睡眠の質向上に積極的な生活者へ。“眠活”と眠るまでの過ごし方を提案する“夜向け”商品を

2023.03.29

ひめこカンパニー 山下智子

快適な睡眠を追求する“眠活”市場が盛り上がっている。健康志向が強まる中、免疫力の低下や認知症発症リスクの上昇といった睡眠不足の弊害が知られるようになり、しっかり眠りたいと考える人が増加。

さらにコロナ疲れで生活者が“癒やし”を求めるようになったこと、在宅勤務で夜遅くまでPCやスマホに向かい、睡眠の質が落ちるという問題が顕在化したことも影響しているようだ。

睡眠を科学的に分析する“スリープテック”への取り組みも進み、福利厚生の一環として眠りの質を可視化するサービスなどを社員に提供する企業も増えつつある。

そうした中、一般の生活者の間では気軽に試せる睡眠改善食への注目度が急上昇した。睡眠の質向上やストレス緩和といった機能を持つ乳酸菌飲料「Yakult(ヤクルト)1000」は、2021年に全国展開を始めるとその効果がメディアでも話題になり、ヒット商品となった。同品に対抗する商品も続々と登場している。

画像はイメージ

手軽に続けやすいW機能性乳酸菌飲料

「Yakult(ヤクルト)1000」と同じ乳酸菌飲料では、日清ヨークの「ピルクル ミラクルケア」が売れ行き好調だ。睡眠の質の改善により、日常生活の疲労感も軽減すると訴え、差別化を図っている。

同社独自の乳酸菌NY1301株を1商品当たり1日の摂取目安量である600億個含有。夜寝る前にも飲みやすいよう、従来の「ピルクル400」よりもカロリーを抑え、すっきりとした後味に仕上げているほか、1日の摂取目安量が65㎖と手軽に続けられる。発売から1カ月で累計出荷数が1200万本を突破。これは1秒に4本売れている計算になるという。

カロリー・カフェインゼロの睡眠の質向上機能性飲料

森永乳業は、継続のしやすさをウリにした紙パック入り飲料「睡眠改善」を投入。“L-テアニン”を関与成分とした“睡眠の質を改善(起床時の疲労感を軽減)する”機能性表示食品で、常温で賞味期限150日と長期保存できる。発売から12日で計画比2倍以上となる出荷本数100万本を超える売上を達成した。

同社が20~79歳男女8900人に実施した調査によると、睡眠について何らかの悩みを抱えている人は48%。中でも、「熟睡した満足感が無い・眠りが浅い」「起床時に疲れている」といった慢性的・定期的な悩みが目立った。

フレーバーは、甘さ控えめですっきりとしたライチ味を採用。虫歯の原因となる糖類は使っておらず、カロリー・カフェインゼロで、夜寝る前でも安心して飲めると謳う。

通常の食事では摂りにくいコエンザイムQ10入りヨーグルト

カネカは、新型コロナウイルス禍でヨーグルト市場が拡大していることを背景に、身体の活力向上に有用とされる成分“還元型コエンザイムQ10”を配合したカップ入りヨーグルト「わたしのチカラ Q10ヨーグルト」を販売している。

同社によると、コエンザイムQ10は通常の食事では摂りにくく、世界的にはサプリメントでの摂取が一般的。男女年代問わず広く知られていて、特に女性の認知率が高いという。

同成分をヨーグルトに配合することで市場での差別化を打ち出せるとし、ビフィズス菌や3種の乳酸菌に加え、同社の還元型コエンザイムQ10を1個(90g)につき100mg配合。砂糖は使用せず、脂肪分をゼロとした。「わたしのチカラ Q10ヨーグルト ドリンクタイプ」も発売しており、どちらも好評だ。

「睡眠の質の向上に役立つ」「一過性のストレスの軽減に役立つ」「起床時の疲労感の軽減に役立つ」3つの機能性表示を取得した。

ゆったりと過ごす穏やかな夜向けエスプレッソビール

心身の健康を保つことで豊かさを実感する“ウェルビーイング”。実現するためには、よい睡眠を取って余裕を持って暮らす方がスマートだとの考え方が広がりつつある。最近は、よい睡眠を得るための眠るまでの過ごし方を提案する商品も増えてきた。

アサヒビールはセブン-イレブン限定で、夜の自由時間に着目して開発した350㎖入り缶ビール「アサヒ ヨルビール」を数量限定で販売している。エスプレッソコーヒーと黒麦芽を配合した麦汁で醸造した黒ビールで、エスプレッソの香りと、黒ビールの深みのある味わいが特徴。ほっとひと息つける夜の時間に、ゆっくりと時間をかけて楽しめるビールに仕上げている。

夜のティータイム向けリラックスティー

エカテラ・ジャパン・サービスは、展開する紅茶ブランド「Lipton(リプトン)」のティーバッグ「カフェインレスシリーズ」から、アールグレイのぜいたくな香りとリラックスできるラベンダーが香る新フレーバー「ラベンダーアールグレイ」を発売する。

日中は仕事や育児などに追われて、なかなか自分の時間が取れない大人に、夜の5分間くらいでも、紅茶を飲みながらほっとひと息ついて自分にとって大事な人や大切なものに目を向けてほしいという思いから、就寝前の“夜のティータイム”にもぴったりな同品を開発した。

可能な限りカフェインを取り除いているため、就寝前でも安心して飲めるのはもちろん、カフェインレスでも豊かな味わいと香りが楽しめ、毎日飲んでも飽きないという。

夜に飲みたい “キレイ習慣”のための果汁飲料

カゴメは、夜のリラックスシーンのお供にお勧めの紙パック入り果汁飲料「ハーブ香る果実 発酵白ぶどう&カモミールBlend」「同 発酵ピーチ&ジャスミンBlend」を発売する。

発酵果実とフルーツ、ハーブをブレンドした70%混合果汁入り飲料で、心安らぐハーブの香りとすっきりとした味わいが特徴。前者は白ぶどう、後者は桃の発酵果汁を使用した。1本(195㎖)で1日分のビタミンCとたっぷりの食物繊維が摂れるという。

砂糖は不使用ながら、ブレンドにこだわり、ほのかな甘さのフルーティテイストを楽しめるようにした。

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