出来たてとリピート前提の商品の育成を、春に向かう調理法の変化にも注目|「これは押さえたい」惣菜編・2023年2月

2023.01.31

2023.02.27

日本フードサービス専門学院学院長 林 廣美
城取フードサービス研究所 城取博幸

冬から春に向かい料理用途は「煮る」から「焼く」「炒める」「あえる」に変わるため早めの商品導入を図る。2月に需要が伸び前年を上回ったゴールデンカテゴリーは寿司104.6%、ハンバーグ107.4%。

2月に需要の変化はあまりないが前年を上回ったカテゴリーはサラダ106.9%、コロッケ106.0%、天ぷら、フライ104.1%。

2月に需要は減っているが前年を上回ったカテゴリーは調理食品104.3%、弁当101.7%、おにぎり105.5%、調理パン107.5%、他の主食的調理品108.1%、惣菜食材セット106.4%。

2月に前年を下回ったカテゴリーはうなぎかば焼き79.9%、カツレツ97.1%、シューマイ90.2%、ギョーザ96.1%、焼き鳥90.6%。

他の主食的食品(スナック)

スナック類の消費が高まっている。昨年は前年を下回ったのは12月のみであった。2月も108.1%と好調であった。ホットメニューの中華まん、茶わん蒸し、鍋焼うどんは最終量販期であるため積極的に販売する。

売場づくり

2月は受験シーズンであるため「受験生の夜食フェア」を実施する。常温商品(おにぎり、カツサンド、パスタ、焼きそば、お好み焼き)、チルド商品(鍋焼うどん、天ぷらそば、天ぷらうどん、肉うどん)、ベーカリーでは「バーガー(ハンバーグ、フライドチキン、チキン照焼、メンチカツ、コロッケ)」の販売を強化する。

ハンバーグ

ハンバーグは1月不調であったが2月は売り時である。前年比107.4%の伸びであった。豚肉が高騰しているため大豆ミート、豆腐、おから、野菜を加えて原価を抑えたり、増量した商品の開発も必要だ。

売場づくり

ハンバーグは単品ではなかなか売りづらいため、ハンバーグ弁当、ロコモコ丼、グリル野菜、蒸し野菜を添えたハンバーグ弁当。さらに、パスタ&ハンバーグ、ピラフ&ハンバーグやハンバーガーも品揃えしたい。

サラダ、あえ物

サラダは春によく動くため、2月から販売を強化したい。昨年は106.9%の伸びであった。

3月は年間最大需要を迎えるため2月から積極的に販売する。春野菜を使ったサラダやあえ物の品揃えを増やしたい。

売場づくり

練りサラダと生野菜サラダ、サラダ盛り合わせの売上高構成比を見て、フェースの調整を行う。新たな試みで蒸し野菜、焼き野菜、ピクルス、オリーブ漬けなどの品揃えも増やしたい。

トレンド商品

ミニハンバーグ、ミートボール

2月はハンバーグが売れる月。今年はカレーやパスタなどの料理のトッピングを提案したい。和洋中、エスニックと幅広い料理に使えるミニハンバーグ、ミートボールの販売に力を入れる。

ディナーハンバーグは高額で人数分をそろえるとかなり高額になったり、子どもには多すぎたりするため、家族構成に合わせて数が調整できるミニハンバーグ、ミートボール、つくねを提案するとよい。

焼き野菜(グリル、ロースト野菜、ピクルス、オリーブ漬け)

春からサラダが動き始めるため、今年はグリラーやオーブンで焼いたグリル野菜やオーブンで焼いたロースト野菜、酢やオリーブオイルで漬けた野菜の販売に力を入れたい。

ヨーロッパではパプリカやナスを焼いてオリーブオイルに漬けたものを販売している。焼くことで甘味が増しておいしくなる。イオングループのビオセボンではインストア製造のグリル野菜(写真)を販売している。売場の陳列量も多く、食べてもおいしい。

強化するアイテム

まず長期天気予報をチェックする。特に2月の気温の動きが惣菜の売上げに大きく影響するからである。気温が低いと家庭で「おでん」など、鍋物料理が多くなり惣菜の需要が下がる。揚げ物商品、寿司、米飯、サラダなど多くの商品の売上げが低くなることが多いからだ。昨年の気温より暖かければ昨対を超える可能性はあるが、低ければレンジメニューなど販促を強化する必要がある。

強力な販促は「作りたて」「出来たて」と「商品レンジ商品」の2つである。人手の問題もあり全商品は無理だとしても、自店の売り込み商品を日替わりを含めて2、3品選んで販促を組んで売り込む。POPも含めて売場づくりをする。作りたては、お客が商品を触ったら、温かい感触が感じられる売り方である。揚げ物など一度にドサッと調理せずに少なめに揚げて陳列をする。弁当などはおかずを詰めておいて、販売時に温かいご飯を詰めて陳列をするなど工夫が必要となる。

中華商品やおかず商品、煮物などはレンジ対応の商品作りをして、家庭でのリヒート(温め)でおいしく食べられる商品を開発する。

売場に「春」のイメージを出すように春の商品(春野菜の白あえ、ゴマあえなど)を提案するように企画を立てる。ロス防止のため、アイテムの拡大は避け、基本商品を重視する方が良い。

2月は、惣菜全体が低調な月であるため、無理は禁物。売場は揚げ物、弁当の「出来たて」と春野菜のゴマあえなどのあえ物で「春のイメージ」を出すようにする。定番の売上げを落とさないように売場をつくる。

惣菜売場へのお客の立寄率を上げるような工夫をした手軽な「のり弁」や「レンジメニュー」「煮物」など日替わりメニューの売り込みなどを組み込むようにする。鶏唐揚げの揚げたて販売が人気。揚げたら店のマイクで客に呼びかけをこまめに行うと良い。

脂の乗った「サバ照り焼き」

焼き魚は少々売価が高くても、おいしければコンスタントに売れる固定客用の商品。焼き魚が売れないのはおいしくないからである。固定客は女性より男性が多いとみられ、女性による代理購買も多い商品であることを知っておくと良い。品質と見た目を良くすることが売れるノウハウになる事を知れば焼き魚は売れる商品になる。

焼き魚を成功させるこつは、焼き過ぎないことが一番。魚を薄い塩水(2%強)の水に2時間くらい漬けてから焼く。

ます、原料のサバを解凍して薄い塩水に漬け、1~2時間置いてスチームコンベクションで焼く。スチームコンベクションは180℃のオーブンモードで、魚の中心温度は75℃でセットして焼く。

焼き上がったらサバの皮にみりんをはけで塗りスチームコンベクションを250℃のオーブンモードで焼き、焦げ目を付ける。短時間で焦げ目が付くのでスチームコンベクションの窓から焼き上がりを見て加熱を終了。2、3分ほどの短時間で焦げ目を付くので気を付けて調理する。

ドライトマトとモッツァレラチーズのサラダ

週末などの売場を華やかに飾りたいときにあまり手を掛けずに商品を作るメニュー。イタリアンメニューとして存在感を演出できるので上手に活用する。

この商品は見た目が華やかなので3、4パックでも目立つので見栄え良く陳列をする。D+2など日持ちのする商品にできるため、販売し最終日に半額などで処分ができる。

ドライトマトをボールに入れて、フレンチドレッシングを全体にまぶす。そのまま1時間ほど置いて、仕入れたモッツァレラチーズと合わせて盛り付ける。丸いチーズがなければモッツァレラチーズの塊を小さくカットして使う。バジルの葉をトッピングして仕上げる。

販売は、サラダ売場の冷蔵ケースでの販売。

バリエーション商品として、イタリアンムード商品として、ドライトマトの量を減らして、オリーブの実を加えた商品を作り、バリエーションを広げて売り込んでも良い。

鶏手羽先の胡麻風味焼き

夕方のピーク時にスチームコンベクションである程度の量を製造して、作りたての温かい商品を一気に販売するのに適した人気商品。

原料は小さめの手羽先を使う。まず、解凍した鶏手羽先に、焼き鳥のたれをまぶしてから、スチームコンベクションのトレーの上に重ならないように並べて焼く。170℃にセットして、中心温度計を手羽先に刺して、80℃にセットして焼く。

焼き上がったら表面に焼き鳥のたれをはけで塗り、今度は280℃のオーブンモードで表面を焼き、奇麗な焦げ目を付ける。

バーナーを使って手羽先の表面に焦げ目を付けるのも良いが、その場合にはスチームコンベクションで焼く時間を1、2分長くする。

焦げ目が付いたら取り出し、さらに軽く焼き鳥のたれを塗って、ゴマをしっかりと押し付けてたっぷりと付け、トレーに盛り付けて陳列をする。手羽先の大小で加熱時間は変わるので焼き上げるテストが必要。

半熟卵載せ「手毬寿司」

冬は気温が低く寿司の売れない季節。節分が終わると寿司の売上げが停滞する。そんなときの週末に売り込む寿司のバリエーション。半熟ウズラの卵のたねが新鮮で、人目を引くので活用する。

この手毬寿司は見た目が良く、女性や家族向け商品。手が多少かかるがいろいろなたねが味わえるので人気が高い。また卵の飾りたねの見栄えが良く人気を呼んでいる。

ウズラ卵の半塾を作る場合、まずは室温にして置き,湯を沸かし、2分30秒前後にゆでたら、すぐに冷水にいれて冷やしてから皮を剥いて作る。5秒~10秒で半熟が変化するので2分半前後で加減しながら、調整する。テストが必要だ。

ふっくら北海ホタテご飯

ボイルホタテ貝の冷凍は国産で手軽に仕入れられるのでこれを解凍して使う。価格が気になるのなら原価の安い小さなベビーホタテを使っても良い。味は同じであるため、特売用に使いたい。

まずは、ボイルホタテ貝の下味を付ける調味液を作る。しょうゆ、だし、みりん、砂糖で液を作るが、麺つゆ、だし入りしょうゆ調味液を使う方法が手軽で作りやすい。甘味の調整はみりんや砂糖で調整する。

ビニール袋またはバットにボイルホタテ貝と貝が浸るくらいの調味液を入れて、一晩冷蔵庫で保存して下味を付ける。

翌日にホタテ貝を取り出してスチームコンベクションで短時間さっと焼き(長時間加熱はホタテ貝が固くなるので注意)、焼鳥のたれなど焼き物用のたれを塗る。

炊きたてのご飯に、焼き物用のたれを混ぜて味付けご飯を作り、トレーに盛り付けて錦糸卵、昆布のつくだ煮、漬物などを合わせて仕上げる。

鶏大根煮

大根に味が浸み込んでいる商品が良く売れる。食べておいしいイメージがお客の購買欲をそそるので煮上がった際の色に気を付ける。

大根は大きめの乱切り、ニンジンは小さめの乱切り、鶏肉はひと口大に切る。大根は軟らかく下ゆでをする。または柔らかくなるまで、スチームコンベクションで蒸しても良い。これが味の浸み込みのこつ。

その土地の味の煮物の調味液を作る。できるだけ薄口しょうゆや白しょうゆを使い、煮物の色はカラメル色素を使ってしょうゆ色を付ける。煮物は時間が経つと色が薄くなったり、灰色になったりするので見栄えが良いようにカラメル色素を使って色よく仕上げるのが煮物のノウハウである。

調味料と大根、鶏肉、ニンジンを煮含めて作る。カラメル色素を使うことで、変色を抑えることができる。カラメル色素は砂糖などから作る食用色素で、煮物の色が持続できるのでノウハウとして覚えておくとよい。