値上げ商品の動きと気温上昇に伴って動き出す商品に注意|「これは押さえたい」日配編・2023年3月

2023.02.15

2023.03.03

城取フードサービス研究所代表 城取博幸

3月は人が動く月。人が動けば消費が盛んになる。日配はパン、弁当材料、寿司材料、冷凍弁当材料、彼岸の和菓子など、イベント、行事に合わせた売場づくりを早めに行う。

家計調査で3月に需要が増え、前年も上回った「ゴールデンカテゴリー」はパン103.2%、他のパン105.24%、中華麺110.44%、ちくわ102.1%、魚介つくだ煮126.67%、大根漬け106.52%、マーガリン107.41%、他の和菓子107.42%、ゼリー115.7%、他の洋菓子108.61%、アイスクリーム104.82%、冷凍調理品105.56%、調理パン107.99%、ギョーザ101.74%、他の主食的調理品112.9%、野菜&果汁飲料100.18%、乳酸菌飲料111.26%。

3月に需要が増えたが、前年を下回ったカテゴリーは食パン98.91%、牛乳99.44%、ヨーグルト91.38%、チーズ97.17%、たまご99.07%、豆腐98.25%、納豆92.93%、シューマイ97.83%、コーヒー飲料90.81%、乳飲料86.67%、他の飲料100.15%、3月の需要は変わらないが前年を上回ったカテゴリーは生うどん、そば102.95%、揚げかまぼこ106.08%、こんにゃく107.14%、梅干し102.06%。

3月の需要はあまり変わらないが前年を下回ったカテゴリーはかまぼこ99.07%、揚げ、がんも96.95%、白菜漬け98.11%、他の漬物90.41%、昆布つくだ煮95.4%、ケーキ90.74%、プリン95.74%、3月に需要が減り、前年も下回ったカテゴリーはバター91.74%。

2月から約5500アイテムが値上げされた。支出金額=購入数量×平均単価である。値上げによる平均単価アップで消費金額の伸びが予想されるが、購入数量を注視する必要がある。安いイメージの二桁価格の商品を増やし、目立つ陳列を行いたい。

3月に二桁伸びたカテゴリーは、中華麺、魚介つくだ煮、スナック、乳酸菌飲料、ゼリーなど。逆に昨年不振であったカテゴリーは昆布つくだ煮、バター、ケーキ、プリンなどであった。3月から需要が伸び、さらに前年を上回ったゴールデンカテゴリーは積極的に販売し、売り逃しがないようにしたい。前年を下回ったカテゴリーは販促を強化する。

納豆

納豆はしばらく不振が続いている。2月からさらに値上げされたため、お客は価格に敏感になり買い控えが予想される。3月は比較的安価な納豆に注力して販売したい。前年は92.93%と大幅に落としたが、3月は年間最大の需要であるため注力して販売したい。

売場づくり

年々内容量が減ってきているがそろそろ限界に近づいている。今月は需要が高いため、逆に大型パックや4連の販売に力を入れたい。さらに料理提案もしっかり行いたい、黒豆納豆やそぼろ納豆、テンペ、ドライ納豆などのフェースを広げて販売したい。

こんにゃく

こんにゃくは春に向けて下降トレンドであるが、昨年は3月、4月と前年をクリアしている。春の生食需要に向けて野菜サラダや海そうサラダ、冷し麵、あえ物を訴求したい。伝統的なプラントベース商品であるため商品説明を行い積極的に販売したい。

売場づくり

「鍋用」「煮物用」から「生食用」に変わるため加熱用を縮小、生食用を拡大する。ところてん、刺身こんにゃく、海そうサラダ、こんにゃくゼリー、こんにゃく麺はフェースを広げて販売する。カット野菜との組み合わせ提案も行いたい。

魚介つくだ煮

魚介つくだ煮は12月に次ぐ需要高で、昨年は126.67%と前年を大幅にクリアしているゴールデンカテゴリーだ。イカナゴくぎ煮、アサリのショウガ漬けなど魚介つくだ煮にも旬があるため売り逃しがないようにしたい。つくだ煮類は売上げも低いため販促を強化すれば二桁アップが比較的容易に望めるカテゴリーだ。

売場づくり

春の魚介つくだ煮の主力アイテムはイカナゴくぎ煮、アサリのショウガ煮、イワシの甘露煮、ホタルイカ沖漬けなど。サンショウ昆布。ふきみそ、きゃらぶきなど春のつくだ煮と一緒に「春のつくだ煮祭り」を実施する。つくだ煮は賞味期限が長いためサイド陳列などで大陳したい。また保存が効くため食べ切りサイズはあまり意識する必要はない。

大根漬け

大根漬けも12月に次ぐ2番目の需要で、前年もクリアしているゴールデンカテゴリーだ。大根漬けは日本の伝統食品で「一汁三菜」には欠かせない食品であることを訴求。自家製のたくあん漬けがなくなる時季でもあるため浅漬け大根漬け、古漬け大根漬けとも積極的に販売したい。

売場づくり

最近は1本もの、ハーフものの他に、カット済み、スライスたくあんの品揃えが増えている。カップ、トレー入りの浅漬けカット大根、なた漬け、つぼ漬け、みそ漬け、いぶりがっこなど品揃えを拡大したい。

乳酸菌飲料

乳酸菌飲料は気温が上がる春から動き始める。昨年3月は前年比111.26%と二桁伸びたゴールデンカテゴリーだ。プレーンヨーグルトやハードヨーグルトが苦戦する中、ポリ容器入りのドリンクヨーグルトや乳酸菌飲料(清涼飲料水含む)が好調だ。

売場づくり

乳酸菌飲料の売場拡大を図る。売場スペースのある店はパーソナルタイプの隣りで箱売りコーナーを縦割りで新設する。1ℓタイプのアイテム、フェースを拡大する。ケース売りはスポット販売だけでなくリピーターのために定番化し、継続して販売する。

ゼリー

ゼリーは3月から7月までうなぎ登りで需要が高まる。昨年は前年比115.7%と二桁成長であった。ジャンボフルーツゼリー、果肉ゼリー、コーヒーゼリー、こんにゃくゼリー、アルミ入りゼリーは新商品を含めフェースを広げて販売する。

売場づくり

常温保存可能なゼリーはサイド陳列や平ケースに大陳することで売上げアップが図れる。チルドのジュレタイプも品切れがないようにする。箱入りギフト用や袋詰め、バンドル販売も行う。日持ちがする商品は、月初から1カ月分の在庫を持っても怖くない。

果実、野菜飲料

果実、野菜飲料は不振が続いていたが昨年3月は前年をギリギリクリアした。国産の野菜、果物は肥料の値上げから高騰が予想されるため、濃縮還元原料を使った飲料にシフトしそうだ、今年は販売を強化して3月から浮上させたい。

売場づくり

3月から8月まで重要が伸びるため1ℓタイプと200㎖タイプのアイテム、フェースを拡大する。

アイスクリーム

昨年のアイスクリームは13カ月連続で前年をクリアした優良カテゴリー。3月は104.82%の伸びであった。今年は値上げや内容変更があるが、いまは甘いものにはお金を使ってくれる。しかし、価格には敏感になっているため100円以下のプライスポイントは押さえておきたい。

売場づくり

マルチタイプは内容量が減るなどの値上げ対策が取られているため、お客がどう反応するか。ノベルティタイプのスペースを拡大するのも一案だ。かつて販売していた「ミニタイプ」のノベルティをコーナー化して販売することも考えたい。

トレンド商品

カニ風味かまぼこ

片手で食べられるカニ風味かまぼこ。サラダなどの料理に使えるが、このタイプの商品はスナッキングとしてそのまま食べられる。「からしマヨ」は酒のつまみに、「したらば」は子どものおやつによく合う。使い切りサイズであるため刻んでサラダにも使える。カニが高騰しているだけに売り込みたい商品だ。

惣菜パン(ナポリタン、焼きそばパン)

調理パンの需要が伸びている。サンドイッチ、ハンバーガー、ロングドッグなどのオープンサンドと、パンの中にフィリングを詰めたランチパックやスナックサンド、あんぱんなどに分類される。具が中に入っているため子どももこぼすことなく食べやすい。日持ちもそこそこするので春の行楽に活用したいパンだ。