正月用品は継続商品もあり、売場は冬物処分から春物導入へ|日用品/雑貨・1月の商品と売場
2022.12.27
2023.06.12
トータルプラン 横島宏一
年末に必要な商品を買いそろえた後の1月は、購買意欲も低下する。
第1週の初売りが1つのピークとなり、以降は、年末購買の反動もあり、消費も停滞しがちになる。行事としては、成人の日や防災用品、新学期などをテーマに売場づくりが行われるが、12月ほどビッグなイベントになりにくい。
そこで、1月から2月にかけては、企画や提案の売場づくりによって、オリジナルなニーズを喚起したり、必要な商品を明確にしたりした売場づくりを行う。
1月の販売戦略
1月の売場は4種類から構成される。これらを、混在させずに、売場ごとに明確なテーマを打ち出し、アピールするのがポイントである。
①新年の売場
正月気分の残る第1週の初売りは、正月気分をくすぐる売場づくりを行い、年末の「売る売場」から「楽しさのある売場」へと変化させる。実用品よりも楽しさを提案する。
②冬物処分継続の売場
冬物処分セールを行う。成人の日を過ぎたころには、処分品のスペースを縮小していき、最後には1カ所にまとめる。12月から1月は、商品量、売上げともに急激に減少し、商品の縮小・処分が大きなテーマになる。
③春物導入の売場
冬物の処分と平行して、春物商品を導入していく。見せ筋的な展開ではあるが、ピーク期に効果を発揮するので、きちんと展開したい。防虫剤などの収納、新生活用品など。
④企画、提案の売場
需要を喚起するための企画、提案の売場づくりを行う。また、繁忙期を過ぎた売場は、乱れがちになるので、新しい商品を入れながら、売場に手を入れて、新鮮な売場にしていくことが必要になる。
企画商品は、期限のある売場である。計画的な商品導入と発注、在庫管理を行い、次に入荷する商品の展開を考慮した処分、切り上げが必要である。定番商品においても、発注量に注意し、在庫の整理整頓、年末商品の処理などを行い、年末で手が行き届かなかった売場の整理整頓、クリンリネスなどを行い、正常な売場復帰を促す、12月の反省、改善点を記録に残す、従業員の教育を徹底する月でもある。
新年の売場
正月気分のころは、楽しさをテーマにカラフルな商品を打ち出し、新春のイメージを打ち出す。また、年末から継続している商品でも、整理整頓を行い、POPを変化させて、新鮮さを保持する。
福袋
正月のドル箱的存在である福袋だが、ここ数年は売れる福袋と売れない福袋がはっきりしてきた。一例を挙げるなら、ブランド品や中身が見える福袋、中身を選べる福袋といったお客にとって「無駄がない」と感じられる福袋は売れて、何が入っているか分からなかったり、ノーブランドの寄せ集めであったりというものは売れない福袋の代表になっている。
必要なことは、来店するお客のニーズに合ったものや、こちらで用意したテーマに沿った商品群を組み合わせた福袋を作り、さらにはそれがお客に「お得だ」と納得できる価格になっていることだ。
特に、昨今は日用品などの物価上昇により、歳暮でも日用品のギフトが人気であった。ブランド品に限らず、日用品でもお得感を出すことで売れる福袋ができるはずだ。
正月用品の継続
正月用品の中には、売れるのは年末までだが、1月まで必要な商品がある。ポチ袋、年賀状、正月玩具(たこ、羽根突き、かるた、百人一首、バドミントンなど)などは、三が日までは必要であるし、年賀タオルや手帳などは、仕事始めまでは必要である。書き初め用品は、学校が始まるまで必要になる。
コンビニで買えるようになってきているが、これらの商品がなければ、その分の売上げが減るし、店舗の信頼性を高めるためにも、ニーズに応えていきたい。それだけに、年始分の在庫量を確保しながら、年末までに在庫量を調整することが必要になり、細心の注意を払う商品群である。
楽しいバスグッズ
寒い時季に「風呂」という暖かなイメージを提案する。風呂ふたや湯おけなどは年末に売れてしまうので必需品ではなく、楽しさを提供する商品や消耗品である入浴剤をメインに展開する。
バスグッズは、スポンジ、バスピロー、ラジオ、時計などを展開する。入浴剤ならば、ナショナルブランド商品だけでなくバブルバスやソルト、オイル、アロマ、お香、ソープなどのこだわり商品を展開する。入浴剤は、バリエーションが増え、選択の範囲も広がっている。ニーズ商品よりも楽しさやかわいさの商品を展開する。
キッズターゲット
子どもは、お年玉をもらい、ゲームなどの欲しいものを買う。子ども部屋はモノが増える時季でもあり、キッズ収納をテーマに、子ども部屋の収納用品を展開する。ゲーム収納、おもちゃ収納、年賀状収納などの展開を行う。
学生ターゲット
学生は、短い3学期や受験があり、卒業がある。就職前の学生にとってこの時季は、車の免許取得や卒業旅行なども考えられる。受験生応援グッズとしては、夜食用土鍋、ラーメン鍋、携帯カイロ、栄養ドリンクなどを展開する。
新しく免許を取得したドライバーのために若葉マーク、芳香剤、クッション、車内小物などの提案を行い、新車メンテナンス用品を展開する。卒業旅行として、スーツケース、バッグ、旅行小物、スマホグッズなどの旅行用品の提案を行う。
冬物処分継続の売場
冬物商品は処分期に入るが、最も寒い時季でもある。このときに、春まで必要な商品と処分すべき商品を明確にして、必要な商品は売場を維持する。
乾燥対策
風邪やインフルエンザがはやる時季なので、屋内では加湿器が欠かせない時季なのだが、販売に関しては12月の年末商戦が終わると動きが鈍くなる商品である。1月は在庫処分をしながら春の商品への切り替えを行う。
春夏商品の導入が始まる時季なので、ヘアケアもスキンケアもクリームやオイルなどの油分で保湿をする商品の在庫を調整していく。ただし、ハンドクリームはそのニーズが年間通してあるので、完全に売場から在庫をなくすのではなく、定番的な商品を残して売場を縮小させていく。
雪対策用品
あまり雪の降らない地域でも1月から3月のうちで何日か大雪になり、スノースコップが爆発的に売れることがある。長靴や手袋、携帯カイロなどその時の天候に左右され、普段はあまり在庫を持っていないために、いざ雪が降ったときに欠品になりやすい。天気予報を常に確認し、事前に在庫を確保することが重要である。
春物導入の売場
春物商品の導入期ではあるが、単純に全ての商品を見せるだけではなく、この時季に売れる商品を考えた展示を行い、拡大期に再度、売場陳列を変更していく。
着物の収納
防虫剤や収納用品の展開が始まる時季であるが、単純に最盛期の縮小パターンの展開をするのではなく、正月や成人の日に着た着物の収納の提案として「着物の収納」をアピールした展開をする。着物ハンガー、たとう紙、着物用防虫剤、桐製収納ケースなどを関連販売したい。
花粉症対策
温暖化の影響で花粉の飛散開始が年々早まっているので、1月初旬から展開をする。コロナやインフル対策での予防グッズが展開されているが、さらに花粉症予防の早期展開をアピールすると共に、花粉症を打ち出すことで売場の鮮度を高める。
花粉を侵入させないという機能をアピールすると共に、女性用や子ども用などのサイズや柄やカラーなどのファッション性のあるマスク、花粉を吸着させるマスク用スプレーなどの便利商品を提案する。
スペースのある店舗では、花粉症を家に持ち込まない対策用品の提案として、除菌スプレーやハンドウオッシュから洋服用スプレー、洋服粘着クリーナー、帽子、花粉落としブラシ、ローションティッシュやポケットティッシュなどを提案する。
企画・提案の売場
防災対策用品
阪神大震災が起きたこの時季は、暮らしの安全を考える時季として定着してきている。すでに防災用品を準備している人には、賞味期限などの点検をアピールし、用品の確認を提案する。最近では、アウトドアニーズにも使えるポータブル電源が人気である。新しいグッズや便利な商品が出ているので、商品の機能をアピールすることが重要である。
均一商品
購買意欲が低下したこの時季に、良く行われるのが100円均一などの特設コーナーである。価格が安く、需要を喚起しやすい。最近では100円均一ショップなどでもグレードが上がってきており、安っぽい商品では売れ残るので、商品の選択には注意したい。
また、100円だけでは単価が低下するので、300円、500円均一などのコーナーを隣接する。売場が荒れやすいので、商品整理を密に行いたい。
陶器市
端境期の定番企画である陶器市は、あまりにありきたりになってきている。今年は、ワンランク上の商品の提案をしてはどうだろう。例えば、セットものの半額セールなど、単品、低価格商品ではなく、付加価値のある商品の買い得感を出して展開する。
アイデアグッズ
便利な商品やアイデア商品をまとめてコーナー展開するのも企画の1つ。ただし、ベンダーの持ち込み企画をそのままするだけでは、どこにでもある企画になってしまう。バイヤーや社員が使用して本当に便利だと思う商品を提案することが重要である。
その使用感や便利さを自分たちの言葉で訴求すると、親近感を持って訴求できる。細かな商品も多いので、売場管理には注意を払いたい。
実用品特価
購買意欲が低下する月なので、価格を下げることも1つの方法であるが、単純に安くするだけではいつもと同じである。
そこで、テーマを持ってコーナー展開したい。例えば、普段は定番にしかない高級ブランドを特集してフェアを行ったり、プロが使う道具のフェア、「包丁」「陶器」「鍋」というカテゴリーや「切る」「はさむ」「とじる」「保管する」というテーマでまとめたりすることで、売場にまとまりができる。