気温上昇とともに売れ筋が変化する5月は、他の果物に注目|「これは押さえたい」青果編・2023年5月

2023.04.06

2023.04.10

創風土パートナー 代田 実

全国的に最高気温が20℃を上回るようになる5月は、体感的に「暑さ」を感じ始める時季でもある。これに伴い、青果売場で扱う野菜、果物の売れ筋も大きく変化し、その変化に合わせた商品構成の売場展開を行うことが5月の青果商売を成功させるポイントとなる。

総務省家計調査の1世帯当たり購入金額の前月比伸び率を見ると、4月に比べ10%以上消費金額が伸びる品目が12品目もあり、その主な商品を示した下の表を見ると分かるとおり、トマト、キュウリなど果菜類とニュージーランド産が本格的にシーズンインするキウイフルーツ、スイカ、メロンなどウリ類の伸びが大きい。これら品目は5月の青果商売を行う上で必ず押さえておきたい品目であるといえるだろう。

5月に支出金額伸びの大きな上位品目

出所:総務省家計調査2022年5月全国二人以上の世帯の支出金額

5月に支出金額が増える品目のうち、トマトに次いで2番目に支出金額が大きい品目が「他の果物」だ。統計上、さまざまな果実が含まれる「他の果物」のうち、この時季に消費が伸びる「パイナップル」「カットフルーツ」「アボカド」「ビワ」「マンゴー」は5月の青果商売で確実に押さえておきたい品目だ。

パイナップルおよびカットフルーツ

汗ばむ陽気となる5月は爽やかな酸味とたっぷりの果汁を含むパイナップルがおいしく感じられる時季だ。併せてパイナップルが主役の一つになるカットフルーツも大きく売上げを伸ばす時季でもある。

5月になると台湾産、沖縄産のパイナップルが旬となる他、これに加えてフィリピン産のプレミアムパインの1本売りのスペースを広げるとよいだろう。

その際の注意点は、パイナップルは追熟せず売場では時間経過と共に鮮度が低下するということを前提に品質管理、売り切りを行う必要があるということだ。

そのとき有効となるのが、カットフルーツによる商品化になる。鮮度低下する前の陳列商品をカットフルーツで商品化して売り切り、売場の商品をローテーションさせる。これによって売場陳列商品の品質管理と共にロス対策にもなるのでパイナップル販売時には是非実施してほしい。

パイナップル販売とカットフルーツはセットで考えるとよい

ビワ

5月~6月が旬となるビワは比較的出回り期間が短い上、高単価の果物であり、ロスも出やすいので販売しにくい商品というイメージが強い。そこでビワを販売する際のポイントとなるのが、「少ない陳列量でボリューム感を出す陳列、商品化の工夫」だ。

写真のように丸カップに立てかけての陳列は少ない陳列量でボリューム感を出すのに効果的。

単価の高いビワは写真のように小分けパックで商品化することによって買いやすい価格づくりを行うことも大切だ。

アボカド

品目分類上は他の果物に含まれるアボカドだが、食卓では野菜的に扱われることが多い。

特に気温上昇と共にサラダ材料の消費が伸長するこの時季は、他のサラダ材料と併売することで買上点数アップ、客単価アップを意識した売場展開を行うことが重要だ。

同じく5月に消費金額が大きく伸びるトマトやブロッコリーと組み合わせての売場づくりは、彩りある売場づくりとして有効であるのはいうまでもないが、サラダ材料としてのアボカドのアピールをする上でもぜひ行いたい展開方法だ。

また、写真のように果皮が黒くなり食べごろのものと緑色で未熟なものが混在して入荷した際は、店舗で選別して食べごろとそうでないものを分けて販売することが望ましい。

中南米原産で低温に弱いアボカドは4、5℃以下では低温障害を起こし果肉が黒くなってしまう。温度管理と熟度管理がアボカドの商品管理上の2大ポイントとなる。

ニュージーランド産キウイフルーツ

5月は国産果実が端境期となるため、輸入果実の販売構成比が上がる時季でもある。その中で最も押さえておくべき品目が本格的にシーズンインするニュージーランド産キウイフルーツだ。

熟度がおいしさに直結するキウイフルーツは年末から春先にかけて国産を販売するが、産地ごとに出荷熟度にばらつきがあり食べごろのものを販売するのが難しい現実がある。

それに対し、ニュージーランド産キウイフルーツは徹底した熟度管理の下、流通しているため、売場に並ぶころには全ての商品が食べごろになっているので安心して販売できる。

また、グリーンキウイに加えサンゴールド、5月限定で出回るルビーレッドなど品種のバリエーションも豊かで、ばら売りに加えて徳用袋、パック売りなど販売形態も幅広いので拡販期となる5月は最大SKUを展開し、自店の売れ筋をチェックしておくとよい。

年末まで続くニュージーランド産キウイフルーツの売場展開時、そのデータを基に品揃えを決定すれば、より効率的な販売を行うことができる。

このようにバリエーション豊かで多くの商品が適熟状態で入荷し売りやすいニュージーランド産キウイフルーツだが、売場陳列品は時間経過とともに熟度が進み、売場温度によっては数日で過熟状態となってしまう。特に袋売りやパック商品は品質管理が難しいので、定期的に売場全品を売り切りクレームやロスを防ぐ販売管理を行いたい。

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