糖質ゼロ、ジントニック&ソーダ、初夏らしいワインが狙い目 | リカー編・2022年5月 「これは押さえたい」重点商品と売場展開
2022.02.28
2022.11.11
一昨年秋の減税とコロナ禍で進んだ家飲みシフトに伴い、昨年は家庭用でのビールの消費が好調に推移した。大手ビールメーカー4社は今期のビールの販売目標を2桁増と強気に設定。この目標を達成するためにアサヒビールは、主力の「アサヒスーパードライ」を1987年の発売から37年目にして初めてフルリニューアルした。市場に流通する商品は3月末にはおおむね新モデルに切り替わった。これは話題性が十分で、トライアル飲用だけでも数字を押し上げる。
それは5月の大型連休まで続く。この時期には普段あまり酒を飲まない人も飲酒するパームパーティが多く、彼らが新しい「アサヒスーパードライ」を試そうとするからだ。さらに品薄状態が続いているパーティ向きのフルオープン缶、「アサヒスーパードライ生ジョッキ缶」も生産が増強されており、大型連休めがけて集中的な出荷が見込まれる。
売場展開
誰もが知るスーパーブランドの「発売37年にして初めてのリニューアル!」を大きくアピールする。平台で6缶パック(郊外店ではケースも)350㎖と500㎖を大量陳列し、バーベキューやホームパーティの楽しいイメージを演出する。
「生ジョッキ缶」を確保できれば一緒に並べて共にアピールする。「生ジョッキ缶」は「アサヒスーパードライ」を普段飲んでいない人も手に取るから、主通路沿いの目立つ位置で展開し、お客の立寄率を高める。
糖質ゼロビール
ビールは今後5年の間に2度の減税が予定されており、消費増への追い風は長期的なものになる。その中でカテゴリーとして大きな成長が見込まれるのが、人々の健康志向に応える糖質ゼロビールだ。
パイオニアである「キリン一番搾り糖質ゼロ」と、対抗馬として急浮上した「パーフェクトサントリービール」は、常に比較され、話題を提供しながらこの市場を拡大すると考えられる。
生活面ではコロナ禍が落ち着いてもリモートワークは継続する。情報サービス業を中心に少なくない企業がリモートワークを前提に都心のオフィスを再編、縮小したことからも明らかだ。一方、オフィスへの通勤がなくなり運動量が減るため、在宅勤務者は進んで運動するようになり健康管理意識はさらに強まる。発泡酒規格の糖質、プリン体オフ&ゼロ商品も含めて、このカテゴリーは重点分野であり続ける。
サントリーは糖質ゼロのビール「パーフェクトサントリービール」をリニューアルし、業務用に樽生ビールを投入。糖質ゼロビールの間口の拡大を図る
売場展開
分かりやすくシンプルに「糖質ゼロビールどちらがお好み?」と投げかけて、「キリン一番搾り糖質ゼロ」と「パーフェクトサントリービール」を二項対立でアピールする。
春は健康診断が多い時期であり、夏に向けてダイエット記事が多く露出する。大型連休から2週間は継続して実施する。
ジントニック&ソーダ
一大ブームとなったレモンサワー。業務用で料飲店が工夫を凝らしたこだわりのレモンサワーから火が付き、缶入りのレモンサワーが次々に投入されて市場が拡大した。既存の酎ハイもレモンフレーバーに関心が集まり、ここ数年のレディトゥドリンク(RTD)は「レモン」バリエーションの拡大時代の観があった。
高位安定したレモンサワー人気だが、ポストレモンサワーとして注目したいのがジントニックだ。ジントニックは日本のバーシーンで最もポピュラーなカクテルで、飲用経験者は多いものの、家庭ではほとんど飲まれていない。
つまり、認知度も経年率も高いにもかかわらず、家庭での飲用機会をつくれずにいた。しかし、一昨年発売された「サントリージャパニーズジン翠SUI」がソーダ割りとして居酒屋で急拡大し、コロナ禍で家庭でも飲まれるようになった。ジンが家庭に入る下地ができつつある。
また、今年発売された「アサヒクラフトカクテル」はカクテル好きの間でおいしいと評判になり、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)上で特に「ジントニック」が話題になっている。サントリーからは3月に「翠ジンソーダ」が発売されこれもなかなかの出来栄えだ。このタイミングで高評価のRTD商品が登場すると、一気に化ける可能性もあり、今年の春夏にかけてはジントニック&ソーダを積極的に売り込みたい。
売場展開
ボトルのジンとRTDのジントニック&ソーダを組み合わせてアピールする。ボトルジンは「ビーフィーター」や「ゴードン」などスタンダードなロンドンドライジンを1、2点。国産の「翠SUI」とクラフトジンを2~3点。RTDは「アサヒクラフトカクテルジントニック」と「翠ジンソーダ」で展開。エンドやひな壇、平場で特別陳列する他、RTDは冷蔵ケースでも多フェース確保する。
ヴィーニョベルデ
ゴールデンウィーク明けから梅雨入りまでの期間は、屋外での飲食のベストシーズンである。暑すぎず寒すぎず、蒸すに悩まされることもなく天候も安定している。そこで家飲み充実プランとしてテラスや庭など屋外での飲酒を推奨する。ビールやRTDなど売れる商品は多々あるが、あえて初夏らしいワインをお勧めし、母の日から梅雨入りまでの期間、徹底的に売り込む。
お勧めしたいのはヴィーニョベルデ(ポルトガル語で緑のワイン)だ。フレッシュで軽快、さわやかな酸が特長で、アルコール度数もワインとしては低めで10%前後、軽く発砲しているものも多い。
売場展開
ゴールデンウィークから母の日にかけて「ポルトガル生まれのグリーンワイン」「アルコール度数ちょっと低め」「シーフードやサラダにぴったりなフレッシュ白ワイン」の3点をアピール。
ワインのイベント展開コーナーがあればそこで3、5種類をそろえて大々的にアピール。飲み比べを提案し2点で1割引き、3点以上で2割引きなどの価格プロモーションを組めるとベター。まずはこのワインのおいしさと楽しさを知ってもらい、コンスタントに動く商品に育成する。
トレンド商品
ノンアルコール&微アルコールドリンク
5月はホームパーティが多く、酒に弱い人も酒席に参加する機会が増える。長時間の酒席となることもあり、ノンアルコールのビールや酎ハイ、微アルコール、低アルコールの商品が動く。従来、この市場は酒類の補助的なものと位置づけられていたが、飲める人も飲めない人も場を共有し交流を深めるために、果たすべき役割が大きくなってきた。
中長期的な成長分野として、酒売場も丁寧に取り組んでいくべきである。めりはりを付けて断続的に売り込むのだが、5月は特に強く打ち出したいタイミングだ。
香る普通酒
「菊正宗しぼりたてギンパック」がリーズナブルな価格で華やかに香る商品として登場したのが2016年。以来、大手清酒メーカーからは独自に開発した酵母を使った、フルーツ様の香りが特徴の商品が次々に登場している。
日常的に楽しむフレッシュ&フルーティな清酒は、清酒の家飲み需要のすそ野の拡大に必須で、「菊正宗しぼりたてギンパック」がじわじわと売場を広げてきているのは象徴的だ。10年後の清酒を考えると丁寧にトライアルを促したい商品群で、「松竹梅 昴」「月桂冠 果月」「白鶴 雫花 純米」などを仕掛けてリピートの動向をモニターしていきたい。
リテールトレンドでは、飲料・酒類について各種紹介しています。
詳しくはこちらより、ご確認ください。