初夏へと向かっていく時季のゼリー、卵不足にはビーガンも一考|「これは押さえたい」菓子・スイーツ編・2023年5月

2023.03.17

トルティーノ代表 中村 徹

2022年の5月は新型コロナウイルス感染者数も減少に入り、マスクの着用条件も緩和されていった。総務省は5月に4月の全国消費者物価指数を発表した。価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が101.4となり、前年同月比2.1%上昇した。上昇は8カ月連続で、食品やエネルギー関連の値上げが加速し始めた。

ゴールデンウィーク(GW)の曜日回りは2日が月、6日が金と平日であり、ここを休むと4月末から10連休という大型の連休も可能であった。ただ母の日が8日とGWに近かったため、商戦としては訴求しにくい日となった。

本年のGWは1日が月、2日が火と平日であるが、ここを休まなくても後半3日から7日までの5連休となる。母の日は14日とGWから少し離れるので訴求はしやすいと思う。5月全体としては土曜日4回、日曜日4回で日曜が1日減の水曜1日増であるので昨年比マイナス2%程度の要素となると考えられる。

5月は初旬のGW中心に行楽真っ盛りとなる。行楽需要中心に本格的に人が動き出す季節となる。菓子関係の催事カレンダーを見てみると、毎月の催事日である6日(土)手巻きロールの日、15日(月)菓子の日、19日(金)シュークリームの日、22日(月)ショートケーキの日など菓子関係の日が多く存在し、曜日回りからいうと土曜日に当たる手巻きロールの日と金曜日のシュークリームの日は売り込むチャンスになる。

5月は初夏を楽しむ時季となる。今年の3カ月予報では5月は東日本、西日本の太平洋側では晴れが多めで気温は平年並みか高い予想がされている。降水量はほぼ平年並みの予想となっている。人の動きは3月時点で新型コロナウイルス第8波はほぼ終息し、3月13日からマスクの着用を原則個人判断とされているし、5月8日には2類相当からインフルエンザと同じ5類へ変更される予定なので、昨年に比べれば人流は大幅に増加するであろう。また、引き続き円安傾向と防疫策緩和に伴って海外からの旅行客も増加するであろう。

総務省家計調査の「<品目分類>1世帯当たり年間の品目別支出金額,購入数量及び平均価格」を見てみると、品目別令和3年年間の月別支出金額が掲載されている。菓子類の5月を見てみると、年間平均金額に対し季節の菓子類と夏型の菓子がそろそろ動き出している。

例えば他の和生菓子が111.5%、ゼリーが121.3%、プリンが110.9%、他の洋生菓子が101.8%、アイスクリーム・シャーベットも108.2%と伸び始めている。これらの商品群のトレンドを見るために「令和3年年間消費金額/平成12年年間消費金額」を計算してみると、他の洋生菓子が88.8%、ゼリーが98.7%、プリンが106.1%、他の洋生菓子が188.3%、アイスクリーム・シャーベットが133.5%となっている。

これらを考えてみると伸びの高い他の洋生菓子やプリン、ゼリーなどを仕掛け、季節の和菓子をしっかり押さえておくことが必要となる。

5月の和洋生菓子系はGWのこども日(端午の節句)、14日の母の日といった催事をしっかり押さえつつ、この他の小さな催事のポイントもしっかり押さえていくかということが必要になると思う。

柏餅、ちまき

端午の節句の和菓子としては柏餅とちまきが定番となる。端午の節句とは徳川幕府が決めた五節句のうちの1つでありもともとは男の子の節句であったが、現在の祝日法では「こどもの日」とされている。こどもの日には菖蒲湯に入り、柏餅やちまきを食べるのが風習になっている。

柏の葉は新しい葉が出るまで落ちない習性なので「子孫繁栄」など縁起の良いものとされ、この時季に和菓子に使われる。比較的関西で食べられるちまきは中国由来と言われている。柏餅ももともとは関東と関西で異なった形状をしていたが、現在大手が作る柏餅は上新粉の餅の中に餡を入れて柏の葉でくるんだものが主流となっている。

餡は粒餡だったりこし餡だったりする。ちまきも通常餡などは入っていないが、地域によっては餡入りだったり、おこわだったりするので地域での調査が必要である。

スイーツ

5月の第二日曜日5月14日は母の日となる。母の日には「お母さんが好きなスイーツ」を訴求したい。メーカー催事品で小容量のアソートパックなども発売されるが、チーズケーキ、モンブラン、あんみつ、プリンアラモードなどさまざまな個食スイーツを訴求したい。コンビニスイーツ系の品揃えをきっちり行い、選びやすい展開が必要となる。品揃えについては一部鳥インフルエンザの影響で液卵が不足しており、プリンの販売を休止している企業もあるので、事前に情報を取っておく必要がある。

スイーツアソートイメージ

ゼリー

5月に指数が大きく上がってくるのはゼリーになる。先に述べた通り年間平均比121.3%と高くなる。4月比でも137.2%と高くなる。

これから7月をピークに、8月まで指数が高い月が続くのでしっかり訴求する必要がある。ゼリーの主力はフルーツタイプとなる。売れ筋はミカン、白桃、黄桃、マンゴーなどである。

これらをしっかり品揃えすると共に売場面積をしっかり取って訴求したい。またアイスクリーム、シャーベットの指数も上がってくるので夏型商品全体として捉え注意が必要になる。一般に気温25℃の夏日を超えるとゼリーやアイスクリームが急激に売れ始め、30℃を超えるとかき氷などが売れるようになるといわれている。今年の5月の気温は高くなりそうな気配なので、夏型商品の拡縮に注意が必要である。

ゼリーイメージ

売場展開

5月の売場展開のテーマは初夏へと向かっていく時季である。旬の果物としてはメロンがGW辺りから本格的に拡大傾向になってくる。この他アメリカンチェリーやビワ、梅が旬となる。特にネット系メロンはこの時季から急激に市場に出回るのでカットフルーツとスイーツなどで関連販売を実施したい。

また毎月同じであるが、旬のフルーツと洋菓子や和菓子、ゼリーやフルーツヨーグルトの関連販売は継続したい。旬の時期である「梅祭り」などは和日配を中心に農産、ゼリーなどで実施したい。

トレンド商品

ビーガンスイーツ

洋菓子ではとにかくいま液卵が不足している。店頭では数量制限では済まず、欠品状態の店舗もある。この不足傾向は恐らく1年以上改善されないだろう。こういった鶏卵の環境から考えると「ビーガンスイーツ」に取り組む必要があるのではないか。

いまさらではあるがビーガンとは肉や乳製品や卵、その他の動物性製品を購入したり、食べたりしない人のことを指す。完全菜食主義者とも呼ばれている。こういった人たち向けの鶏卵や乳製品を使わないビーガンスイーツが今後一般の人にも取り入れられるかもしれない。

市場には鶏卵を使用しないのはもちろんであるが、乳製品の代わりに豆乳を使用したり、アーモンドクリームを使用したりするなどさまざまな工夫をした商品が発売されている。また豆乳を使用して代替卵の液卵なども開発されているので今後置き換えが進むかもしれない。

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