ピークを迎えるゼリーなど「涼味」を訴求、盆の和菓子もしっかりと|「これは押さえたい」菓子・スイーツ編・2022年8月

2022.07.04

2022.11.09

トルティーノ 中村 徹

2021年の8月は東京オリンピックの関係で8日(日)山の日、翌9日振替休日と変則的な祝日となり、8月に2連休が存在した。本年の8月は11日(木)が山の日となり、金曜日に休暇を取れば盆休みとして4連休もしくは5連休ができる。

月全体では昨年と比べ日曜減の水曜増で週末型の店舗では2%程度の減収要因となるが、盆周りの休暇が祝日から取れやすそうなので同程度の曜日回りと考えてよいだろう。

本年の(夏)土用の期間は7月20日~8月6日までで、丑の日は7月23日(土)と二の丑8月4日(木)となる。菓子関係の催事カレンダーを見てみると、7日(日)には早くも立秋を迎え、暦の上では秋になる。

また毎月の催事日である6日の手巻きロールの日、15日の菓子の日、19日のシュークリームの日、22日ショートケーキの日など菓子関係の日が多く存在する。

8月は本格的な真夏のシーズンになる。今年はラニーニャ現象が続く予想がされているので、猛暑の夏になりそうである。昨年と異なり帰省や旅行は大幅に増加するであろう。一方でかなり終息に向かっているが、まだコロナの影響もないとは言えず、流入、流出など客数の予測が難しい8月になりそうである。

総務省家計調査の「<品目分類>1世帯当たり年間の品目別支出金額,購入数量及び平均価格」を見てみると、品目別令和2年年間の月別支出金額が掲載されている。

菓子類の8月を見てみると、年間平均金額に対し、ゼリーが207.0%と年間最大ピークを迎える。また額は小さいがようかんが163.6%と12月に続く売上となっている。さらにまんじゅう106.7%、他の和生菓子106.8%と和菓子関連が比較的好調な月となる。プリンも101.0%と比較的好調な月である。

これらの商品群のトレンドを見るために「令和2年年間消費金額/平成12年年間消費金額」を計算してみると、ゼリー100.3%、プリン101.0%と僅かであるが伸長しているがようかんは58.7%、まんじゅう43.6%、他の和生菓子85.1%と激減している。ケーキ類は指数的に落ち込む月となる。

これらを総合的に考えると、「ゼリーを最大限攻める企画」を行うと良いと思う。ようかん、まんじゅう、他の生菓子については盆を中心に訴求するのが良いだろう。

ゼリー

ゼリーは9月頃まで指数が高く、8月は年間を通じて最大のピークを迎えるが、カップの非冷タイプもケーキに近い要冷カップデザートも旬のフルーツに気を付けたい。8月の旬のフルーツといえば、7月に続きスイカやメロンなどのウリ系などに加え桃、梨、ブドウ、栗が旬となってくる。これらを前面に出したゼリーを訴求すると季節感が演出しやすい。特に要冷カップデザート系は旬のフルーツを前面に出した品揃えを目指そう。

実際の売れ筋は特に非冷タイプではミカンや白桃などであり、これらの商品を品切れさせないよう十分に売場スペースを確保することも重要である。この時季のゼリーは要冷、非冷問わずいかに売場を多く確保するかで売上げが変わってくるので、多面展開も考える必要がある。

和菓子

8月は和菓子自体の指数が高く、特に盆期間があるので盆に絡んだ和菓子が伸びる傾向にある。

盆菓子は旧暦の盆前から展開し、地域によってはこの時期に多く売れるところもあるが、やはり8月の新暦の盆がメインになるであろう。

盆菓子はハスや菊、果物などをかたどった落雁がお供えとして主流である。元々は砂糖を使った菓子が高価なためより廉価な面と日持ちの面から落雁になったようである。

この落雁はお供えに使った後の処理が面倒だという意見もあり、最近では日持ちがして食べたりしてもおいしい盆菓子の提案がなされている。一例では盆菓子自体をラムネにして食べやすくしたり、キュウリやナスの形のゼリーを用いて精霊馬(しょうりょううま)が簡単にできて野菜をしなびさせないようにしたり、落雁自体もあん入りにしてそのまま食べやすいものにしているものも発売されている。こういった新しい盆菓子を訴求してより実際に即した提案をしてはいかがだろうか。

また8月の初めは土用の期間で土用の二の丑は4日になる。本来土用餅は土用の入りの日に食べるものであるが土用期間「う」のつくものとして梅ゼリーなどとともに訴求しても良いのではないだろうか。

wagashi(Japanese Sweets) for offerings

ようかん、まんじゅう、他の和菓子

8月はようかん、まんじゅう、他の和生菓子の指数が上がる。これはやはり盆に絡んでの需要と、涼味としての需要が増えるからである。盆時期はお参りや家族がそろうときの手土産として上生菓子や涼味和菓子が重宝される。

こういった簡単な手土産需要を取り込むことも重要である。また普段使いの涼味訴求としては、時季は盆までわらび餅、水まんじゅう、水ようかん、あんみつ、くず餅などを前面に出して訴求することが重要である。

売上拡大のポイントはいかに「涼味」としての売場演出をするかにかかってくる。盆以降は秋の和菓子に徐々に移行して餅菓子などに変更していくことも考えておく必要がある。

ケーキ

8月のケーキ類の指数は低い。スポンジを使用した商品はこの時季売りにくいが、ロールケーキは何とか中身次第で拡販できるであろう。やはりこれもフルーツを前面に出した中身が好まれると思う。特に盆時季には和生菓子と同様に手みやげやお供えとしての需要も期待できる。

カップデザート系ではやはりゼリーやムースベースがメインになってくる。これにフレーバーとしてはソーダ系やレモン系といったさっぱり系を持ってくると真夏にぴったりの商品となる。 また、夏のフルーツとして定番のトロピカル系、マンゴー、パイナップルといった食材を使用したケーキを訴求すると、特に真夏に最適な商品となる。催事としては8月7日がバナナの日であるため、バナナ菓子を日替わり訴求すると良いと思う。

売場展開

8月の売場展開のテーマは「暑さ対策」「食欲減退対策」「盆にちょっと良いもの」といった切り口になる。従って徹底医的に「涼味」の訴求は売場を通して必要になる。

ゼリーやプリンはもちろん、和菓子も涼味の切り口での展開が柱になる。「つるり」とした食感の菓子は食欲が落ちる時季にも口にしやすい食品となる。一方で盆の時期、今年は昨年と違って人が動くことが考えらえる。この人の動きに合わせて手みやげ需要を拾っていく必要がある。

「フルーツ祭り」はこの時季、毎月行いたい企画である。毎月8日が果物の日であり8月は7日がバナナの日であるため、この2日をターゲットに訴求すると良い。この時期はカットフルーツもスイカやパイナップルを中心に拡大してくる。これに合わせてプレーンヨーグルトやフルーツヨーグルト、フルーツゼリーを一緒に訴求すると統一感が演出できる。 

トレンド商品

ブリュレスイーツがトレンドのようである。ブリュレとはバーナーやグリルで砂糖を焦がすことでさまざまな商品で応用ができ、いま多くのブリュレスイーツが発売されている。

一部テレビでも紹介されているが、ブリュレが「砂糖を焼いて焦がす」というもののため、さまざまなスイーツが販売されている。一例を挙げると、コンビニなどでブリュレパンケーキ、ブリュレソフトクリームパフェ、専門店では、ブリュレドーナツ、ブリュレシュークリームなどが発売されている。コンセプトが簡単な商品で何にでも応用が利くので、この夏以降のトレンドになるかもしれない。

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