売場の商品構成比が大きく変動、タケノコは短期決戦に|「これは押さえたい」青果編・2023年4月

2023.03.09

創風土パートナー 代田 実

新年度がスタートし、人々の生活が大きく変化する4月は、青果売場でも商品構成比が大きく変化する。図表を見ると分かるように、消費支出金額が青果品目中最大のトマトをはじめ消費金額の大きい品目の家計支出が軒並み前月比10%以上の伸びを示している。

こうした変化に合わせ、売場スペースや品揃えを変更して消費の変化に合わせた売場づくりをしていくことが4月の青果商売のポイントになる。

具体的にはトマト、キュウリ、ピーマン、ナスなど4月に消費が大きく伸びる果菜類の売場スペース、品揃え、SKU拡大に加え、拡販期を前に導入期となるメロン、スイカを4月のうちに売場を拡大し、5月以降の拡販期に備えることが大切だ。

また、4月の代表的季節商品である生筍の販売は短期決戦となるので商品状況を随時チェックして売りどきを逃がさないよう売場展開を行えるよう心掛けたい。

4月に支出金額伸びの大きな上位品目

出所:総務省家計調査2022年4月全国二人以上の世帯の支出金額

トマト

入荷量が増えると同時に高品質品が出回る果菜類を拡大する。4月は全国的に好天に恵まれやすいことに加え、朝晩は適度に冷え込み、日中は高温となるこの時季は果菜類の生育に適した気候だ。

特に商品価値を決めるうえで「味」が重要な要素となるトマトは、この寒暖差が味の良いトマトを作ることで、思いの外4月のトマトはおいしい。これを実際に購入して食したお客が実感し、リピート購入に結び付くことが、消費金額の伸びの一因になっていると考えられる。

そこでこの時季にトマト祭りなど、トマトの味の良さをアピールするプロモーションが有効だ。その際は、写真のようにミニトマトの盛り売りなど普段とは販売形態を変えると良いだろう。

また、これ以外のキュウリ、ピーマンなど果菜類も品質の良い品が出回り、消費金額が伸びるのでばら売り、袋売りの比較販売を継続しつつ売場スペースの拡大を行いたい。

また、産地パックの販売が一般的なピーマンについては、ばら物を仕入れてばら売りを行うと同時に、下写真のようにスタンドバッグに入れ量り売りを行うのもよい。

メロン、スイカ

4月になると本格的に出回りはじめ、売場での露出度が高くなるメロン、スイカだが、共に消費がピークとなるのは例年7月で、4月の消費金額はその10分の1程度とまだ少ない。

まだ価格が高く、外気温もメロン、スイカの需要が伸びる、汗ばむ陽気にはなかなかならないためだ。そのため、この時期に売場拡大し陳列量を増やすことは商品ロス増加に直結してしまう。

そこでお勧めしたいのが、導入期商品としてメロン、スイカの売場拡大をしつつ、ロスを最小限に抑える販売方法としての「カット販売」だ。気温が上昇し、汗ばむ陽気になるころを見計らってカット物を中心に展開する。

写真のように玉売りは最小限にとどめ、スイカはブロックカットやとんがりカットなど少量でもボリューム感が出せ、買いやすい価格で販売可能な規格を中心に販売。メロンも同じようにスマイルカットやフラワーカットを中心に販売していくと良い。

玉売りの陳列量は最小限に抑え、カット売りを拡大したスイカ売場
少量でもボリューム感を出した商品化ができるすいかとんがりカット

短期決戦となるタケノコ

露地物の生タケノコのピークとなる4月はボイル物も含め、タケノコの消費金額が年間で最大となる。

生タケノコは九州産地からスタートして次第に近畿、関東、北陸各地の産地産が出回るが、各産地ごとの出荷ピークはおおむね数週間程度の間に集中する。そのため、販売も短期決戦となる。各産地の作柄や出荷情報をこまめに取り、出荷ピークに合わせて売場拡大を行うことが大切になる。

そのためにも、3月下旬からボイルタケノコやフキ、米ぬかなど関連商品を含めコーナー展開を始め、4月になって入荷が増えたタイミングで一気に売場拡大を行なえるようにしたいものだ。

生筍販売時のポイントは次のとおりとなる。

①鮮度管理

生タケノコは鮮度が命だ。鮮度感ある商品を販売するためにも、入荷時の鮮度チェックはしっかり行い、切り口の変色などあれば薄く削ぎ落として販売する。

また、生タケノコは竹が成長する際の先端部分であることから収穫後も成長作用が続き、日が経つと「えぐみ」が出て食味が低下してしまう。

このため、生タケノコは入荷当日売り切ると同時に、購入したお客にもできるだけ早めに調理していただくことをお勧めすることが大切だ。また、売場陳列時の生タケノコは皮が乾燥するため、時々霧吹きで散水するとよい。

②食べ方提案

生タケノコの湯がき方などの調理方法の情報は多く、売場での情報発信もきちんとされている。半面、生タケノコは大きいものは数kgあり、一度に食べ切れないと感じるお客もいる。

そこで生タケノコは1本の中でも部位によって食味や適した食べ方があり、一度にさまざまな料理方でタケノコの味を楽しめることをPOPなどで伝え、購買に結び付けることが大切だ。

訴求例

・穂先部分

柔らかいので酢の物やあえ物、汁物の具に

・中央部

筒切りにして使いやすいので、煮物、炒め物、天ぷらなどに

・根元部分

繊維が多く少し硬いので、薄切りにして炊き込みご飯やすりおろしてだんごに入れてもよい