パーティの復活と春満喫のレモンサワー、ノンアル、微アルも押さえたい|「これは押さえたい」酒編・2023年4月
2023.02.24
2023.02.27
酒文化研究所 山田聡昭
新年度の始まりと共に心機一転アフターコロナへと向かう4月。コロナ禍では健康意識が高まり感染予防が習慣化、適度な運動を習慣化させた人が多く見られた。この流れはこれからも続き、マスクを外しても手洗いやジム通いは止めない。
抑えていた旅行と外食は復活させるが、飲み会と会食は厳選し、意味の薄い集まりは見送る。一方でテレワークとオンライン商談、会議は継続し、家族と過ごす時間は長いままで、ワークライフバランスは個人、家庭に重心を移したままになる。
この春は3年ぶりの花見、そしてゴールデンウィークへと久しぶりに仲間と屋外での飲食が増える。こぼれる笑顔、あふれる笑い、おいしいものを仲間と飲んで食べる。これぞリアルな飲食の醍醐味である。この4月、酒売場は久しぶりのリアルなホームパーティをサポートする。
日本のウイスキー
今年はサントリーが山崎蒸溜所の建設に着手してから100年のメモリアルイヤーで、今は世界中で人気のジャパニーズウイスキーの始まりから1世紀である。さらに4月1日はジャパニーズウイスキーの日であり、これは日本初の本格ウイスキー「サントリー白札」の発売された日にちなんだものだ。
ウイスキーの消費は好調を続けており、家計調査によれば、コロナ禍で飲酒が家庭にシフトしたことでどの酒も増えているが、その中でもウイスキーの増加ぶりは際立つ。料飲店でウイスキーハイボールを飲んだ人が、家飲みでもウイスキーハイボールを飲むようになったのである。
この流れに乗って国産ウイスキーを売り込む。ただし、日本洋酒酒造組合が定めた「ジャパニーズウイスキー」の定義に当てはまる商品は、まだ潤沢な供給を期待できないから、ジャパニーズウイスキーに限定せず、広く国産ウイスキーを訴求する。
売場展開
サントリー角瓶、同オールド、同リザーブ、同ローヤルで日本のウイスキーづくり100年をアピールし、その到達点の1つとして5大ウイスキーをブレンドした「ワールドブレンデッドウイスキー碧」を見せる。
バッグ・イン・ボックス&缶のワイン
屋外でのパーティでは大容量のパックワインと缶やカップの飲み切りワインの両極端の商品が動く。前者は大人数の会では好評で、蛇口をひねって自分で注いで気軽に楽しめる上、落としても割れず、後片づけも簡単、値段もリーズナブルだからだろう。
後者はグラスを使わずそのまま飲め、いろいろな種類を飲み比べやすく、軽量で割れないのが人気の理由だ。
また、ワインはビール類よりもトイレが近くならない。屋外での飲食は屋内よりもトイレ事情がよくないことは多く、それが理由でビールを敬遠する人は少なくない。
屋外での飲食をサポートする売場として、こうした商品の品揃えを充実させ、お客に選ぶ楽しさを提供する。
売場展開
缶やカップのワインは形状やサイズが近く、冷蔵ケースで隣に並べられるからか、缶酎ハイの価格と比べられやすい。そして、缶酎ハイは350㎖で100~150円に対して、缶ワインは300~500円であるため割高感が出てしまう。そのため、缶ワインはワイン売場での常温販売をメインに据える。冷蔵ケースでは清酒の小瓶のコーナーと並べてゾーニングし、缶酎ハイとの比較を避ける。
ノンアル、微アル商品
パーティには酒を飲めない人や強くない人も参加する。一緒に楽しく過ごしてもらうためにノンアルコールのビールや酎ハイは欠かせない。これらはパッケージが酒としてデザインされており、ジュースや炭酸飲料よりも飲酒シーンが似合う。グラスもワイングラスやジョッキを使うと一緒に酒を飲んでいる雰囲気が出る(誤飲を防ぐため目印を付けておくとよい)。
まだ、新しいジャンルで飲み比べた上でお気に入りの銘柄を固めている人は多くない。逆に言うといろいろ飲み比べたいフェーズにあり、よりどりセールやまとめ買い割引など買い上げ点数を上げる販促は効果が上がるはずだ。
さらにノンアルコール酒類を購入する人はふだん酒を飲まない世帯も多く、来客があるために酒類を購入していることがある。彼らには「お客さま用にワイングラスはございますか?」と気付きを与える。
「前にワイングラスがなくてコップで飲ませたんだった」と思い出せばグラスの購買につながる。ワイングラスは酒類を飲むには万能で、ワインでも清酒でもビールでもおいしく飲める。ウイスキーやブランデーも香りが分かりやすい。
売場展開
ノンアルコール酒類の売場では「パーティの必需品」「お酒のひと休みにおすすめ」などの、飲用者や飲用シーンを想起させるメッセージを発信する。「あっ、あの人は酒を飲まないんだった」「長時間の飲み会はノンアルでひと息いれたいよな」と購買理由をつくっていく。
トレンド商品
世界酒蔵ランキング
世界酒蔵ランキングは商品ではなく日本酒のコンテストの入賞実績を酒蔵ごとにポイント化した格付け。2019年にスタートして今年は5回目の実施になる(毎年結果は年末に発表)。
対象となっているコンテストは国内では国税庁が主宰するコンテストの他、民間のコンテストが3つ(全国燗酒コンテスト、ワイングラスでおいしい日本酒アワード、SAKE COMPETITION)、海外では全米日本酒歓評会(ハワイ)、IWC、Kura Master、Milano酒チャレンジの4つだ。
日本酒のコンテストは海外で続々と誕生しており、すでに香港、アメリカ(メインランド)、チリ、スペインなどでもコンテストが行われている。
世界酒蔵ランキングはコンテストの入賞実績というファクトを積み上げて酒蔵を格付けするもので、著名人の推奨やネームバリューに左右される人気投票とは一線を画す。メーカーとして製造レベルが高いことの証であり、良質な原料の調達力、充実した設備、優れた製造技術、高いモチベーション、トップの強いリーダーシップの5つが揃わなければランキング上には入れない。
商品選択の参考にしたいランキングである。http://www.sakaguraranking.jp/
リテールトレンドでは、酒類をはじめとした多様な商品をご紹介しています。
詳しくは こちらより、ご確認ください。