恵方巻きにかけたロールケーキ、立春の柏餅、バレンタインのチョコ|「これは押さえたい」菓子・スイーツ編・2023年2月

2022.12.28

2022.12.29

トルティーノ代表 中村 徹

昨年2022年の2月は新型コロナウイルスの変異型であるオミクロン株への移行が進み再び感染者が増加し、高止まり傾向が続いた。一方で月間通して冬季オリンピックが北京で開催され、日本人の活躍もあり巣ごもり傾向を後押しした。

祝日は11日建国記念の日、23日天皇誕生日と2回、土曜日4回、日曜日4回と通常の月であった。本年も土曜日4回、日曜日4回で祝日は同様の日にちであるが、11日の建国記念の日が土曜日に当たるため祝日1日減とも考えられる。月全体ではこの実質祝日減の影響もあり、昨年比1%~1.5%程度マイナス要素になると考えられる。

2月は3日の節分、4日の立春、14日のバレンタインデー、3月3日のひな祭り準備など菓子を売り込むチャンスがある。菓子関係の催事カレンダーを見てみると、毎月の催事日である6日(月)手巻きロールの日、15日(水)菓子の日、19日(日)シュークリームの日、22日(水)ショートケーキの日など菓子関係の日が多く存在し、曜日回りからいうと日曜のシュークリームの日は売り込むチャンスになる。

2月は冬真っ盛りであるが春の兆しも見えてくる時季となる。今年の3カ月予報では2月は東日本、西日本の太平洋側では晴れが多めで、気温は平年並みか低い予想がされている。降水量は平年並みか少ない予想となっている。人の動きは12月時点で新型コロナウイルス第8波に入ってきているのでやや抑えられると考えられるが、大々的な人流の抑制政策は採られず、再び「全国旅行支援」が再開されるようなので、昨年に比べれば人流は大幅に増加するであろう。また、円安に伴って海外からの旅行客も増加するであろう。

総務省家計調査の「<品目分類>1世帯当たり年間の品目別支出金額,購入数量及び平均価格」を見てみると、品目別令和3年年間の月別支出金額が掲載されている。

菓子類の2月を見てみると、年間平均金額に対し、カステラが101.7%、チョコレートが229.6%、チョコレート菓子が119.7%と好調で他の洋生菓子も日数が少ない割に96.3%と健闘している。

これらの商品群のトレンドを見るために「令和3年年間消費金額/平成12年年間消費金額」を計算してみると、カステラは80.1%と減少しているが他の洋生菓子188.3%、チョコレートは175.0%、チョコレート菓子は245.2%(平成17年比、それ以前のデータなし)と大幅に伸びている。

和洋生菓子系は3日の節分、4日の立春、14日のバレンタインデー、月末のひな祭り用などの需要に訴求しつつ、以降の小さな催事のポイントもしっかり押さえていくかということにかかると思う。

ロールケーキ

3日の節分は1年の厄を払うために「豆まき」を行うのが最も一般的だが、近年は、豆まきと併せて、恵方巻き(太巻き)をその年の恵方に向いて丸かぶりする風習も全国的に行われるようになった。

もともと恵方巻は全国ではそれほど習慣化されたものではなかったが、のり業界や小売りとの連携で近年では一大イベントとなった。

洋菓子でもこの時季はロールケーキを押さえておきたい。恵方巻も1000円を超えるように年々豪華になったり、廃棄だったりの問題が起きている。こういう傾向から少しでもロールケーキを恵方巻きの代わりに食べてもらうという取り組みも必要ではないだろうか。

過去あまり流行はしなかったが恵方巻きサイズのロールケーキを販売したこともあるが、中身を見直してこういった取り組みも必要かもしれない。

桜餅

また、2月4日は立春である。立春とは、1年を24の期間に分ける二十四節気の1つで、春の始まり、新しい1年の始めを意味する。気温はまだまだ真冬であるが、春の訪れを気持ちの上で感じる仕掛けが必要になってくる。まずは、「立春生菓子」だ。立春生菓子は、立春の日の朝に作り、その日のうちに食べる和菓子のことをいう。多くは春を感じる桜餅やうぐいす餅を指す。

もう1つは「立春大吉」という由来から来るもので、もともとは「立春大吉」という札を玄関などに貼り、魔除けとしていたもので、これにからめ和菓子としては「立春大福」を食べて厄除けとする風習があるのだ。

この他、立春には平安時代から食べられている「椿餅」もある。このように立春には和菓子を食べる風習が多くあるので訴求ポイントとなる。

チョコケーキ

2月14日のバレンタインデーもしっかりと売り込みたい時季になる。曜日回りでは火曜日となり、昔でいう「義理チョコ」が増える曜日回りであるが、洋生菓子のチョコレート系を「自分へのご褒美」としてしっかり訴求したい。

冒頭の方の数字でも述べたが、チョコレート菓子は近年大幅に伸びている。生チョコレートなど直接的なものも訴求したいが、オペラやフォンダンショコラ、ザッハトルテ、チョコブラウニーなどさまざまなチョコケーキを準備して訴求したい。家庭向けのアソートなどの商品は10日(金)くらいからはしっかり前面に出して売り込みたい。

売場展開

2月の売場展開のテーマは「冬本番」ながらも「春がそこまで来ている」といった切り口になる。

東京の2月の気温は2月頭を底に3月に向けて徐々に上がってくる。何でも値上げの状況下にあるが、フルーツでも今年はリンゴが値頃であり、冬が旬のミカン、イチゴなどの相場は平年並みかやや高めだという。こういった食材と一緒にフルーツ系のカップデザートやゼリーを統一的に展開すると季節感が出る。特にイチゴはイチゴ大福やショートケーキの旬の時季となるのでしっかり売り込みたい。

2月は1月の少し落ち込んだ消費から節分やバレンタインでややハレもある月となる。この時季にはめりはりをつけた売場づくりが必要になる。前半の節分、立春、中間のバレンタイン、後半のひな祭り準備という具合に計画を立てたい。また15日(水)の菓子の日と苺の日や次週の19日(日)のシュークリームの日といった小さなイベントを活用して売場にアクセントを付ける必要がある。

トレンド商品

23年に流行しそうなスイーツなどと検索してみると幾つかの商品が出ているが、中でも目を引いているのが「ネオ和菓子」と呼ばれるもので、洋素材の掛け合わせやフルーツを使用したようかん、宝石のような琥珀糖など、伝統の和の要素を残しながらも、味も見た目もかわいく進化した新感覚の食べるアートで積み木やクレヨンのように見える涼しげな和菓子もある。これに伴って缶入りの和菓子なども出てきている。

どんどん衰退している和菓子を少しでも盛り上げて、菓子内での地位を取り戻そうといろいろ仕掛けられているので、注目したい。また洋菓子ではマンゴープリンやイタリア発のボンボローニ、カンノーリといった洋菓子が流行りそうだ。どちらもまだ専門店レベルであるが、今後コンビニデザートなどで登場してくるかもしれない。

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