久しぶりの「らしい」盆商戦予想での売場展開のポイント|「これは押さえたい」青果編・2022年8月

2022.07.13

2022.11.09

創風土 代田 実

昨年8月の旧盆は、新型コロナ第5波の最中で行楽、帰省、行楽客は少なく、JR各社の新幹線利用客はコロナ前の3割程度だった。これに対し、今年はゴールデンウィークの新幹線利用者数はコロナ前の7~8割程度まで回復し、このままいけば旧盆の帰省客も増加し、久しぶりに盆らしい商戦を迎えられそうだ。

一方で値上げラッシュによる消費者の節約志向の強まりもあり、今年の盆商戦計画を立てるに当たっての不安材料となっている。そこで今年の盆商戦を迎えるに当たっての売場展開について考えてみることにする。

気温の変化にも注意したい。昨年の盆は、前半は暑い日が続き、後半は雨天で涼しくなる地域が多かった。このため売れ筋が変化し、レタスなどサラダ材料が売れ残るなど計画通りの販売画できなかった店舗も多かった。

今年の盆売場展開に当たっては、事前の交通機関予約状況の確認を行い人の動きを予想すると同時に、気象予報もこまめにチェックする必要がありそうだ。

お供えセット、盆花、盆用品

野菜、果物のお供えセット以外の盆花や盆用品は扱い部門が青果以外という店舗も多いが、日本人にとって大切な行事である盆を迎える上で欠かせないこれら3品目は合わせて売場展開するのが望ましい。

お供えセット、盆花、盆用品は盆の入りとなる13日までには大方売り切るよう展開するのが基本だが、近年は盆の際ぎりぎりまで売れる傾向が強まっている。品切れさせず売り切るための展開計画が求められる。

その際多くの青果売場担当が悩むのが、売れ残るとロスになってしまうお供えセットの発注数量だろう。前年販売実績を基に売り切れる数だけ発注し、あとはインストアでの商品化で追加補充の対応をして、品切れを防ぐ作戦をお勧めしたい。そのために、紙トレーや和紙などを準備しておき、大房のブドウは小さめにカットした上でポリ袋に詰めて盛り合わせるとよい。

トレーに売場商品を盛り付けた「お供えセット」商品化例。事前に資材を準備しておけば、誰でも簡単にできる

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お供えセット、盆花、盆用品売場展開例

帰省持ち帰りギフト

昨年以上に人が動くことが予想される今年の盆、帰省持ち帰りギフトの需要も回復しそうだ。ただ、どの程度の販売数となるか不透明な部分もある。

そこでお勧めしたいのが、市販の化粧箱を準備して売場の果実を詰め合わせるインストアでの商品化だ。ナシやモモの大玉が6個入るサイズの化粧箱を基本に、紙パッキン、和紙、フルーツキャップを準備すればさまざまなギフトセットを作ることができる。これなら売れ残っても売場で通常販売規格に戻しての販売が可能だ。

なお、この際、食品表示法で定められた名称(品名)原産地表示を詰め合わせた品目すべてにおいて、POP、ラベルなどで表示することを必ず行うことを忘れないようにしたい。

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帰省持ち帰りギフト展開例

夏野菜、夏果実の旬となる8月は売り込みたい品目が盛りだくさんだ。その中でも、前月7月に比べ消費金額が急激に伸びる「ブドウ」「ナシ」の果物2品目は確実に押さえておきたい重点品目といえる。

また、野菜では「トマト」「キュウリ」「ナス」などの果菜類の売上高構成が高くなる。これに加え、例年8月が最も単価が安くなることで売りやすくなる「ゴーヤー」や「ピーマン」をうまく売りこなし、安さの演出を行うとよいだろう。

ブドウ

8月から9月が販売のピークとなるブドウは、果物の消費が減少する中、数少ない伸長商品だ。そのけん引役となっている「シャインマスカット」を中心に、最も生産量の多い「巨峰」や「ピオーネ」「デラウエア」などの品種をバランスよく販売していきたい。

売場展開のポイント

高単価商品が多いブドウは、少しのロスが青果部門全体の利益に大きく影響してしまうため、売場での商品管理、ロス対策が売場展開のポイントとなる。

段トレーやフルーツパックに盛り付け、面を見せる形での陳列を行い、お客が取りやすい陳列を行いたい。また、近年はほとんどが種なしぶどうになっているが、種ありのものに比べ脱粒しやすいため、売場での商品回転を良くして長期間売場滞留しないよう商品管理に努めることも重要だ。

ブドウの売場展開例

ナシ

平年は8月の旧盆前から本格的に出回る梨だが、近年は気候温暖化の影響で出回りが早まることも多い。このため前年の販売実績にとらわれず、今年の産地状況に合わせた販売計画を組むことが重要だ。

8月は早生種の「幸水」を中心に販売し、下旬以降は「豊水」を核に青ナシの「20世紀」「新高」「南水」「あきづき」を併売していく形となるが、味の良い大玉を積極的に売り込んでいきたい。

売場展開のポイント

例年、旧盆時期が幸水ナシの売場拡大のタイミングとなることが多い。お供えや手土産にもできる大玉の盛り売りで、高値頃を狙って行きたいところだ。

また、早生種である幸水ナシは日持ちしにくいため、日々入荷商品を売り切りしつつ、商品回転を良くすることが売場展開時のポイントとなる。展開例の写真のように、幾つかの値頃規格を作って販売して売れ筋を広げ、売れていない規格は内容を変更するなどして早めに売り切るような柔軟さが求められる。

盆商戦期の幸水ナシ盛り売り売場展開例

野菜、果菜類

トマト、キュウリ、ナスなどの果菜類はこの時期天候によって一気に出荷が重なり、相場が下がることが起こりがちだ。そのようなタイミングでは「たくさん買って、たくさん食べてもらう」売り方を実践して産地を応援しつつ、売上げを作っていきたい。

このように天候に恵まれ、出荷量が多くなるタイミングでは商品品質も安定して日持ちもよいので、お客にもポリ袋に入れて野菜室での保管など適切な保存方法を取ることで日持ちさせることができる旨、POPなどで伝え、安心して買ってもらえるように工夫したい。

売場展開のポイント

週間での売場計画時点では予想していなくても、果菜類の出荷が急に増えることはよくある。そんなときは売場遊休スペースなどを活用し、機動的に売場づくりをし、ざる盛りなどで販売規格作りを行いたい。

1盛り300~400円のいつもよりは少し高めの値頃にしつつ、ボリュームは倍以上で、買い得感を出す規格作りがポイントだ。仕入原価にもよるが、ざるやフードパックにキュウリなら8~10本、トマトなら4~6個盛りが目安だ。

セルフサービス販売の場合だと、かごの中で商品がかさばるので、売場にポリロールを用意し、レジ登録の方法をレジ担当と事前に決めておくなどの対応をしたい。

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果菜類の盛り売り売場展開例

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