うなぎ蒲焼き・締めサバも『切れてる』商品化、相場高時代の値頃販売|「これは押さえたい」鮮魚編・2022年7月

2022.06.13

2022.11.10

エバーフレッシュ研究所 堀内幹夫

うなぎ蒲焼

今年の土用の入りは7月20日水曜日、土用の丑は7月23日土曜日。二の丑は8月4日木曜日。今年は昨年まで続いた相場安から一転、国産、中国産共に2割程度の相場高予想。特に中国産は各サイズ1匹200円ほどの売価アップとなっている。ただ「土用の丑」本番となれば1年に1回のことでもあり、相場高にひるまず積極的に仕掛けたい。

昨年の反省を総括すると価格訴求よりもボリューム感やこだわりで価値訴求した企業の方が売上好調との結果であった。

鮮魚部門で生寿司を扱う店舗はうなぎ寿司やう巻きの展開、食べ方提案も兼ねて「ひつまぶしセット」の提案も実施。

最近では「切れてる」商品の動きが良い。一口サイズ(3cm程度)にカットした商品(2分の1匹、1匹分)も品揃えに加えたい。

試食ができない状況の中で、料理サンプルの提示や匂い出しについては徹底する。またシジミを販売する場合は、当日夕食にうなぎと一緒に食べられる砂抜きシジミを販売し量販につなげる。

今年は比較的早い時期の土用の丑であり、梅雨明けしていない可能性もある。雨は集客に大きな影響を与えるだけに、予約販売を徹底し売上担保する。

試食ができない中、一番の仕掛けは「匂い出し」。たれが焦げて焦げ臭くならないよう、うなぎたれを浸み込ませたこんにゃくをホットプレートで焼き、匂い出し

相場高の時の救世主!切り落とし

養殖(解凍)本マグロの相場は、一時期の最安値の時期と比べれば4割高となっている。刺身用サクで売価100g当たり698円が100g当たり1080円くらいになっている。

これだけ売価がアップすると刺身用サクや造りにしても、見た目の価値観と価格がこれまでとギャップがあり過ぎて売れにくくなる。

しかし、切り落としなら、まだ勝負できる。切り落としは鮮度、品質、味、色目さえ良ければ、形状的に不正形な部位でも使えるのが利点であり、歩留まりもずっと良くなる。相場高の中、少しでも安い原料が使えるメリットは大きい。

夏のボーナス時期の7月第2週の週末当たりは、「ちょっと豪華に」をテーマに積極的に仕掛ける。切り落としであれば刺身、寿司、丼物、巻き物、サラダなど用途が拡がるのもメリットだ。80g798円、100g980円辺りで提案してはどうか。

養殖(解凍)本マグロ切り落とし80g798円。マグロ切り落としやすき身の売場が広がっている。マグロ切り落としを3、4種類展開する企業が増えている

辛子めんたいこ、塩タラコ

子ども達が夏休みに入り海に、山に、と家族そろってのレジャーや行楽が増える時季。行楽弁当やおにぎりに塩タラコ、辛子めんたいこの提案。また「お家パーティ」する場合もめんたいこ(タラコ)スパゲティやタラコのタルティーネ(カナッペ風)などのメニューを提案し、購買につなげる。

最近の辛子めんたいこ、塩タラコは店の人手不足もあってか、メーカーパックのみの展開が多い。プライスラインは1パック298~398円がほとんどで8~9割を占める。298円、398円のプライス別に2、3SKUの品揃えがあるが、商品の違いが不明確。商品別に塩分濃度、味、卵質などの訴求もないことが多い。

できれば塩分濃度、味、卵質などを精査、商品選定し、インストアで盛り込み販売してはどうか。小パック200~300円、中心となるレギュラーパック300~400円、大型パック400~500円となるように内容量を調整しユニットプライシング(単位価格表示)で販売。その上のメガパックは1パック780~980円の定額販売で品揃えする。

メガパック以外は、ユニットプライシング。1パック当たりの値ごろに注意。試食を通して塩分濃度、味、卵質について納得して購入してもらう

バーベキュー(BBQ)、鉄板焼き商材

新型コロナの影響次第の面もあるが、今年も夏休み期間中の「お家BBQ、鉄板焼き」需要は高いとみる。昨年と同様、職場仲間など多人数でのBBQ、鉄板焼きパーティでなく「お家BBQ、鉄板焼き」である。

BBQセットは2、3人前中心に提案。セット物の定着が進まないのは値引き、廃棄ロスが多く、腰の引けた展開が多くなるため。できれば写真のような冷凍BBQセットがお勧めだ。冷凍セットであるため、賞味期限に余裕があり、売る方にも使う方にもメリットがある。

暑い夏の展開でもあり、BBQセットを含めたBBQ、鉄板焼き(冷凍)商材については、冷凍ケースで展開してはどうか。冷凍ケースでの展開の場合、お客の立ち寄り率が低くなりがちだが、販促資材などを有効活用して視認性を高める工夫をする。

他に単品でのBBQ、鉄板焼き商材として鮮魚系では、活サザエ、殻付きホタテガイ、殻付きカキ、生アユ、生すスルメイカ、アルゼンチン産アカエビなどがある。冷凍系商材としては、つぼ抜きイカ、スチームホタテガイ、冷凍ホタテ片貝、冷凍アワビ、骨取りチリ銀ザケなど。

気温が高く鮮度劣化が心配される中、縞ホッケ開き干し、ピリ辛シシャモなど塩干系商品は、鮮度保持がしやすくお勧めだ。

夏場に人気の「中華特集」

夏の暑さを中華料理で乗り切る提案。商材的には大きく分けてエビ類、貝類 イカ類がメイン。それにタコ類となる。エビ類では殻付き無頭エビも良いが、最近ではむきエビの人気が高いので殻付きエビと併売してみる。

貝類はベビーホタテガイ。料理用途が広く、万能商品だ。イカ類は、マツイカ、スルメイカのつぼ抜きや、いまはやりのオオアカイカのミミ(肉厚イカ)もお薦めだ。それにアフリカ産蒸しタコを加えて、1パック580円、2パックバンドル1000円均一の提案。単品で売り込もうとしても、なかなか成果が出にくいが、「中華」というくくりでまとめて展開すれば成功率が高まるかもしれない。できればトレーも中華をイメージできるトレーで統一し、雰囲気を醸し出す。

トレンド商品

イカの救世主「イカミミ(肉厚イカ)」

国産スルメイカの不漁、相場高が続く中、半年前辺りから突然出現し、どの企業でも熱心に売るようになってきたペルー産アメリカオオアカイカのミミ。価格が安いのと身質が柔らかく食べやすいのが人気の商品。

食べ方としては、ポン酢、オリーブオイル、七味唐辛子とマヨネーズなどさまざま。ボイル済みなので、そのまま生でも良し、炒めても良しと万能。これから夏場に向かい、ビールのつまみなどにも最適。魚惣菜での販売もお勧めだ。

「切れてる」商品、売れ行き好調!

写真の締めサバは、「ただ切れている」だけで大ヒットした商品。「切れてる」ことでの便利性と何となく「安い」イメージが付加され、売れた商品といえる。

同じような例として「うなぎかば焼き」がある。うなぎかば焼きは、ひと昔前は「包丁を入れるとかえって価値がなくなり売れない」といわれたものだが、最近では「切れてる」うなぎが、地味にこつこつ動いている。

アフリカ産蒸しタコが、足からスライス、切り落しにシフトしているのも同じ流れと考える。特に相場高のときは、切ることで値頃販売ができるメリットもある。

発売と同時に良く売れた「切れてる締めサバ」。切れている便利性と味が良かったこと、安さ感があったことがヒットした理由と考えられる

生珍味のヒット商品! サーモンクリームチーズ

北海道産クリームチーズでスモーク風味のサーモンをあえた商品。爆発的ではないが、静かに売れている。昨年同時期にヒットしたホッサラ(ホッキサラダ)に次ぐヒット商品。鮮魚寿司(巻き寿司など)やサラダに入れてもおいしく食べられ、お勧めだ。

天然炙りブリ

この時期の天然ブリにはブリ糸状虫がいる危険性がある。このブリ糸状虫を排除するためにも、まず細く長いサク取りをする(細くサク取りをすることで寄生虫のリスクはかなり防げる)。

このサクを炙り、冷凍庫で一晩置き、翌日半解凍の状態でカッティングするとサクサク切れる。解かしすぎると包丁を入れたとき、切り口がささくれ立って見栄えが悪くなるので注意する。

炙り済み原料の仕入先が見つかれば一番良いが、見つからない場合はこのような工程で商品化してみてはどうか。天然ブリは色目が良くなく、変色が早いので炙りに最適。そのままワサビじょうゆで食べるも良し、オニオンスライスや白髪ネギとワサビドレッシングで食べるのもお勧め。刺身商材が軒並み相場高の中、貴重な戦力となる可能性を秘めた商品だ。

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