春の商品強化と弁当、おにぎりなど米飯を強化、イベント対応も|「これは押さえたい」惣菜編・2023年3月

2023.02.15

2023.03.03

日本フードサービス専門学院学院長 林 廣美
城取フードサービス研究所 城取博幸

3月の行事、イベントは、ひなまつり(3日)、春休み、春一番、十三祭り(13日~5月13日)、ホワイトデー(14日)、春祭り(中旬)、彼岸(20日ごろ)、卒業式(下旬)、春の甲子園(下旬)、イースター(下旬)、お花見(下旬)

3月はひな祭り、春休み、卒業、彼岸、春の行楽、花見と「人が動く」月。人が動けば商品も動く。惣菜は各行事、イベントに合わせた商品提供を行い売り逃しがないようにする。

22年の家計消費で3月に需要が伸び、前年を上回った「ゴールデンカテゴリー」は調理食品104.92%、弁当104.8%、おにぎり107.04%、調理パン107.99%、他の主食的調理品112.9%、サラダ108.82%、コロッケ104.62%、天ぷら、フライ103.39%。

3月に需要の変化はあまりないが、前年を上回ったカテゴリーはギョーザ101.74%、寿司105.1%。

3月に前年を下回ったカテゴリーはカツレツ99.45%、うなぎのかば焼き82.74%、シューマイ97.83%、焼き鳥96.04%、ハンバーグ95.68%、惣菜セット92.09%だった。

2月から約5500アイテムが値上げされた。惣菜部門も高いイメージを持たれないよう、カテゴリーごとに、98円、198円、298円、398円、498円、580円、680円のプライスラインのアイテム、SKUをリスト化したい。競合店調査もこのリストで行うとよい。平均単価は確実に上がるが、買上点数が下らいようにしたい。ばら販売やSKU拡大で買上点数を維持する。

3月に伸びたカテゴリーは米飯、寿司、天ぷら、フライ、サラダ、あえ物など。逆に昨年不振であったカテゴリーはカツレツ、焼き鳥、シューマイ、ハンバーグなど。3月から需要が伸び、さらに前年を上回ったゴールデンカテゴリーは積極的に販売し、売り逃しがないようにしたい。不振なカテゴリーは販促を強化する。

弁当

3月の弁当は年間最大の需要である。前年比も104.8%と好調なゴールデンカテゴリーだ。しかし、原材料の値上げから400円超えの弁当が多くなった。弁当の競合は、外食と冷凍食品。外食の弁当、冷凍食品の売れ筋と金額をチェックしておきたい。

売場づくり

298円、398円、450円、580円とプライスラインに合わせた品揃えを検討し、「高い」というイメージを持たれないようにしたい。298円、398円はアウトパック商品、450円からインストア弁当とすみ分けをするとよい。

おにぎり

3月は人の動きが活発になるため「おにぎり」がよく動く。前年は107.04%と好調であった。片手で食べられるスナッキングであるため、電車や車の中でも手軽に食べられる。アウトパック商品、インストア商品とうまく組み合わせて品揃えする。

売場づくり

100円前後のおにぎりはアウトパック商品。インストア製造は150円、198円、248円、298円と、大きさ、具の多さを訴求して品揃えを検討。弁当の価格が上がっているため、「のり弁おにぎり」「山賊おにぎり」「チキン南蛮おにぎり」など250g以上の具だくさんジャンボおにぎりも販売したい。

コロッケ

コロッケの需要も好調だ。昨年は9月だけが前年を下回っただけであった。3月の前年比は104.62%。「コロッケは低単価でいくら売っても売上げにならない」と思うかもしれないが、買い控えのある現在では価格訴求できる重要なカテゴリーだけに、注力して販売したい。

売場づくり

ばら販売が再開されているので4~6アイテムを品揃えする。小型コロッケは3~5個を袋に入れて販売する。週末には高級品のカニコロッケやエビコロッケも品揃えしたい。

天ぷら、フライ

天ぷら、フライも好調だ。前年を下回ったのは昨年は12月だけであった。魚の揚げ物は養殖魚のエビ、アジ、天然漁ではイワシ、ニシン、ナマズなどが安定的に供給されるため積極的に販売したい。牛肉や豚肉も高騰しているため、鶏肉の各部位(骨付きなど)を使ったフライや唐揚げのアイテムを増やすとよい。

売場づくり

鶏肉は部位やSKUを増やして「鶏肉惣菜」の売場をつくる。エビフライ、アジフライ、イワシフライはSKUを増やしフェースを広げて販売する。天ぷらもエビ天を増やした天ぷら盛り合わせが売れているため、積極的に販売したい。食用油が値上がりしているため、惣菜の揚げ物の需要は高まりそうだ。

トレンド商品

半身揚げ、ローストチキンハーフ

鶏のカット肉も高騰している。そこで骨付き半身揚げやローストチキンを販売したい。塩、砂糖、しょうゆ、ナンプラーなどを混ぜた「ブライン液」に漬け込み、唐揚げ、素揚げ、ローストチキンをつくれば時間が経っても柔らかく食べられる。半身をさらにカットしたものも販売したい。

半身600円、4分の1カット298円など、100g100円程度が値ごろ。また、日本では丸鶏がなかなか売れないが、半身を2個パックすれば1羽分になるため、2個入りパックも販売したい。

エビ串焼き

安定供給されている無頭冷凍エビのメニューをもう少し増やしたい。エビを3匹、串に刺したハーブシュリンプやガーリックシュリンプを販売したい。

調味料を振りかけ、オーブンや焼き鳥機でカリッと焼けば商品化できる。エビの赤色を鮮やかにするためパプリカパウダーを上から振るとよい。サイズにもよるが1串198円ぐらいで販売したい。夏に向けビールのつまみや子どものおやつとして提案する。

注力するアイテム

一般食料品を始め惣菜メニューの原料も値上がりして対応に追われ、惣菜もメニューの変更や改廃、原料、商品の見直しが大きな課題となっている。惣菜は値上げなど、価格に問題が起きると、敏感に売上げが下がることが多い。一度惣菜の原点に戻って見直しをする必要がある。

惣菜の原点は、①家庭料理よりもおいしいこと、②外食店と家庭料理の中間のプロの味、③価格は安い、④価格の割にボリュームがある、の4点。この条件を突き詰めると、大きくて、安くて、おいしいことが惣菜の条件になる。

次に大切なことは時代の進歩に合わせ、売れ筋の定番メニューであっても、以前のままでなく、味、見栄え、盛り付けなどレシピを修正すること。

例えばかつ丼でも、いまのかつ丼はどうあるべきか? だしは? 卵は? 肉は? と考えて、いまの時代に合わせて改善することが必要だと考える。常に時代に合わせて進歩することが大切だ。

惣菜はまだまだ売上げが大きく伸びる可能性があることを肝に銘じたい。

気温が上がるにつれて、惣菜の売上げも上がっていく。サラダも定番のポテトサラダが少しずつ上昇して、6月がピークになる。

そこで提案。新しいポテトサラダを既存のポテトサラダと合わせて売り込むこと。汗ばむような日もあるので、「冷やし中華麺」や「冷やしうどん」「ざるそば」などで対応。

本格的に気温が上がってくると弁当などの米飯商品が活発に動くようになる。店でのオペレーションなど、効率よく動くようにもう一度チェックすることが必要。売場が夏型に変化していくので、商品開発を早めに対応すること。今年は「弁当メニュー」が注目されるはずだ。

ボリューム中華食事セット

定番中の定番のメニュー。男性がランチに食べることが多い。店の立地条件によって売れる時間が変わるので要注意。商品のポイントはお客が商品を手に持って「ずしり」と重みを感じるような商品であること。原価が上がって売価を合わせるために、ボリュームを減らして、売価を合わせるやり方は成功しないことが多いので、注意が必要だ。

チャーハンを減らしたら、焼きそばを増やす、といった形で調整する方法もある。チャーハンの味を良くして、あるいは焼きそばのソースをおいしくして値上げをしても価値で納得してもらうなどの工夫が必要。人手があればチャーハンを店内加工にするなどのオペレーションの変更などを検討するのも良い。

春の「お花見手毬寿司」詰め合わせ

寿司だねの原価値上げが続いている。寿司は色々のたねを楽しむ商品といわれているので、たねを半分にカットして作る「手毬寿司」は、手間はかかるが平日に売り込む商品として検討するとよい。

写真左上よりマグロ赤身、白身(タイなど)、寿司エビ、ゆで菜の花、イクラ、カニ風味かまぼこ、サーモン、イカ、アナゴ。ゆで菜の花は春のイメージを演出している。

この菜の花とカニ風味かまぼこで、コスト調整を行っている。気軽に食べられる値ごろ価格にすると良い。

桜の開花が早くなっているので合わせるように発売を調整する。花見用にトレーに気を配ると良い。

ワカサギ南蛮漬け

春の揚げ物として提案する。価格的にも買いやすい設定にできるようにメニューを組み立てる。ワカサギは冷凍原料を使い、可能ならばできるだけ小さいワカサギを選ぶと食べやすくよく売れる。食べたときに柔らかいため子どもが好むので、母親がよく買い求めてくれるからだ。

ワカサギを揚げた後、甘酢たれと合わせるが、揚げたワカサギが熱いうちに絡めるように手早く処理をするのがおいしくするこつ。大きめのワカサギの場合には、2度揚げをしてしっかりと火を通し、カリッと揚げて食べやすくしてから、甘酢たれと合わせるように仕上げると食べやすい。

甘酢たれは甘めの方が人気が高いので、選ぶときには気を付けてチョイスする。

中華五目うま煮

見た感じは酢豚のように見えるが、黒酢を使った酢豚風。酸味を抑えてだしを効かせてゴマ油の風味も効かせた味に作り上げる。どちらかというと、和風料理風に作り上げると人気が出る。野菜はゴボウ、レンコン、シイタケ、赤ピーマンの冷凍野菜に、フレッシュな生の緑ピーマン、ゆでたニンジン(乱切り)を入れて油で揚げて、冷凍のイカと、鶏肉を同じよう

に油で揚げて、ゴマ風味の甘酢たれと合わせるとでき上がる。

ご飯に合う和風「街中華」というイメージに作り上げて、「街中華」のPOPを付けて売り込む。「街中華」シリーズと銘打って新しい中華メニューを売り込むと効果的だ。「街中華」メニューには和風酢豚、かに玉、五目うま煮などがある。惣菜の新ジャンルでもある。

春の京風「和風炊き合わせ」

春野菜のイメージで売り込む和風煮物「野菜の炊き合わせ」である。だしを効かせて薄味に仕上げた、京風「炊き合わせ」。本来炊き合わせは、野菜をそれぞれ別な鍋で味を変えて炊いたものを、トレーに盛り付けて、味を楽しむ料理なのだが、ここでは油揚げ、コンニャク、シイタケを甘めに炊き上げ、他の野菜はだしを効かせて薄味に炊いたものを合わせて盛り付けて作る。

こうした炊き合わせも人気があり、飽きさせない味の料理として人気も高い。弁当の副菜としても使えるので便利なメニューだ。

煮物料理は、夕方ピーク時に工場から納品された煮物をスチームコンベクションなどで温めて商品化して、揚げ物商品と共に常温売場で売るとよく売れる。ただし、これらの商品は当日限りの販売となるので注意する。

大学ポテト

「春先になぜ、サツマ芋なのか」と思うかもしれないが、3月~4月は貯蔵されたサツマ芋が、熟成して甘く、おいしくなる時季になりいまが旬。

青果では「焼き芋」が人気だが、甘いサツマ芋を、油で揚げて甘い蜜たれでまぶした懐かしい「大学芋」も人気が高い。

よく、「蜜たれが甘いのだから甘くないサツマ芋を使えば良いではないか」と勘違いするバイヤーなどがいるが、これはとんでもない間違いで、焼き芋のように極端に甘いサツマ芋にすることはないが、それなりに甘い原料の方がよく売れる。

甘くないサツマ芋の場合は、始めは売れてもすぐに売れなくなるので注意。原料が在庫で残る危険性がある。甘いサツマ芋だとコンスタントに長く売れ続ける。

蜜たれは業務用のものを使い、時間が経ってもたれ落ちしないものを使うことが基本。

カニ風味とマイルド野菜のサラダ

春先はカニの旬の最後。料理での旬は初冬の「はしり」から「旬」になり、春の初めが「名残り」として表現する。そんなカニだが、惣菜で安くておいしいカニかまぼこを使っておいしい旬を表現。

安くておいしい「カニ風味」をたっぷり使って売場の楽しさを表現する。販促と共に惣菜の多様性、おいしさのバリエーションをテーマに売り込む。

作り方

①たっぷりの玉ネギを薄く、スライスして薄く塩を振って30分ほど置いてしんなりさせて。水気を抜いて脱水。このサラダは玉ネギのおいしさがポイントになるので塩による辛味抜きを必ず行う

➁ニンジン千切り、ピーマン千切り

③ホールのコーン(缶詰)

④カニかまばこは荒くほぐす

⑤全部を合わせて、フレンチドレッシング、または、シーザーサラダ用ドレッシングなどであえる

しっかりと玉ネギの水気を切って陳列中に水が出ないようにする。玉ネギの辛味とにおいを取り除くこと。