12月は年間商売の「集大成」、コロナ禍以後迎える3年目の年末商戦、変化を見極めたい|「これは押さえたい」青果編・2022年12月

2022.12.06

創風土パートナー 代田 実

冬至、クリスマス、年越しと食品マーケットに直結する生活催事が続く12月は年間最大の商機だ。

こうした生活催事を迎えるに当たり、多くのお客は普段から信頼している店舗で買物をする。その意味で商売人にとって12月は年間商売の「集大成」といえる大切な1カ月といえるだろう。

いままで以上にお客に支持される売場づくり、商売を心がけ、次々にやってくるマーケットチャンスに合わせ、計画的な仕入れ、売場つくり、売り切り、手仕舞いを行い、気持ちよく新たな年を迎えられるようにしたい。

12月特有の消費動向を意識した商売を実践する

12月は、歳暮や帰省手土産需要も含め生鮮果実の消費金額が年間最大となる他、おせち材料として使われることが多い根菜類、シイタケなどのキノコ類の消費金額も1年間で最も多くなる。

これら品群を軸に、冬至に合わせたカボチャ、ユズ、クリスマスに合わせたイチゴ、カットフルーツ、サラダ材料などや気温低下に合わせた鍋商材の展開など、12月特有の消費動向や販売環境に合わせたタイムリーな商売を実践することがポイントとなる。

冬至の売場展開

1年で最も昼が短く夜が長い「冬至」。今年は12月22日(木)が冬至となるので、その前の週末から陳列量を抑えつつ、売場展開をしたい。

カボチャとユズの販売だけでは売場が単調となりがちなので、商品化の工夫や関連商品も併せた売場展開をして、他店とは違う「冬至」売場を展開したい。

売場展開工夫のヒント

カボチャの多品種、多規格販売(2分の1、4分の1、ブロックカット、1玉)で品揃えの幅を広げる。
各地域別の冬至のカボチャの食べ方を提案し、関連した商品を展開する。

北日本中心に食べられる「カボチャのいとこ煮」提案でアズキの関連販売など。

クリスマスらしい色のある売場展開

クリスマスの売場展開で大切な要素となるのが「色合い」だ。腰幕やガーランドなどの装飾資材の利用が一般的だが、商品そのもので色合いを出すことにもチャレンジしたい。

クリスマスの食卓を彩るサラダやオードブルをイメージしたパプリカ(赤、黄)、アボカドやサニーレタス(黒)、アスパラガスやグリーンレタス(緑)、レッドキャベツやビーツ、赤玉ネギ(赤)を組み合わせた売場陳列を行うだけでも十分にクリスマスらしさを演出することができる。

また、これら食材を使った調理、盛付例をディスプレーしたり、POPで提案することも、できれば実施したい工夫だ。

カットフルーツをインストアで商品化する場合は、単価的に使いやすいパイナップルをベースに、イチゴやドラゴンフルーツ、スイカ(赤)、オレンジなどかんきつ類(だいだい)、キウイフルーツや輸入ブドウ(緑、紫)で色とりどりの商品化を行いたい。特にインパクトのある赤色がポイントとなるので、イチゴをハーフカットするなどしてコストを抑えつつ、ちりばめていくことが商品化のポイントとなる。

年末売場展開のポイント

コロナ禍のこの約3年間、毎年販売環境が変わり、年末の販売動向も年ごとに違う傾向となっている。それに加え、年明け休業店舗が増加傾向にあり、年末商売での売り切り、手仕舞いが大きなポイントとなってきている。そのような環境下、年末の売場展開のポイントやヒントを幾つか紹介していくことにしよう。

ミカン箱売りの手仕舞い

近年はミカン箱売りの際、その都度中味を確認して傷みがないことを確認するなど、箱売り自体が手間のかかる商売になってしまっている現実がある。この対策として考えられるのが、入荷後できるだけ早めに売り切ることである。

特に今年のミカンは、多雨だったことから酸が少なく傷みも出やすいので、箱売り実施して数日たったものはスタンドバッグに詰めて売り切ってしまうことが有効だ。

薬味、つま物の販売強化

コロナ禍の間にすっかり定着してしまった家飲みやホームパーティは、この年末もトレンドとして続きそうだ。そこで強化したいのが、年末年始のハレの日食卓を飾る薬味、つま物類の販売強化だ。

生ワサビや大葉、ホジソ、木の芽など居酒屋や料理店でおなじみの食材が家庭内食に登場しやすいこの時季、それらを売場展開することでプラスアルファの売上げを作ることができる。

相場動向と年末発注対策

ここ数年年末年始の天候変動が大きく、それに合わせて野菜の相場も変動してリードタイムが長めの年末発注を難しくする要因となっている。昨年も、12月中旬までは気温が高かったため、葉物中心に相場が安く年末の価格設定に苦慮した店舗も多かった。

そのようなときには普段と違う規格で販売を行い、年末の高値頃に合わせるという方法が有効だ。小松菜、ホウレンソウなどの葉物であれば、普段販売しているFG袋売りのものではなく、結束大束のものを販売して値頃を変えればよい。

帰省手土産、年始需要対応

ミカン箱売り、イチゴのデラックスタイプ、干し柿化粧箱などの販売に当たっては、帰省手土産、年始需要を想定し、のしを付けての販売したい。また、個別包装や地方発送の案内も併せて行うことを忘れないようにしたい。