ一強の中、ギンザケの漬魚(西京みそ漬け、塩こうじ漬け、粕漬け)販売が、「漬魚分類」の売上げを押し上げ、腹身冷風干しは干物の売上げを押し上げる。ありとあらゆるところに波及するのがチリ産ギンザケのすごいところ。

骨取り(解凍、無塩)ギンザケの企画コーナー。「骨取り(解凍、無塩)ギンザケ特集」展開でも通常切り身(渡し切り)と小切れの両方品揃え。上段では漬商品やアルミホイル包み焼きなどの品揃え。そこまでは手が回らない場合は、メガパックなどの品揃え、販売を強化する

エビ全般(バナメイエビ、ブラックタイガーエビ、アルゼンチン産アカエビ) 

養殖バナメイエビ、養殖ブラックタイガーエビ、アルゼンチン産アカエビなど主だったエビの相場は、現状維持か若干の値下げが予測される。養殖バナメイエビについては、エクアドル、インド他で各サイズが浜値で下落。

一部サイズは過去最安値まで下落したが、円安の影響により国内では現状維持かやや下げ傾向にとどまる。養殖ブラックタイガーエビ、アルゼンチン産アカエビについても、さまざまな理由で現状維持か若干の安値予測。

売価を安くすれば売れる時代はとっくに過ぎている。「エビを売る」よりも「エビ料理を売る」という感覚での料理提案、料理訴求が重要。コロナ禍の中では、殻付無頭エビよりも大粒むきエビの方が動き良かった。エビにおいても、手間のかからない簡便性の高い商品の動きが良い。