4つの期間に分けて歳末商戦を乗り切る|日用品/雑貨・12月の商品と売場

2022.12.06

2023.06.12

トータルプラン 横島宏一

「クリスマス」「大掃除」「ボーナス」「お歳暮」「お正月準備」とイベントが続く年末は、どれも大きなイベントであり、失敗すると年間の売上げにも大きく影響する。売れる商品はたくさんあるのだから、この時季は、いかにお客にタイミングよく商品を提案できるかが勝負である。

細かく変化する売れる商品に対応するために、売場もきめ細かく、すばやく変化させていくことが必要なのである。それには、年末年始の動向を良く知り、それに対応した売場づくりを行わなければならない。

12月の販売戦略

年間で最も売れるこの月は、来店客数も多い。来店されたお客に対し、いかに満足させることができるかが、今後の売上げにもつながる重要な時季ともいえるだろう。それには、「欲しいものがある」ことである。

12月は、ボーナス、歳暮、クリスマス、大掃除、正月準備とイベントが多く、普段以上に売れる商品(つまり、欲しい商品)が変化する。このニーズに的確に対応していくことが重要なのである。

歳末商戦は、大きく分けると次の4つの期間に分けることができる。

①11月23日~12月10日【ボーナス、歳暮、大掃除】

年末商戦がスタートする。ボーナスで懐が暖かいこの時季は、大型商品や高額商品が売れる。大掃除が始まり、掃除用品が売れ始める。

➁12月10日~12月24日【ボーナス、歳暮、大掃除】

クリスマスを前に、クリスマスプレゼントやパーティグッズが売れはじめる。家庭では、大掃除や年賀状づくりなどの正月準備が行われる。

③12月25日~12月28日【帰省、旅行準備】

クリスマスが終わり、冬休みになり、行楽や帰省の準備を始める。クリスマスの売場から年末、年始の売場への変更を行う。

④12月29日~12月31日【大掃除、正月準備】

最後の3日間は、本当に必要な商品を買いに来る。それだけに、商品があることが、店の信頼性に大きく影響する。特価商品だけでなく、定番商品の動きにも十分に注意する。

ボーナス、歳暮、大掃除

年末商戦は11月23日からスタートする。ボーナスで、懐が暖かいこの時季は、大型商品や高額商品が売れる。また、歳暮の時季でもあり、ギフト用品の展開も必要。

大掃除が始まるのもこの時季だ。掃除用品の考え方は、「どこ(場所、モノ)を、何(洗剤)を使って何(用具)で掃除する」のかを考えると必要な商品が見えてくる。

家の場所や家にあるモノなどを考え、細かな提案を行うようにしたい。また、大掃除は、日常の掃除と違い、普段しない場所までも掃除を行う。窓やレンジ、換気扇などの大掃除にしか掃除をしない場所の用具や洗剤に注意したい。掃除用品だけでなく、掃除が終わった後に必要な商品の提案も忘れずに行いたい。

主な商品

歳暮ギフト、掃除用具、住居洗剤、キッチン洗剤、レンジクリーナー、ガスマット、換気扇クリーナー、換気扇フィルター、たわし、スポンジ、三角コーナー、洗いおけ、ばけつ、雑巾、踏み台、エプロン、マスク、ごみ袋、ゴム手袋など

クリスマス

クリスマスのディスプレーは、10月中旬から店舗などの業務用がスタートし、11月中旬は、家庭用のオーナメントなどのディスプレーグッズが売れるようになる。12月のクリスマス直前には、クリスマスギフトやパーティグッズが売れる。

クリスマスは、「飾り付け」「ギフト」「パーティ」の3つを考える。外出先でクリスマスの飾りを見たり、クリスマスソングを聴いたりすると、家で飾るようになる。ギフトとしては、子どもには、ゲームなどの玩具、大人には、ブランド品や化粧品だが、スーパーマーケットで通常扱いがない店舗では、パーティ商品を中心に品揃えをする。

パーティは、クラッカーなどのグッズからパーティで使用するナプキン、アルミ食器、グラスなどの用品までを展開する。ケーキを作る製菓用品が売れるのもこのころ。

また、忘年会なども始まる。家庭では、年賀状づくりなどの正月準備が始まる。

主な商品

クラッカー、パーティグッズ、クリスマスソングCD、サンタ服、サンタ帽子、ゲーム、カメラ、アルミ食器、紙皿、紙コップ、グラス、割り箸、ナプキン、ケーキ型、パレットナイフ、塗りばけ、クリーム絞り出し器、粉ふるい、計量カップ、ハンドミキサー、麺棒、泡立て器、計量スプーン、キッチンタイマーなど

帰省、旅行準備

25日が過ぎ、クリスマスが終わると、学校は冬休みになり、行楽や帰省の準備を始める。クリスマスコーナーは、忘年会、新年会などのパーティコーナーへ変更し、店舗全体をクリスマスの売場から年末、年始の売場へと変更する。

帰省、旅行に共通するのが、「家から離れる」ということである。家から離れるから衣類や最低限の日用品を持っていく必要があるし、家から離れる移動手段や日数によって、必要なものも変化していく。

また、誰と一緒に行くのかということも大切だ。家族と行く場合、子どもが一緒なら、そのための用品も持って行かなければならない。

つまり、①誰と、②何日間、③どこへ、④交通手段は何で、⑤何をするために行くのかを考えることで、必要な商品は変わっていく。逆にいえば、これらの条件を想定して、さまざまな商品を提案していくことができる。

主な商品

マスク、携帯除菌スプレー、スーツケース、バッグ、紙コップ、紙皿、水筒、洗車用品、霜取りスプレー、クッション、車用芳香消臭剤、携帯用歯ブラシ、歯磨き、携帯用シャンプー&コンディショナー、小分け容器、化粧ポーチ、ウエットティッシュ、ミニ化粧品類など

大掃除、正月準備

12月29~31日の最後の3日間は、本当に必要な商品を買いに来る。

それだけに、「商品がある」ことが、店の信頼性に大きく影響する。特価商品だけでなく、定番商品の動きにも十分に注意することが必要だ。

12月は1年の最後の月であり、新年を控えて、正月の準備をすること「新年が来るから~をしなければならない」という思いが、大きなニーズの要因となっている。

従って、売場においても「新年が来るから~が必要になる」という売場づくりを提案していかなければならない。例えば、「新年が来るから家を奇麗にする。そのためには、大掃除をするので、掃除用品が必要になる」。

正月に何をするか、どんな慣習や行動があり、それを行うために何が必要になるのか、そして、それをいつやるのか、を考えなければならない。そのキーワードは次の4つである。

慣習・風習による正月の準備

正月飾りやおせち料理などの正月ならではの慣習、風習などから必要とする商品。「おせち料理」でも、通常は「重箱」が中心であるが、おせち料理の必需品は、器である重箱だけでなく、中身のおせちを作ったり、重箱につめたり、あまった料理を保管したりする。

主な商品

鏡餅、切り花、しめ飾り、神棚、神具、三宝、汁椀、祝い箸、重箱、餅焼き網、餅つき器、餅切り、アルミケース、年賀ギフト、ポチ袋、のし、祝儀袋など

新年を迎えることで新しくする

大掃除や年が変わることで必要となる商品。カレンダーや手帳などの必要なものと、歯ブラシのように身の回り品を、新年を機に新しく買い替えたいという商品を提案する。

主な商品

カレンダー、手帳、家計簿、飯椀、湯飲み、汁椀、箸、マグカップ、ランチョンマット、テーブルクロス、歯ブラシ、バスマット、湯おけ、風呂椅子、タオル、スポンジ、玄関マット、正月用切り花、クッションカバーなど

来客を迎える

帰省や年始のあいさつなどで来客があると、そのために必要な商品ができる。来客でも、帰省で帰ってくるお客は、宿泊の用意が必要であり、年始のあいさつに来るお客とは違う。特に農村部では、帰省による来客や年始周りの風習が根強い。

主な商品

年賀ギフト、タオル、せっけん、ポチ袋、のし、祝儀袋、風呂敷、酒器、割り箸、グラス、ストロー、客用箸、茶碗、湯のみ、客用歯ブラシ、座布団カバー、クッションカバー、シーツ、枕カバー、タオルなど

正月の過ごし方

正月を家で過ごしたり、外出したりという行動によって、必要な商品は変わってくる。家で寝正月をする人には、くつろげる空間を提供する。一般に、都市部では、来客が少なく、帰省や旅行などのニーズが高い。

主な商品

年賀ギフト、ポチ袋、のし、祝儀袋、カイト、カルタ、百人一首、花札、バトミントン、羽子板、羽、風呂敷、カイロ、白髪染め、ヘアスタイリング剤、タオル、メイクアップ化粧品類和、服用防虫剤、和服収納、ベンジン、カイロ、靴用消臭剤、インソール、靴磨き用品など