夏に向けて伸びる中華麺、多様性増す豆腐の冷ややっこ需要に備えた売場づくり|「これは押さえたい」日配編・2023年4月
2023.03.03
城取フードサービス研究所代表 城取博幸
4月の行事、イベントは、「エイプリーフール」「入社式」「入学式」「お花見」「花まつり」「春祭り」「潮干狩り」「ゴールデンウィーク」など。入社準備、引っ越し、入学準備と3月から4月にかけては出費の多い月。4月第2週からゴールデンウィークまでは節約志向が高まるため発注には注意したい。また、3月からアイスクリームなど3000品目が値上げされるため、品揃えの変更も必要だ。
日配部門はSKUを広げて100円以下の商品の品揃えを増やす。また、ベーシック商品は競合店の価格を常にチェックして価格合わせをする必要もある。この時季は均一セールも効果的である。
昨年の家計調査で4月に需要が増え、前年も上回った「ゴールデンカテゴリー」はパン100.82%、他のパン103.49%、ちくわ102.04%、牛乳102.73%、ゼリー113.1%、プリン104.96%、アイスクリーム110.31%、冷凍食品102.92%。
4月に需要が増えたが、前年を下回ったカテゴリーは中華麺98.09%、豆腐99.0%、納豆97.05%、焼売97.87%、コーヒー飲料93.23%、果実、野菜飲料99.31%、乳飲料94.59%、他の飲料93.77%、4月の需要は変わらないが前年を上回ったカテゴリーはかまぼこ106.06%、こんにゃく100.0%、昆布つくだ煮101.25%、乳酸菌飲料109.94%。
4月に需要は減ったが前年を上回ったカテゴリーは他の和生菓子115.63%、他の洋生菓子117.91%、他の主食的調理品105.69%、4月の需要はあまり変わらないが前年を下回ったカテゴリーは食パン95.46%、生うどん、そば98.23%、ヨーグルト94.58%、たまご96.30%、梅干し87.61%、他の漬物87.58%、調理パン99.62%。
4月に需要が減り、前年も下回ったカテゴリーは揚げかまぼこ91.48%、魚介つくだ煮98.57%、バター77.97%、チーズ90.14%、マーガリン90.91%、揚げ、がんも94.07%、大根漬け95.74%、白菜漬け88.0%、ケーキ94.92%、ギョーザ93.75%。
4月に二桁伸びたカテゴリーは、ゼリー、アイスクリーム、和生菓子、洋生菓子などの甘味類、逆に昨年不振であったカテゴリーは揚げ、がんも、揚げかまぼこ、魚介つくだ煮、大根漬け、白菜漬け、バター、チーズ、マーガリン、ギョーザ、ケーキなどであった。乳製品の落ち込みは深刻だ。
菓子パンなどの他のパンは伸びたが、食パンは不振であっため、関連する乳製品も落ち込んだ。食パン、ロールパンを量販すれば乳製品も浮上する。4月から需要が伸び、さらに前年を上回ったゴールデンカテゴリーは積極的に販売し売り逃しがないようにしたい。前年を下回ったカテゴリーは販促を強化する。
ちくわ
ちくわは1月から徐々に消費が伸び5月にピークを迎え夏に向けて減少する。前年102.04%もクリアしているため売り逃しがないようにする。ちくわは昨年の1月以外すべて前年をクリアしている好調なカテゴリー。
売場づくり
ちくわは加熱用にも生食用にも使える便利な食材だ。加熱用はうの花、ひじきの煮物、切り干し大根、筑前煮などの煮物メニューを訴求。天ぷらや炒め物にも使える。生食用は生野菜サラダ、ポテトサラダ、ゴマあえ、辛子あえ、酢の物の訴求。レギュラー品をケース最下段で大陳して販売する。
中華麺
中華麺は1月から需要が高まり、7月にピークを迎える。2月、3月は好調であったが、残念ながら昨年4月は98.09%と前年を下回った。惣菜で販売されている調理麺の影響もあるかもしれない。チルド麺もレディトゥイートのそのまま食べられる商品に力を入れないと売上げは伸びない。
売場づくり
今年は天ぷらそば、天ぷらうどん、冷し中華、ざるそばなどの調理麺に力を入れて販売したい。惣菜で扱う商品より消費期限が長いものを探す。トレー入りで包装麺、麺つゆ、具材がセットになったものでもよい。
昆布つくだ煮
昨年4月は魚介つくだ煮の需要が落ちる代わりに昆布つくだ煮が伸びた。4月、5月は需要が伸びるため売り逃しがないようにしたい。7月、8月は販促の影響もあるとみられ平均単価は下がったが、数量が伸びている。下げ過ぎてしまうと支出金額は前年を割ってしまうため価格コントロールが難しい。
売場づくり
昆布つくだ煮は昆布巻き、平角切り、細切り、刻み、練りなどの種類がある。冬は昆布巻き、夏は細切り、刻み、練りの傾向がみられる。おにぎり、お茶漬け、ごはんのトッピングを提案する。日持ちがするため食べ切りサイズだけでなく大型パックも品揃えしたい。
冷凍食品
冷凍食品は昨年1月から5月まで需要が伸びた。4月は前年比102.92%伸びたゴールデンカテゴリーだ。昨年は2月から12月まで前年を連続クリアしている。売れる4月にさらなる売上げアップを図りたい。4月からは弁当需要も高まるため絶好の売上げアップのチャンスだ。
売場づくり
ストック用冷凍食品の品揃え強化。冷凍食品はもともとはストック商品だが、最近はチャーハン、ピラフ、おにぎり、鶏唐揚げ、ギョーザ、シューマイなどの大袋が目立つ。ストックしておけば必要な量だけ電子レンジで加熱できる。大袋コーナー、業務用コーナーでまとめてコーナー化するとよい。弁当用の冷凍食品はバンドル販売する。
牛乳
牛乳は冬から春にかけて生産量が増えるため在庫調整が難しい。生産者が廃業しないよう販売に力を入れたい。
売場づくり
昨年4月は前年比102.73%と久々に前年をクリアしたが、平均単価は196円と200円を割った。今年は酪農家保護のためにブランド牛乳、牧場限定牛乳、濃厚牛乳など地元の牛乳にも力を入れて販売する。POPなどで牛乳の現状や情報を提供して消費者を巻き込んだ販促を行う。
果実&野菜飲料
果実、野菜飲料は3月から8月まで需要が伸びる。昨年3月は前年をクリアしたが残念ながら4月は99.31%とわずかに前年を割った。少し販促を強化していれば前年はクリアできた。気温が上昇すると飲料が売れてくるためチルド飲料も炭酸飲料に負けないよう販売したい。
売場づくり
新生活のスタートに際し、売り込みたい。
プリン
プリンは4月から需要が急上昇する。昨年比も104.96%と好調であった。今年は卵の不足、相場高から値上げが予想される。カスタードプリンや濃厚プリンなどグレードを落とさずおいしいものを販売したい。
売場づくり
4月のプリンはゴールデンカテゴリーであるため積極的に販売する。カスタードプリンは卵の値上げがあるため、サイズを小さくした規格を作りたい。逆にミルクプリンは牛乳、乳製品は豊富にあるため、ジャンボパックの牛乳プリンを販売する。原料や相場に合わせ臨機応変に対応したい。
他の和生菓子
和洋生菓子が好調だ。昨年4月は他の和生菓子799円前年比115.63%、他の洋生菓子は823円前年比117.91%の伸びであった。和生菓子は3月と5月の谷間になっているが、卵の値上げ、品不足から洋生菓子より和生菓子の販促に力を入れる。
売場づくり
和生菓子は谷間ではあるが二桁成長しているため、5月の端午の節句に向けて早めにちまき、柏餅、上生菓子の販促を行う。4月の生菓子は桜餅、桜まんじゅうと桜をイメージした上生菓子、桜寒天ゼリーなど。桜の木や花を添えた売場をつくる。
トレンド商品
オーツミルクとうふ
豆腐売場の品揃えがおもしろくなっている。豆乳にオーツ麦糖化物を加え、凝固剤、消泡剤で製造された充填豆腐。プラントベースブームで豆乳、アーモンドミルク、オーツミルクに注目が集まっている。
豆腐に加えることで新しい食べ方ができる。豆腐売場も最近はクルミ豆腐ピーナッツ豆腐、アーモンド豆腐など木の実や穀物を加えた商品が増えている。アイテムを広げ、夏に向け冷ややっこの需要に備えたい。
睡眠改善飲料
睡眠改善飲料は乳酸菌飲料などの機能性飲料コーナーに陳列されている店もあるが、この商品は乳を含まない清涼飲料水。カロリー、カフェインもゼロだ。Lーテアニンが疲労感を軽減して睡眠を改善するという。L-テアニンとは緑茶に多く含まれるアミノ酸の一種。睡眠障害で悩んでいる人のために何品か品揃えしたい。
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