「父の日」のごちそう刺身、7月2日半夏生のタコ商品|「これは押さえたい」鮮魚編・2022年6月

2022.05.11

2022.11.10

エバーフレッシュ研究所 堀内幹夫

ロシアのウクライナ侵攻に対する制裁等の影響が大きく拡がりつつある。今後、原油などのエネルギー関連や小麦、水産物などが特に影響を受け、関連してさまざまなものの値上げが続くことが予測される。トレーも値上げ、餌や燃料代のアップからさらなる養殖魚の値上げも考えられる。

ロシア産物の禁輸措置やロシアに対する経済制裁によってロシア企業との貿易が止まる可能性が大きくなってくる。

ロシア産でなくともロシア領空の飛行禁止によるノルウェー産サーモンの空輸が滞り、相場高となるなど、ウクライナ侵攻の影響がさまざまな方面で発生する。ロシア産が市場から消えたり減ったりすることで代替商品への需要が高まり、新たな相場高を生む可能性もある。現実に三陸産養殖生銀鮭などは史上最高値で出荷がスタートしている。

ただでさえ相場高の上に、さらに相場高となる要素が加わり、主力商品はかつて経験したことがないほどの相場高となり、売上げが作りにくくなる。売上不振が長く続く恐れがあるわけだ。

全面的な相場高の中で値入確保が難しくなり、利益が恒常的に低下する恐れがある。相場高の中、力ずくで売上げを取ろうとして売価強化をすれば値入れが圧迫され、利益が取りにくくなる。

初夏の旬魚(アジ、イワシ、カツオ、イカ)

養殖物や輸入物などの相場高の中、近海魚、天然魚の特質を上手に活用し、売上げ、利益を拡大する。近海魚、天然魚の豊漁などによって相場がこなれたときは迷わず販売強化する。

マアジ、イワシ、生スルメイカ、イサキ、生カツオ、近海マグロ(近海生本マグロ、メジマグロ含む)など主力商品についてはSKU展開とメニュー訴求を強化し、量販につなげる。

また、初夏型生魚丸物の刺身への商品化強化を図る。生カツオ、アジ、スルメイカ、イサキなど旬魚を使った単品造りや旬鮮盛りの販売を強化し、利益確保。相場高により利益の取りづらい日々が続く。手間はかかるが、生魚丸物の刺身による高値入商材の販売強化を図り、利益確保に努める。

「梅雨イサキはタイよりおいしい」といわれるイサキの単品造り

アジとイカの造り。アニサキス問題で、すっかり下火になってしまった近海魚造り。全面的な相場高の中、貴重な高値入商品であり、何とか売り込みを強化したい

養殖生銀鮭

相場高にもかかわらず売上好調であったサーモンも、ノルウェー産生サーモンの日本への搬入減少と相場高、関連してチリ産解凍アトランティックサーモンなどへの集中による相場高と、状況は一段と厳しくなってきた。

代わりに国産養殖生ギンザケの販売強化をしたいところだが、三陸産養殖生ギンザケにおいても史上最高値で今季出荷がスタートしており、高値相場が今後も続くものと考えられる。

この時季の生ギンザケはかなり魚体も大きくなり、身質も強くなっているころ。相場高の中では付加価値販売が鉄則で、本来、切り身あるいは加熱用途が主体だが、場合によっては刺身への活用も考えたい。

刺身に使用する場合はセミドレスでの納品や、フィーレ納品の場合は産地(加工先)との衛生面の取り扱い等の取り決め、確認が必要。切り身での販売は、できるだけ「骨取り」切り身を主力にしたい。

養殖生ギンザケの切り身販売。できれば用途の広がる「骨取り」切り身を中心にして販売。「骨取り」シールを必ず貼ることが重要だ。

「父の日」ごちそう特集

6月19日(日)は父の日。父の日のテーマは2つ。1つは、ごちそう刺身と鮮魚の握り寿司。もう1つは酒のさかな。ごちそう刺身は、やはり養殖本マグロ中とろが中心。本マグロ中とろをたっぷり入れた盛り合わせ、本マグロ中とろや本マグロ赤身などを盛り込んだ「マグロ尽くしセット」など。

時季的に近海で取れた天然生本マグロなどがあれば好ましい。他には養殖マダイ、ヒラメなどの白身商材や生ウニなどを盛り込んだごちそう刺身、そしてアワビ、ホタテ貝柱、トリガイ、アカガイ、ホッキガイ、ツブガイなどを盛り込んだ貝盛り合わせ。酒のさかなは、シマホッケ開き干し、うなぎかば焼き、辛子明太子など、他には生珍味。生珍味の1パック298円、2パックで550円のバンドルなどもおすすめ。

「父の日ごちそう刺身」。売価780円。父の日刺身は、量より質重視で提案

「父の日貝盛り合わせ(ホタテ貝柱、ホッキガイ、ツブガイ)。売価980円

6月15日「年金支給日」ちょっとごちそう特集+メガパックシリーズ

6月15日の「年金支給日」。最近では、給料日よりも年金支給日の方が売上高大きいというデータもある。

年金支給日は、「プチぜいたく」商品を提案したい。量的に多くはいらないが、ちょっと豪華なたねを盛り込んだ刺身や生寿司、うなぎかば焼きなどの提案も良い。

もう1つは、塩ザケなど普段使いの商品で日持ちする商品の買い得メガパック提案。塩ザケ、塩サバ、ベビーホタテガイなど。地域性もあるので、普段から傾向を把握しておくようにする。

7月2日の「半夏生たこ祭り」企画

7月2日は半夏生。6月30日の木曜日から週末にかけてタコの拡販を図る。

今年のアフリカ産マダコの相場は、まだ予測が付かない状況だ。モーリタニアでの冬漁好調の情報が流れてくるが、国産タコの相場は高値張り付き中であり、どのような相場に落ち着くのかいまの時点では予測不能。

アフリカ産蒸しタコの相場が緩むようであれば、アフリカ産蒸しタコを中心に拡販をする。先ず足、スライス、切り落とし、ぶつ切りといった素材でのSKU展開を強化。いずれも1パック当たりの値ごろに注意して商品化する。

相場高のときは、切り落としやスライスの方が値ごろ的にもビジュアル的にもお勧めだ。相場高の際のもう1つの策としては野菜などでボリューム感が出せるタコキムチ、タコサラダ、タコマリネなどもお勧めだ。

他にも、タコのアヒージョ、タコの南蛮酢、タコの明太子炒めなどいろいろある。

素材だけをせっせと販売する時代は終わりつつある。相場高の機会に、素材提供と同時にすぐ食べられる「タコ惣菜」の提案と二面作戦で挑む。

関連販売として、キムチのもとや中華ドレッシングを準備する。次の売場展開図は6尺平ケースでの展開例。やはり売り込みの中心は切り落としになる。


トレンド商品

海鮮サラダセット&海鮮炙りセット

海鮮サラダセットといえば、「おしゃれな盛り付け」というイメージだが、ここでは生産性と刺身の代替という位置づけを考えてシンプルな横スライス型の提案とする。

大根つま、ワサビじょうゆで食べる刺身に対して、オニオンスライスやレタス、白髪ネギなどと一緒にドレッシングで食べる提案である。塩分控えめにしたい人にお勧めだ。サラダ系商品なので、白系の清潔感のあるトレーを使いたい。

炙りの中では、天然ブリの炙り、締めサバの炙りがお薦めだ。ロングランで展開する場合は、日々の売り込み商品をローテーションさせながら展開すると売上げが持続する。

売価は原則とし1パック398円。バンドル展開の場合は、「どれでも1パック398円、よりどり2パック750円、3パック1080円セール」などがお勧め。

1パック298円でのバンドル展開もあるが、相場高の中で値入確保が難しいとの意見が多い。利益重視なら「1パック398円、どれでも2パック780円均一」でも良いと考える。サラダセットや炙りセットだけの展開でなく、刺身造りも含めるとバラエティ感のある企画になる。

商品イメージ(あくまでイメージであるため1パック398円を想定した商品規格にはなっていない商品もある)

サーモンサラダセット

タイサラダセット

天然ブリ炙りセット

タコ炙りセット

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