春本番に向かうひな祭り、ホワイトデー、彼岸への流れ|「これは押さえたい」菓子・スイーツ編・2023年3月

2023.02.02

2023.02.03

トルティーノ代表 中村 徹

昨年2022年の3月は北海道、青森、東京、石川、静岡、愛知、大阪、兵庫、香川、熊本など18都道府県で新型コロナウイルス感染防止のための「まん延防止等重点措置」が、約2カ月半ぶりに全面解除された。この結果やや人の流れが回復した月となる。

祝日は21日春分の日の1回、土曜日4回、日曜日4回だが春分の日絡みが3連休となっていた。本年も土曜日4回、日曜日4回で、祝日は春分の日が火曜日になるため連休の取りにくい月となる。月全体ではこの3連休減の影響もあり、昨年比0.5%程度マイナス要素になると考えられる。

3月は3日のひな祭り、14日のホワイトデー、21日を中心としたお彼岸など菓子を売り込むチャンスが多くある。菓子関係の催事カレンダーを見てみると、2月と同様、毎月の催事日である6日(月)手巻きロールの日、15日(水)菓子の日、19日(日)シュークリームの日、22日(水)ショートケーキの日など菓子関係の日が多く存在し、曜日回りからいうと日曜のシュークリームの日は売り込むチャンスになる。

3月は春の訪れを楽しむ時季となる。今年の3カ月予報では3月は東日本、西日本の太平洋側では晴れが多めで、気温は平年並みか高い予想がされている。降水量は平年並みか少ない予想となっている。

人の動きは大々的な人流の抑制政策は採られず、「全国旅行支援」も再開されるので、予算の限度もあるが、昨年に比べれば人流は大幅に増加するであろう。また、円安傾向と防疫策緩和に伴って海外からの旅行客も増加するであろう。

総務省家計調査の「<品目分類>1世帯当たり年間の品目別支出金額,購入数量及び平均価格」を見てみると、品目別令和3年(21年)年間の月別支出金額が掲載されている。菓子類の3月を見てみると、年間平均金額に対し、まんじゅうが120.4%、他の和生菓子が130.3%、カステラが109.2%、ケーキが110.9%、他の洋菓子が119.3%。チョコレート菓子が113.1%と好調で、他の和生菓子が年間で最高の指数となる。これらの商品群のトレンドを見るために「令和3年年間消費金額/平成12年(00年)年間消費金額」を計算してみると、カステラ80.1%、まんじゅう39.5%、他の和生菓子88.8%、カステラ80.1%と大きく減少している。

一方でケーキ98.8%、他の洋生菓子188.3%、チョコレート菓子は245.2%(平成17年比、それ以前のデータなし)と平成12年並みか大幅に伸びている。

和洋生菓子系は3日のひな祭り、14日のホワイトデー、月後半のお彼岸やお花見などの需要に訴求しつつ、小さな歳時のポイントもしっかり押さえていくかということにかかると思う。

ひな祭り

3日のひな祭り(桃の節句)は女の子が健やかに育ち、幸せであるようにとの願いを込めてひな人形を飾るのが風習となっている。ひな人形には桃の花を供えてひなあられ、ひし餅などを並べるのが一般的である。この他食事としてはちらし寿司にハマグリのお吸い物や甘酒を飲む習慣もある。

ひな祭りの菓子としてはお供えにするひなあられやひし餅はもちろんであるが、桜餅を提供したい。今では年中桜餅を販売しているが、もともと「こどもの日」の柏餅と対になる菓子で、子どもにもひし餅よりも食べやすいので近年では桜餅を食べる風習が広がっている。

マカロン

14日はホワイトデーである。2月14日のバレンタインデーにプレゼントをもらったお返しにクッキーやマシュマロ、ホワイトチョコレートなどを贈るといった行事からスタートした日本起源のイベントといわれている。

最近ではバレンタインデーも多様化して女性同士の「友チョコ」や「自分チョコ」なども増え、これに対するホワイトデーも多様化しており「これが定番」といったものは薄れてきている。

ただ曜日回りも火曜日で、義理のギフトが増える曜日回りなので、商品はしっかりと提案したい。手軽にギフトにできるクッキー系やホワイトチョコ、マカロン、単純にショートケーキなど幅広い提案が必要である。

ぼた餅

月後半はお彼岸も和菓子をしっかり売り込みたい時季になる。今年の彼岸の入りは3月18日(土)、中日は3月21日(祝)、彼岸明けが3月24日(金)となる。お彼岸は春と秋にあるが、どちらも行うのは仏壇や仏具の手入れや掃除、墓参りなどでありお供えにはぼた餅や落雁を供える。いずれにしても祖先を敬い、亡くなった人々をしのぶという期間なので祖先が喜ぶことをするということが基本になり、お供え物も先祖が生前好んだものを供えて問題はない。

一応、春のお彼岸はぼた餅、秋のお彼岸はおはぎということになっており、もともとぼた餅はこしあんという定義もあるようだが、ぼた餅とおはぎの定義も最近ではあいまいで、実際に販売するのは粒あんでもこしあんでも構わないと思う。

この他地域によっては落雁をお供えするところもあるので、調査が必要である。

売場展開

3月の売場展開のテーマは啓蟄(冬籠りの虫がはい出るころ)など「春本番に向かっていく」といった切り口になる。東京の3月の気温は月末に向け徐々に上がり、月末には最高気温が20℃を超える日もある。

23年も冷凍食品やグロサリー商品中心に値上げの状況下にあるが、フルーツでも春が旬のかんきつ系、イチゴなどの相場は平年並みかやや高めだという。こういった食材と一緒にフルーツ系のカップデザートやロールケーキ、ゼリーを統一的に展開すると季節感が出る。

特にイチゴは路地物が出始め、価格もこなれてくるのでいちご大福やいちごショートケーキの旬の時季となり、しっかり売り込みたい。

3月は冬の落ち込んだ気分から文字通り「春」という明るい気分になり、活動的にもなってくる。催事としてもひな祭り、ホワイトデーといったハレもある月となる。この時季にはめりはりを付けた売場づくりが必要になる。

前半のひな祭り、中間のホワイトデー、後半のお彼岸という具合に計画を立てたい。また15日(水)菓子の日と苺の日や次週の28日(火)さくらの日といった小さなイベントを活用して売場にアクセントを付ける必要がある。

トレンド商品

22年後半辺りから抹茶商品が増えてきている。特に最近のトレンドでは「濃い抹茶」がはやりで、どんどん抹茶味が濃くなっているようだ。ナショナルブランド商品でもキットカット抹茶やアイスのMOW抹茶などが好調であるし、抹茶ラテやミスタードーナツの抹茶味なども昨年3月登場していた。本年も3月にはさまざまな分野の抹茶フレーバーが登場するであろう。

お茶にはカテキンやカフェイン、食物繊維などの成分が含まれており、抹茶は茶葉の成分を丸ごと摂取するのでより栄養が豊富で健康に良いとされているのでより「濃い化」は進んでいくであろう。

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