おでんのちくわ、年末に向けた昆布巻きなどこれから伸びる商品を捉える|「これは押さえたい」日配編・2022年9月

2022.09.13

2022.11.09

城取フードサービス研究所 城取博幸

9月は「収穫の秋」「五穀豊穣」「食欲の秋」「読書の秋」「秋の味覚」などがキーワードになる。9月の行事、催事は、1日「防災の日」、9日「菊の節句」、10日「十五夜、中秋の名月」、19日「敬老の日」、23日「秋分の日」。祝日は2日あるため十分な販促計画を立て売り逃しがないようにする。

9月は季節の変わり目であるため天候、気温によって売れる商品がガラッと変わってしまう難しい時季。また、台風シーズンを迎えるため天気予報は常にチェックして過剰在庫にならないようにしたい。

昨年の家計消費のデータで、9月に需要が伸び、前年も上回ったゴールデンカテゴリーは、ちくわ、バター、チーズ、揚げ、がんも、こんにゃく、大根漬け、白菜漬け、昆布つくだ煮、冷凍食品。同様に9月の需要が前年を上回ったカテゴリーは、他のパン、卵、ケーキ、他の洋生菓子、調理パン、シューマイ、他の主食的食品。

9月に需要は高いが、前年を下回ったカテゴリーは、揚げかまぼこ、食パン、牛乳、他の飲料。9月に需要が減ったものの、前年を上回ったカテゴリーは、生うどん、そば、豆腐、梅干し、他の漬物、マーガリン、他の和生菓子、プリン、ギョーザ、乳酸菌飲料、乳飲料。

9月に需要が減り、前年も下回ったカテゴリーは、中華麺、かまぼこ、魚介つくだ煮、ヨーグルト、納豆、ゼリー、アイスクリーム、コーヒー飲料、野菜、果実飲料。

9月に需要が伸びるカテゴリー、前年を上回ったゴールデンカテゴリーは積極的に販売したい。一方、10月に向けて需要が減るカテゴリーはフェースを縮小し売れる商品に売場スペースを譲りたい。

ちくわ

ちくわの需要は12月に向けてうなぎ登り。おでんシーズンで練り製品の需要は高まるため気温の低い日には品切れに注意する。

売場展開

ちくわは生食でも加熱料理でも両刀使いができる「ハイブリッド商品」だ。今月の育成商品はコンビニでも売れているハンディタイプの「魚肉練り製品バー」や「チーズちくわ」に注力したい。「生食用」「加熱用」「スナッキング用」と幅広く品揃えし縦割り陳列で販売したい。

白菜漬け

白菜漬けが好調だ。10月に向けて重要も高まる。昨年9月は2桁成長であったため今年も積極的に販売する。白菜はキャベツやレタスと違い「生食」はできないため、「漬物」や「加熱用」となる秋に販売したい。旬を迎えるため甘味のある白菜の漬物を販売する。

売場展開

白菜漬けは調味漬け(カット、半割り)だけでなく、「ユズ入り白菜漬け」「昆布入り白菜漬け」「松前白菜漬け」「重ね白菜漬け」「発酵白菜漬け」「浅漬けキムチ」「白キムチ」と幅広い品揃えを行う。今月の育成商品は真空パックの「発酵本漬け白菜」。味に深みがあるため定番に加えたい。

昆布つくだ煮

昆布つくだ煮は7月から12月まで需要が高まる。12月にピークを迎え、年明けからは需要は減少する。昨年は2桁成長したゴールデンカテゴリーであるだけに今年も力を入れて販売したい。味が濃く日持ちのする「つくだ煮」だけでなく、薄味の「浅炊き」の両方を販売したい。

売場展開

昆布つくだ煮の種類は太巻き、中巻き、細巻き、一口巻き、刻み。巻き芯はニシン、サケ、タラコなどがあるため、なるべく多くのアイテムを品揃えし縦割り陳列する。今月の育成商品は北陸や東北でよく売れている浅炊きの「しょうゆ昆布」。試食(試食トレー入り)を出して販売してもよい。

ギョーザ

家計消費では昨年、ギョーザは10月が一番需要高であった。9月も10月に向けてもう少し積極的に販売したかった。冷凍ギョーザは好調であるが料理用途は焼きギョーザが主で、料理用途はあまり広がっていない。今月の育成商品は中華点心のエビギョーザ、カニギョーザ、フカヒレギョーザなど海鮮類を使った「蒸しギョーザ」としたい。

売場展開

チルドギョーザは「料理の五法」に基づき、焼きギョーザだけでなく蒸しギョーザ、水ギョーザ、スープギョーザ、鍋ギョーザ、揚げギョーザと幅広く品揃えしたい。冷凍ギョーザは有名店シリーズ、地元ギョーザ店の商品を品揃え。冷凍であるため大型パックや箱入りも販売してもよい。

バター

バターは昨年、家計消費で8月、9月のみ前年を上回ったが、9月は前年比117.7%と好調であった。マーガリンは同102%の伸びであった。秋は煮込み料理や焼き菓子をつくる機会が増えるためバターの需要が高まるだけに売り逃しがないようにしたい。

売場展開

今月の育成商品はクリームを乳酸菌で発酵させた「発酵バター」。香りがよく味わいも深いためデニッシュ、焼き菓子などの提案を行う。マーガリンはプラントベースである「豆乳発酵マーガリン」に注力したい。

テーマは「発酵」。さらに、バターに牛乳、卵などを加えた「バタークリーム」や、イギリスの「クローテッドクリーム(牛乳を長時間湯せんしてクリームにしたもの)」も品揃えしたい。

牛乳

牛乳は家計消費では8月にピークを迎えるが、9月はまだ需要は高いため売り逃しがないようにしたい。豆乳やオーツミルク、アーモンドミルクなどのプラントベース飲料に売上げを取られている感はあるが、牛乳も依然として売り込みたい。

売場展開

今月の育成商品は「濃厚牛乳」と「LL(ロングライフ)牛乳」。夏はガブガブ飲む低脂肪乳が好まれるが、秋からは料理にも使うため味にこくが出る脂肪分が高い牛乳の販売に力を入れたい。また、LL豆腐があるように牛乳売場にもLL牛乳を品揃えしたい。

乳飲料

乳飲料の家計消費は8月をピークに緩やかな下降トレンドに入る。それでも9月はまだ年間2番目に消費量である。気温が下がるに従って牛乳にフルーツフレーバーを加えたもの、あるいはカフェオレなどコーヒーや紅茶、ココアなどを主として温めてもおいしい飲料に切り替わってくる。

売場展開

コーヒーを主にした乳飲料は牛乳やクリームの量で「カフェオレ」「カフェラテ」「カプチーノ」「マキアート」に分類される。さらにコーヒー上にホイップクリームが載せた「コンパンナ」(昔のウィンナーコーヒー)も提案したい。今月の育成商品は有名コーヒー専門店や牧場でつくられた「乳飲料」。ポリパックや紙パックで販売する。

他の洋生菓子

洋菓子類は10月から12月まで需要が伸びる。洋菓子は小麦粉、牛乳、卵、乳製品を使ったもの。コンビニのスイーツも好調であるため人気商品の品揃えを増やしたい。秋の味覚である栗、豆、サツマ芋、クルミ、ナッツを使った季節の洋菓子を販売する。

売場展開

「サツマ芋スイーツ」ではスイートポテトは定番だが、今月の育成商品はサツマ芋パイ、サツマ芋パウンドケーキ、サツマ芋+チーズケーキ、サツマ芋+ホイップクリームなどの商品を集め冷蔵平ケースで「サツマ芋フェア」を実施したい。

トレンド商品

煮豆

「収穫の秋」ということで、豆類もいろいろな種類が出そろう。小粒の金時豆や黒豆、大豆、アズキの煮豆だけでなく、お多福豆、白花豆、とら豆、花豆(写真)などの大粒の煮豆を販売したい。真空スタンドパックの他にトレー入りもケース下段で販売したい。

米粉入りパン

もっちりとした食感の米粉パンの品揃えが増えている。グルテンを気にする人や、乳製品をたっぷり使った高級食パンやデニッシュに飽きたお客に提案したい。今後は、ホールセールパン売場は「米粉パンコーナー」が新設されるであろう。また、「米粉パン+豆乳マーガリン」の組み合わせも提案したい。

リテールトレンドでは、加工商品・グロサリーについてを各種ご紹介しています。

詳しくはこちらより、ご確認ください。