柏餅、ちまき、母の日のケーキ、さらに消費が伸びるゼリー、プリン | 菓子スイーツ編・2022年5月 「これは押さえたい」重点商品と売場展開

2022.02.28

2022.11.11

トルティーノ 中村 徹

2022年の5月は、「ゴールデンウィーク」の点で見てみると、2日と6日を有給などで休むことで4月29日からの10連休の大型連休となる。

5月1日が日曜日のため、母の日がゴールデンウィーク期間最終日の5月8日となるので、売場変更の難しい年であろう。昨年の5月と曜日回りを比べると、昨年は土曜5回、日曜5回に対し22年は土曜4回、日曜5回と土日型の店舗では1~2%程度マイナス要因となる。

菓子関係の催事カレンダーを見てみると、5日の「こどもの日」や8日の「母の日」はもちろんであるが、毎月の催事日である6日「手巻きロールの日」、15日「菓子の日」、19日「シュークリームの日」、22日「ショートケーキの日」など菓子関係の日が多く存在する月になる。

例年、ゴールデンウィークには帰省や行楽が多く行われるが、昨年の5月は新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言下で人の移動が少なく、通常の買物に対して追い風が吹いた月であった。22年は本誌執筆時で感染拡大が収まっていない状況であるが、新型コロナウイルスの広がり方(終息の仕方)次第では昨年とまったく異なる人の動きとなる可能性があるので注意が必要だ。

総務省家計調査の「<品目分類>1世帯当たり年間の品目別支出金額,購入数量及び平均価格」を見てみると、品目別令和2年年間の月別支出金額が掲載されている。

菓子類の5月を見てみると、年間平均金額に対し、その他和菓子が101.1%、ゼリーが120.6%、プリンが105.4%と平均を超えている。また12月の支出が圧倒的に多いケーキも94.6%と健闘している。

これらの商品群のトレンドを見るために「令和2年年間消費金額/平成12年年間消費金額」を計算してみると、他の生和生菓子は85.1%と消費が衰退している。またケーキも91.6%と衰退している。一方でゼリーは100.3%、プリンも101.0%と僅かであるが伸長している。

これらを総合的に考えると他の生和菓子やケーキは年間指数的に押さえておきながら守りの企画を行い、ゼリー、プリンは少し攻めの企画を行うと良いと思う。

柏餅、ちまき

他の生菓子ではやはりこどもの日に向けた柏餅とちまきがメインになるであろう。そもそも端午の節句(こどもの日)に菖蒲湯に入って、柏餅を食べ、ちまきを食べるという風習は起源を江戸時代以前までさかのぼり、その由来もさまざまにある。

菖蒲湯は邪気を払い「勝負」に通じるとか、柏の葉は春の新芽が出るころに古い葉が落ち、家を絶やさない象徴であるなどだ。こういった由来を調べ、POPで訴求すると、お客の購買にも結び付くであろう。また、柏餅は地方によって通常の粒あんやこしあんだけでなく、みそあんなども存在するし、餅の部分もヨモギだったり赤かったりする。自分の地方ではどれがスタンダードであるかをよく見極めて展開する必要がある。

売場展開

端午の節句(こどもの日)の売場づくりとしては柏餅と粽を集合展開するのは当然であるが、恐らく仕入れ部門が農産になる菖蒲も同時に展開したい。これらを集合させることによってPOPなどの演出だけではなく、商品として端午の節句を演出できる。また、柏餅の餡の種類が明確になる陳列を心掛ける必要がある。お客の餡の種類の志向は意外と強いのでこし餡、粒餡などが混じらない陳列が求められる。

ケーキ

ケーキでは、母の日に向けたケーキの展開が必要になる。母の日と言えばカーネーションなど花を贈ることが定番であるが、ケーキ類もお母さんに喜ばれるプレゼントの一つである。

喜ばれるケーキとしてはチーズケーキ、イチゴのケーキ、モンブラン、タルト、ロールケーキなど定番の商品が並ぶが、スーパーマーケット(SM)などで最近ハレ型のケーキとして売れているのはアソートタイプになる。中身は定番の売れ筋になるが4個や6個アソートなど、家族で食べるのに丁度よいサイズ感になっている。また、通常のカップケーキ系も季節柄スポンジ系からムース、ゼリー系に変化し、これらの品揃えを充実させて展開する必要がある。

売場展開

ケーキ類は冒頭に述べたように母の日をはじめ毎月の歳時日がある。これらに合わせて展開していく必要があるが、母の日は特にハレ型商品をメインに取り組む必要がある。毎月22日のショートケーキの日はもうイチゴも終わりの時期に来ているので、5月が旬の始まりとなるメロンショートを訴求したい。この他6日手巻きロールの日にロールケーキ、19日シュークリームをPOPとともに訴求する必要がある。

ゼリー、プリン

ゼリーとプリンは共に5月はアイスクリームとカニバリを起こしやすい。一般的にアイスクリームは22~23℃の時に最も売れ、30℃を超えるようになるとかき氷に移っていく。家計消費支出の5月を見てみると、アイスクリーム・シャーベットは4月対比で150%伸びている。

従ってゼリー、プリンを押さえるには気温をしっかり見ておく必要がある。まだ5月は真夏と異なりゼリーやプリンを販売しやすい気温であるので、売場や販促を充実させて押さえておく必要がある。

売場展開

ゼリーはフルーツたっぷりゼリーをカットフルーツやフルーツヨーグルト、プレーンヨーグルトと集合展開し、「フルーツフェア」などとして訴求したい。カットフルーツも青果など仕入れ部門が異なると思うが、集合させることでより相乗効果が上がる。

本来毎月8日が「果物の日」であるが、母の日と被るため、5月は時期をずらして展開したい。先に述べた通りフルーツではメロンが旬になってくるので、カットフルーツではメロンを中心に展開したい。さらに売場に余裕があれば100%果汁などまで集合展開の幅を広げていきたい。

プリンは真夏になると消費指数が落ちていくが5月、6月はまだ維持している月となる。筆者自体も販促計画を作る時に真夏にプリンを仕掛けたことがあるが、決して売れないわけではなく、仕掛ければ年中売れる商品群ともいえる。

従って、「プリン祭り」などと題して平台などでプリンを集合展開して仕掛ければ売上げにつながってくる。

トレンド商品

お弁当ケーキ

菓子系のトレンドは新商品との改廃が多く、スピードも早いため、メーカー依存する面が強い商品群になる。少し前に流行った「マリトッツォ」などでも一般店から始まりあっという間に大手メーカーが発売し、もうブームは終わっている。

インターネットなどで「マリトッツォの次」などと検索してもズコット、マヌルパンなど様々な名前が出てくるが、今のところ大きなブームになりそうなものはない。

そんな中、新大久保辺りで流行っているという韓国発の「お弁当ケーキ」といものがある。直径4号、12cmほどのデコレーションタイプで紙の弁当箱に入るサイズでカラフルなデコレーションということで人気が出ているようだ。こういったタイプの商品はSMなどで販売する商品に落とし込みやすい。どこかのメーカーが商品化するかもしれないので要チェックである。

いずれにしてもさまざまな方面にアンテナを張り、最新動向を素早くキャッチする努力が必要である。

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