消費の伸びるコロッケ、ハンバーグ、サラダに加え、初夏に向けた商品に注力 |惣菜編・2022年5月 「これは押さえたい」重点商品と売場展開

2022.03.20

2022.11.11

日本フードサービス専門学院学院長 林 廣美
城取フードサービス研究所 城取博幸

2021年5月の家計調査前年比は、調理食品105.9%、弁当97.5%、寿司105.3%、おにぎり114.5%、調理パン117.5%、スナック類103.2%、うなぎかば焼き105.0%、サラダ117.4%、コロッケ108.3%、カツレツ97.7%、天ぷら、フライ97.7%、シューマイ101.2%、ギョーザ96.8%、焼き鳥97.3%、ハンバーグ118.5%、惣菜セット89.5%、外食137.8%であった。

20年に大きく消費を落としたおにぎり、調理パン、サラダの消費が好調であったのに対し、カツレツ、天ぷら、フライが不調であった。外食の復活にも注視したい。資料はチルド商品が含まれているためスーパーマーケットの惣菜部門の売上げとは多少異なるがトレンドは見ることができる。

コロッケ

20年にばら販売ができなくなった影響かカツレツ、天ぷら、フライの支出が減った。しかし、コロッケだけは前年108.3%の伸びであったため積極的に販売したい。

売場展開

中旬までは、こどもの日のミニオードブル(唐揚げ、フライドチキン、ウィンナー、ミートボール、フライドポテトなど)、天ぷら盛り合わせ、カツレツを販売。節約ムードが高まる中旬からは、コロッケ(野菜、肉、カボチャ、カレー、牛すじ)などのコロッケを3個、5個パックで販売する。

ハンバーグ

21年5月のハンバーグ(チルド、冷凍含む)は年間最高の消費で、前年比118.5%の伸びであった。年間でも7月を除けば消費は好調であった。チルド、冷凍の袋入り商品に負けないよう、惣菜売場でも積極的に販売したい。ハンバーグの小分けの「ミートボール」に今年は注力して販売する。

売場展開

ハンバーグとミートボールは、和洋中のソースを販売する。しょうゆ味の和風、中華甘酢の中華風、トマトソースの洋風と3種類品揃えし「世界のハンバーグフェア」を実施する。

サラダ

21年のサラダは1月から10月まで消費は順調であった。5月は117.4%の伸び。新玉ネゴ、新キャベツ、新ニンジン、新ジャガ芋、アスパラガス、エンドウ豆は柔らかくおいしい時期であるため、生野菜サラダ、ポテトサラダ、コールスロー、蒸し野菜サラダ、マリネなどに注力して販売する。

売場展開

冷蔵平ケースまたは冷蔵多段ケースで「春のサラダフェア」を実施し、該当商品を販売する。売れ筋商品は3SKUなど品揃えを拡大して販売する。

野菜たっぷり調理麺、野菜たっぷり丼

5月は春野菜がおいしい季節。野菜を増量したあんかけ焼きそば、ソース焼きそば、焼うどんを販売する。

米飯コーナーでも野菜たっぷりのビビンバ丼、中華丼、和食丼を訴求。ビビンバは韓国料理、中華丼は中華料理はあるが、肝心の「和食丼」がないため今年は商品開発を行う。

冷凍食品の6種の和惣菜(いんげんごまあえ、きんぴらごぼう、小松菜のおひたし、切り干大根煮つけ、ひじきの煮つけ、れんこんのきんぴら)を各7g~8gほど盛り付け、春の魚のサワラの西京みそ焼きを中心に置いた。

皿の上のホットドッグとサラダ
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和食丼「サワラの西京焼きと6種の和惣菜丼」

中華丼は「油炒め」、ビビンバは「煮てあえる」、和食丼は「含め煮」と調理方法が違うのも特徴だ。

売場展開

常温平ケースで「春野菜たっぷり調理麺」、もしくは和中韓の丼を集めた「アジアの丼フェア」を実施する。和食丼は5月は旬魚であるサワラ、他、タイ、カレイ、シラス、焼きサケなどを使用してもよい。          

トレンド商品

連休のゴールデンウィークの惣菜の売上げは、天候に左右されることが多いので販売計画予定を組むのが難しい。天候が晴れだと行楽外出が多く、店の客数は減少する。雨だと客数が増えるという事態になるので売上げが読めない。

こんな時の対処は在庫保存の効く冷凍食材を上手に組み合わせて晴れ型、雨型の売場を企画構築し、売上げと利益管理を行うような商品計画を立てておくと良い。

また、これから夏に向かって惣菜全体の売上げが伸びる時でもあるので、お客の目線を意識したゴールデンウィーク向きの人目を引く商品や売場づくりをすることが大切。

強化するアイテム

弁当…厚切りとんかつ弁当、焼き肉弁当、女性好みののり弁当など

寿司…細巻き寿司(ネギトロ巻き、納豆巻き、シーチキン巻き、納豆巻きなど、握り寿司は鮮魚部門で強化する)

涼麺…冷やし中華、ざるそばセット、ざるうどんセット(天候気温に注意)

オードブル、サラダ…ローストビーフ盛り合わせ、ポテトサラダ、マカロニサラダなどマヨネーズ系のサラダ(5、6月が良く売れる月)、大パックも売り込む

揚物…手作りとんかつ、手作りヒレカツ、手作りメンチカツ、手作り肉団子、魚の南蛮漬けなど

酢の物…タコの酢の物、タイ風春雨サラダ、心太(トコロテン)など

惣菜のピザ…ハム、チーズ、肉、魚など具がたっぷりのボリュームのある大型ピザ。宅配ピザの3分の1の価格で売り込む

季節の具たっぷり冷やし中華

容器に入っているサラダ
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5月の惣菜で気を付けたいことは、気温と商品の関係である。天候が晴れで気温が24℃以上になると売れる商品が一変する。特に昼食需要の涼麺商品が良く動くので欠品のないように天気予報をこまめにチェックしておく必要がある。

作り方…ゆで麺は伸びにくい中華ゆで麺(冷凍の中華ゆで麺など)を使い、たれは甘めのごま油風味のもの、からしの小袋を添付する。具は、ゆで卵半分、ほぐしたカニかま、錦糸卵、ゆでもやし、千切りキュウリ、ワカメ、千切りハムに紅ショウガを添える。

ゴールデンウィークは具の多い冷やし中華麺を売り込むが、平日は具を減らして価格を下げて売り込む。ゴールデンウィークと土日は398円、平日は298円という具合である。ただし、具を減らす際、ゆで卵は外さないこと。

冷やし中華だけではなく和風の涼麺商品をも併せて売場をつくり、売り込む。

■関連商品

冷やしうどんとかつ丼セット

プラスチック容器に入った料理
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ボリュームのあるランチタイムや男性客や夕食需要ためのセット。人気のかつ丼はスチームコンベクションで作れるので効率が良い。麺と握り寿司との組み合わせ、助六寿司との組み合わせなどのセットも企画する。

焼きおにぎりセット

プラスチックの容器に分けられた食べ物
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初夏から秋にかけておにぎりは必須商品。手を抜くことができないアイテムである。中でも、この商品はインストアで作ると非常に良く動く商品。焼きおにぎりが人気メニューだからである。

おにぎりは①焼きおにぎりと②焼きサケほぐしの普通のおにぎりの2個入り。おかずとして味付け煮卵、鶏の唐揚げを入れる。

作り方…ポイントは焼きおにぎり。白おにぎり(中には何も入れない)に甘みそを付けてスチームコンベクションで焼く。衛生管理上、必ず具なしのおにぎりを焼くこと。おにぎりを加熱して焼くと菌が増える恐れがあるので具は入れられない。最近ではレトロ感もあって、焼きおにぎりが人気になっているのでおにぎりのトレンドとして商品化を考える。焦げ目を付けたいのなら、焼き上げた後にバーナーで焦がすのも手だ。

売場展開…5月から秋の10月までおにぎりは売れ筋の必須商品。インストア手作りの人気おにぎり商品2~3アイテムと工場等外部製造のおにぎり6~7アイテムで構成する。

鶏モモ甘辛胡麻風味揚げ

食品, 皿, 屋内, プラスチック が含まれている画像
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鶏唐揚げの人気は高い。売上増を考えて定番の唐揚げの他に、他の唐揚げ商品も売り込んで相乗効果を上げる。定番唐揚げとの味を分けるためにごま油を使って風味を生かし味のグレードアップも図る。

ごま油の風味を効かせることで、味の重みが増してビールのつまみはもちろんの事、ご飯のおかずの一品として提案ができる。

作り方…唐揚げのもと(業務用で薄味のもの)に、おろしショウガとごま油を加えて、鶏唐揚げの肉と合わせて良く混ぜ合わせ、冷蔵庫に一晩置いて漬け込む。味は薄めに調整する。

翌日、衣用の片栗粉を加えて良く混ぜて、160℃の油で2度揚げする。

揚げた鶏肉をボウルに入れて、甘辛のたれ(業務用)と少量のごま油も入れて全体を混ぜ合わせてから、多めの白ゴマを入れて全体にまぶしてでき上がり。

注意点…揚げた後に業務用の甘辛のたれを絡めるので、鶏肉の味付けは薄めにしておくこと。甘辛たれと合わせておいしくなるようにたれの量の調整をするレシピを作る。

骨なし鯵(アジ)の南蛮漬け

プラスチック容器に入った料理
中程度の精度で自動的に生成された説明

気温の上がる初夏の定番商品の核商品としておろそかにできない商品が小魚の南蛮漬けである。本来初夏の小魚の南蛮漬けは、旬として出回る頭の付いた豆アジ(小さなアジ)を使うことが多かったが、豆アジの調達が難しいこと、また食べたときに口に当たる骨が嫌われることもあって、骨なしのフィーレ(冷凍)を使うことが多くなった。甘酢を使うアジの南蛮漬けは人気メニューなので定番商品として外せない。

作り方…冷凍のアジのフィーレを180℃の油で揚げる。南蛮漬け用の粉付き冷凍のアジのフィーレがあるが、もしなければ冷凍アジのフィーレを解凍してから小麦粉と卵液、少な目の水で濃い目に溶いた衣バッターを薄く付けるようにして油で揚げて作る。

油で揚げて熱いうちにボウルに入れて、南蛮漬けのたれ(業務用専用の甘酢)をかけて漬け込む。トレーに盛り、上に大根おろし(冷凍あり)を載せ、刻み青ネギ、レモンの輪切りを添える。

たれの甘酢については、酸味の強くないものを選んで使うと良い。酢の味が強いと子どもや男性が避ける傾向にあるので売上げが上がらないことが多いので気を付ける。

■関連商品

ワカメとタコの酢の物…夏の定番商品だが原料のタコの値上がりが心配。手に入れば定番商品として必須品揃え。

カニカマとワカメの酢の物…トッピングに錦糸玉子、中華くらげなどを使うと商品が栄える。

ローストビーフサラダ

プラスチックの容器に入っている肉と野菜
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全国的にローストビーフが惣菜売場のトレンド商品として注目されている。大型店の金、土、日、祝日の売り込み商品。惣菜売場の中心商品として、売り込まれることが多くなっている。最近の大型店では惣菜売場、精肉売場という垣根がなくなって、オードブル&サラダ商品売場として新しいカテゴリー売場ができている。即食商品の売場として構成されるようになっている。

惣菜のバックヤードには、スチームコンベクションが入っているので、肉を焼いて商品化すれば良いのではと思われるがこれはお勧めできない。

仮にスチームコンベクションで牛肉が焼けたとしても、焼き立ての肉はすぐに肉の色が悪くなって売れないことが多いからだ。また焼き立ての肉は薄くスライスをすることができないなど難しい問題が多いので勧められない。

商品化には、ハムメーカーの加工されたローストビーフを使う方が良いと考える。さらにスライスされている原料を勧めたい。奇麗に盛り付けるだけで商品化が可能だ。

作り方…トレーの底にレタスの葉を敷き、ローストビーフのスライスを盛り付ける。オードブルのローストビーフは薄めにスライスされた物を使うので、薄めにスライスされた材料を選んで仕入れるようにすると良い。その方が見た目も良くボリューム感が出るので、売価をコントロールしやすい。

トレーのレタスの上に、サラダ用の玉ネギのスライスを敷き、ローストビーフを見た目良く盛り付ける。トッピングとして赤、黄色のパプリカ、キュウリなどのピクルス(酢漬け)などを添える。見た目を美しくするのが売れるこつ。

ローストビーフ用のグレービーソースを小カップに入れて添える。ローストビーフ用のソースが小袋になって業務用の商品としていろいろなメーカーから出されているので、味見をして選ぶと良い。

■関連商品

ローストビーフサンドイッチ…サンド用のパンにマスタードとマヨネーズを塗り、レタスなどの野菜とローストビーフを挟む。

ローストビーフとポテトサラダ…トレーにポテトサラダを盛り付けて、レタスやパプリカなどの野菜を盛り付け、その上にローストビーフを美しく盛り付ける。

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