相場高時こそ、値頃追求のSKU作りと代替商品を開拓せよ|「これは押さえたい」鮮魚編・2022年8月

2022.07.19

エバーフレッシュ研究所 堀内幹夫

主力商品のすべてが超相場高という厳しい状況の中、前年実績確保が段々と難しくなりつつある。そんな中、主力商品が前年比70%台まで落ち込むところ、100%超えは無理でも何とか85~90%でとどめることが重要と考える。

「相場高だから売れない」と勝手に決め付けず、商品の形を変えて売り込む。特に重要なのが値頃追求のためのSKU作り。たとえばアフリカ産蒸しタコは、足のままの販売では1パック当たりの単価が高くなり売れにくいであれば、切り落しやスライスで値頃を押さえて販売することで売りにつなげる。

また、新商品は積極的に導入する。新商品は比較的価格設定を自由にでき、付加価値も付けやすい。たとえばマスイクラの代わりにベニサケイクラ、荒巻サケの代わりに塩シロサケの導入、冷凍ブリ切り身利用によるたれ漬け切り身やブリカツなどへの挑戦。ない商品や相場高を憂うよりも、代替商品へシフトすることも重要と考える。

さらに国産商品は「円安」とは無縁とまでは言えないまでも輸入商品よりは円安の影響が少ない。近海魚、国内加工、国内養殖商品の販売を強化する。たとえば、8月になると生出荷停止となる三陸産養殖ギンザケの塩蔵、冷凍商品の活用など。

刺身盛り合わせ

今年の盆商戦はチャンスではあるが、規格は一からの見直しが必要。コロナ感染も少し落ち着き、3年ぶりに通常の盆となる今年の盆商戦は、「今年こそは」と豪華な食事を楽しむなど「奮発型」「リベンジ型」消費の意向が高まる可能性がある。

相場高だからといって、腰の引けた展開ではせっかくのチャンスを逸することになる。用意周到な計画と準備をして盆商戦を迎える。ただ、刺身商材のすべてが相場高となっており、「刺身盛り合わせ」規格については昨年までの踏襲型、微修正型では到底無理がある。

今年は早めに価格、内容量などを一から見直す必要がある。全面的相場高の中、価格以上に豪華に見える工夫が必要だ。価値感アップのための手法はさまざまにあるが、次の写真のような「直線盛り」なども1つの選択肢と考える。

左は4切れ×6点盛り、右は4切れ×6列盛り。どちらも売価、1切れ重量は変わらない。右商品の方が面が広がっている分だけ商品の価値感が高いのではないか(注意、一部、盛り付け内容に違いはある)

寿司盛り合わせ

高級たねの生ウニ、イクラなどが異常高値となっていることから厳しいが、寿司飯の量で調整できることもあって刺身より寿司の方が相場高に対する耐性が高いといわれる。

ただ、今回の生ウニ、イクラの異常高値はハレの日企画にとっては高いハードルとなる。今年は、昨年まで多かった「お一人さま用」規格ではなく、3、4人前など大型盛り合わせの比率が増すものと思われる。今年の盆商戦は「奮発型」「リベンジ型」消費の需要が強まる中、高単価で魅力的な商品規格や品揃えを強化する必要がある。プライスラインをどの程度作り、販売主力となるプライスポイントを幾らに設定するのか慎重に検討する必要がある。

売場展開

まず、昨年の盆商戦の流れと今年の流れについての予測したい。今年のゴールデンウィークと同じく、さまざまな行動制限がなければ、「2022年盆」は昨年より帰省者が増加すると予測される。久しぶりに通常の盆の姿に戻る年となりそうだ。あとは天候次第といったところ。

首都圏など「送り出す」地域は苦戦予測だが、地方、郊外のなど帰省客を「迎える」地域は売上アップが望める。

夏季休暇の取得状況を今年と同じ曜日周りの16年と昨年を比較すると昨年は東京オリンピック閉会式のための3連休から夏季休暇が始まっているのに対して、今年と曜日周りが同じである16年は11日の「山の日」を起点として夏季休暇が始まっており、盆商戦最大ピークは13日となっている。今年もほぼ同じ流れとなりそうだ。

この数年、盆商戦の短期傾向が目立つが、曜日周りからして今年は、さらに短期商戦となることが予測される。盆商戦の最大ピークは8月13日(土)、そして13日の前後1日を含めた3日間、もう少し拡大すると11日(木=祝日)~15日(月)の5日間を押さえれば良い。短期集中型の盆商戦となる。

トレンド商品

うなぎかば焼き(真空包装)

8月4日(木)が二の丑であること、8月の1世帯当たりの消費支出金額が20年度実績で383円と、マグロ、サーモン、刺身盛り合わせに次いで高いことから、気が抜けない商品。

特に最近では賞味期限が大幅に伸びる「真空包装うなぎ」が大人気。販売動向も好調で、扱い店舗が増えている。真空包装うなぎかば焼きは、売る側も値引きロス、廃棄ロスが減ってありがたい商品であるが、お客にとっても賞味期限を気にせず、好きなときに使えるメリットがある。適度なごちそう感もあることから、盆商戦が控える8月などは急な来客にも対応できて便利な商品だ。普段の客数の少ない日は真空包装うなぎを中心に売場展開。週末は売場拡大し、バルクからのインストアパックと真空包装を併売し攻めの商売を展開する。

値頃販売のためのSKU作り

相場高がお客にダイレクトに伝わってしまいかねない素材型の商売を縮小し、代わりに値頃感を訴求しやすいSKU展開や付加価値商品の販売を強化する。

マグロのサク販売や蒸しタコの足の販売では、割高に感じられる場合でも、切り落としやスライスにすることで1パック350~400円での値頃販売も可能になる。

生鮮品は仮に売価が100g当たり398円から498円にアップしても、商品の形や容量を変えることで値頃販売が可能。付加価値販売することでまったく別の商品として訴求することも可能だ。サクや足のままでは割高に映る場合でも値頃販売のためのSKU作りをすることが、この相場高下では重要な販売手法となる。

アフリカ産蒸しタコの足販売。サイズが大きくなると1パック1000円以上になる。写真は5パック中3パックが1000円以上、2パックが900円以上になっている。切り落とし、スライス販売し、1パック350~400円前後の値頃に合わせた商品作りをすることが有効な販売戦略になる

近海魚、国内加工、国内養殖商品

相場高の中、価格的優位性のある商品となる。輸入商品の多くが大幅な相場高となる中で近海魚、国内加工、国内養殖商品は円安の影響も少なく、相対的な割安感が目立つようになってきた。具体的な食材としては、生マグロ(本マグロ、キハダマグロなど)、生カツオなどの他に、アジ、スルメイカなど。特に盆商戦を目前にして生本マグロ、生マグロ赤身の漁獲状況、入荷量や価格について注目したい。

そして、7月までで生出荷の方はほぼ終了とみられる養殖生ギンザケの塩蔵商品や冷凍商品。これまでは輸入チリギンザケと比較して割高感が際立っていたが、輸入サーモンの急騰により良い勝負ができるようになってきた。今後、三陸産、境港産共に生出荷停止後の養殖ギンザケ(塩蔵、冷凍)の取り込みができないかを検討すべきと考える。 

代替商品の検討

具体的な例としてはマスイクラからベニサケイクラへ、国産荒巻サケ(塩秋サケ)から塩シロサケへ、養殖ブリから冷凍ブリへ、冷凍かつおたたきから生かつおたたきへ、などが考えられる。

ベニサケイクラはマスイクラより小粒だが、価格的には少し安いのがメリット。少し先の話だが生秋サケから作った新物荒巻サケが今年はどの程度作れるのか、そして相場はどうか。今年も生秋サケの漁獲が厳しいようであれば代替として脂のあるアラスカ、ローカルの塩シロサケなども検討したい。少なくとも脂は国内物の荒巻サケより豊富でパサパサ感がない。

他には養殖ブリの代替として冷凍(養殖)ブリ。この場合の冷凍ブリは加熱用途であるため、色目的に劣り、

かつ販売中にさらに変色が進む。よって素材としての切り身販売には向かないが、脂はしっかりあるのでたれ漬けや魚惣菜でのブリカツなどに最適だ。

最後にカツオ。漁獲状況にもよるが冷凍カツオ、冷凍カツオたたきが一段と相場高を強めている中で、豊漁が続く生カツオの炙り(冷蔵流通)などもおもしろい。ただ生魚、近海魚は、漁獲量が安定しないのがネックだが、それがまた狙い目ともいえる。まとまった漁があったときに、いつでも行けるように普段からの準備と情報収集が重要となる。

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