相場高は長期戦で付加価値追求の商品化を| 精肉編・「これは押さえたい」2022年6月

2022.05.18

月城流通研究所 月城聡之

精肉

5等級国産黒毛和牛ランプステーキ用(モモ)、100g当たり698円

「父の日」(6月19日、日曜日)に「和牛ステーキ」を販売する。イベントを盛り上げる黒毛和牛は、輸入牛の相場高により相対的に価格メリットが出てきている。

特に5等級は出現率も高く、モモ肉部位はカタロース、ロイン、カルビ焼肉部位に比較して価格が安く、価格競争力もあるため、「ランプステーキ」を提案。

外食においても「イチボステーキ」の認知度が高くなっているので、「イチボ」と「ランプ」を使用した「モモステーキセット」で訴求する。

イチボの身の分厚い部分はソトモモにつながる側で、比較的硬めの部分となるため、繊維の向きを断ち切る方向に変えることや、厚みを調整するなど工夫すると良い。

「母の日」に比べ、実施率が低いと言われている「父の日」、食事でお祝いする提案で、お父さんへの感謝の気持ちを伝える機会を提案したい。

カナダ産豚ロース冷しゃぶ用100g当たり138円

食品, フルーツ が含まれている画像
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全体的に相場が高い中、売上げと利益を追求していくには、やはり「豚しゃぶ」を売り込まなくてはならない。

国産豚肉は、豚肉のブランド化が進んだおかげで産地や生産者、農場など指定のものも多い。今年は、海外の飼料穀物の価格高、円安で、生産コストが上がり6月からの相場高が予想される。入荷状況によっては、単品量販がかけられない場合が予想される。

そこで、輸入チルドポークでの販促比率を上げていく。「カナダポーク」は大麦、「アメリカンポーク」はコーンを穀物飼料として与えられる割合が高く、カナダの方が比較的白上がりの傾向にある。与える穀物によって、肉屋脂肪の色が影響を受けるからだ。

輸入ポークの商品化は、売価が安いがゆえに、国産でブランド化した豚肉との対比で「こま切れ」のような、手間暇をかけない商品化になってしまうことが多い。

特に「冷しゃぶ」のような薄切りの商品は、1枚1枚調理するときに肉を広げやすいようにふんわりと商品化をすることがポイントとなる。

トレーは、夏を思わせるように青系や新緑の緑を取り入れた柄を使うと見た目のインパクトが出る。ただし、周りのトレーが同系色となるのであれば、別の色を用いると良い。

近年、さまざまなトレーが出ているため、トレーでアイキャッチとなる売場を作っている企業は少ない。

売場を客観的に見て、どのような商品化が最も季節感が出て、一番購入してもらえるのかを考える。分かりやすい売場づくりをすることが重要である。

国産若鶏焼肉セット(砂肝、セセリ、手羽元、モモ、ヤゲン軟骨、手羽中)500g880円

皿の上の食べもの
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夏本番を前に焼肉需要の強化と共に、家庭で食べる「焼き鳥」「つまみ」需要を開拓する。焼肉需要は「モモ肉」を販売することも多いが、「骨付き」や「副産物」も上手に活用することで、値入率アップを狙う。

商品化は、そのまま焼いて食べることができるように、食べやすい大きさにカットする。

「砂肝」は皮を除去し3mm程度のスライス、「手羽元」は骨周りにスリットを入れ手羽元開きにする。

今回は、砂肝、セセリ、手羽元、モモ、ヤゲン軟骨、手羽中の組み合わせであるが、ハツ、レバー、鶏ハラミ、鶏カタ肉(ムネ肉の一部)などに差し替えても良い。

半製品

新型コロナウイルスの影響もあり、外食が制限されたことによる食生活の変化が起こっているように思える。

「肉惣菜」は家飲み需要、「半製品」「ミールキット」は販売量アップとなっているようだ。

しばらくはコロナ前の100%の外食需要に回帰されないと想定されるため、引き続き注力して販売強化したいカテゴリーとなる。

ベーコン巻きチーズインハンバーグ(解凍)2個398円

現在、「ハンバーグ」のブームが来ている。「牛肉100%ハンバーグ」や「粗びき肉入りハンバーグ」「黒毛和牛×黒豚ハンバーグ」など数多くのオリジナルハンバーグも販売されている。

また、例えば、チーズを中に入れたハンバーグについては、家庭で作ると焼いた際にチーズが漏れることが多いことから半製品の需要が高くなっている。

こうした「チーズイン」、あるいは「ベーコン巻き」など、ひと工夫を加えたハンバーグの需要が半製品の中でも高くなっている。

チーズに関しても、モッツァレラチーズなど種類を打ち出した商品も増えている。

売場展開は「地場産農産物のススメ」

地域産農産物は、「地産地消商品」「ローカルフード」「地域産食」「産直商品」など、さまざまな名前で呼ばれている。

その店舗の周辺地域で作られた農産物などであるが、最近では環境問題、食糧問題の解決につながるという観点、SDGs(持続可能な開発目標)の観点からも注目を集めている。

以前は環境に与える負荷を数値化した「フードマイレージ」「カーボンフットプリント」など、より具体的に数値化して、地産地消を推奨していたが、実際問題、そのときのトレンドや一過性のブームとなっていたといえなくもない。

一方で、例えば、東京であれば東京都産業労働局(東京都が行っている)が地場産農産物消費拡大支援事業など、官公庁が事業化して、経費の一部を支援する動きなどもあり、再度地域産農産物への意識が見直されている。

精肉売場では、メーカーが全国的に展開しているナショナルブランド(NB)や企業ごとのブランドであるプライベートブランド(PB)に加え、最近は地域で製造された商品をエリア限定で販売するローカルブランド(LB)に注目が集まっている。

店と同じ都道府県内で生産されたLBは、その地域の生活者にとっては身近な存在であり、「同じ地域の地場商品であれば食べてみたい」と心情的に思ってしまう。「地産地消」という消費も定着している。

この動きは、特に牛肉や豚肉で見られる。一方で鶏肉の場合は、産地が、北海道や東北、九州に集中しているため、産地以外ではまれである。

もちろん、LBのデメリットも存在する。価格の面では、大手が行う一貫生産ではなく、家族経営などの小規模運営をしているため、ややコスト的には割高になる。

少し高くても、地域の商品を扱うことに近年は注目が集まっていることもがあるが、あまりにも高い価格設定では量販につながらない。

SDGsの観点からも、持続可能な社会の実現を生産から販売まで行うため、販売者だけが粗利益をキープするという考えからも一歩脱却する必要がある。

生産者がいなくなれば、販売する商品もなくなってしまうことにも広く考えを拡張して、取り組んでもらいたい。

押さえておきたい最新動向「相場高騰による輸入牛対応」

新型コロナによる、海外の工場の労働者問題、港湾や船の人員不足、人員不足によってコンテナが船上や港に滞留してしまって流通の悪循環が世界中で起こっている。

さらに追い打ちをかけて、ウクライナとロシアの戦争により、小麦生産不足による穀物の供給バランスが世界中で起こっている。

これによって、2022年も輸入肉の相場高は続く。今年も引き続き価格は高めとなることを見越し、商品化と売場づくりを行う必要がある。

いつまで続くのか先の見えない輸入牛肉の相場高であるが、すでに対応が完了している企業も少なくない。

しかし、納品原価のみに頼って、何の工夫もしていない企業は、徐々に利益が圧迫されてきている。夏直前、「輸入牛タン」「ハラミ」「ショートプレート」と高い相場が続く中、焼肉売場をどう攻めるか。

まずは、定番アイテムの品揃えに加えて、新たな商品化の投入が必要となる。価格改定も必要な策ではあるが、新たな商品を新価格で投入することで、価格値上げの不信感を少しでも軽減させる。

物量が安定しない輸入牛であるため、丁寧な商品化で訴求する。

豪州産牛サガリステーキ用100g当たり298円

輸入内臓の中でも比較的価格メリットの出しやすい「ハンギングテンダー」は、焼肉だけでなく、ステーキでも提案していく。

今年は昨年よりもバーベキュー需要も増えるため、厚切りステーキやブロックもしっかりと販売していくことがポイントとなる。

商品化では、スジを引かずにそのまま輪切りにして商品化することも1つの方法であるが、きっちりとスジをトリミングして、さらに格子状にスリットを入れて販売することで、食感や焼き上がりの見た目に花を咲かせることができる。

「牛タン」に関しては販売するには厳しいほど原価が上がっている。例えば、「チルドムキタン」などは価格高騰の上、輸入量が減り、仕入れることも難しいこともあった。

現在は、現地の生産も回復し、量的には少し落ち着いてきているが、依然価格は高い状態である。

タン中部分は今まで通りスライスして販売するが、やはり「タン元」は「厚切りスターキ」や「マンゴーカット」などで提案していく。

また、週末や夏休みなど、バーベキューが行なわれるタイミングでは、真空のブロックで販売することも1つの方法である。

さまざまな要因が重なり、今年の食肉の相場は極めて高い状態が続くことが予想される。

牛肉や豚肉が高ければ、鶏肉が販売できるということでもなく、輸入の鶏肉も在庫が品薄となり、全体的に問題が大きくなっている。

世界的な食肉の相場高、穀物飼料、円安による生産コストアップ、豚熱、鳥インフルエンザの疾病の国内発生など、生産、価格形成に影響を与える現象が多く出現してきている。

2022年はいまだかつてないほど不利な環境であるが、それは自社だけのことではない。社会全体が同じ環境で苦慮している。

相場が高い状態でも、店舗が運営できるように、付加価値提案を行うことが第一歩である。買ってもらうために工夫は必要であるが、納品業者へ無理な価格の協力依頼、金銭的協賛、キャンペーンありきの提案などによる売上確保でなく、部門内できちんと利益が確保できる施策を打って取り組んでもらいたいと思う。

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